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アイテムショップの朝明け


今回は挿入編。プロローグなので短いです

「うーむ。今日も売り上げは伸びがなし、と」

 赤い数字ばかりの帳簿を握り締めて、俺は溜め息を吐く。ふと横を見れば、今日も売れ残ってしまった緑色の液体が入った試験管を視界に捉える。

「他と何も変わらないのになぁ・・・・・・やはり宣伝力か」

 真っ赤な数字に埋め尽くされた帳簿を机の隅に放り投げ、俺はベッドへ入り込む。

 明日も朝から店頭販売。客が来るのを待つだけの、簡単なお仕事だ。


 ◆


 鳥の鳴く声が聞こえ始めた早朝。日もまだ昇りきっていないこの時間、俺は店の前に看板を置く。

 アイテムショップ【春風のしらべ】

 メインストリートから脇に逸れた路地に面した、しがないアイテムショップ。主に、自作の回復薬ポーションを売っている。買い手は少ないが、常連相手の商売でなんとか生計を立てている。

「うぅ~・・・・・・ん」

 軽く伸びをする。背骨がボキリと音を立てる。これがなんとなく気持ちいい。

 薄い太陽の日差しを一身に浴びて体内時計の調整を終えてから、俺は店内に戻る。

 ガチャガチャと品出しを終え、様々なアイテムを店先に並べる。

 本日のおすすめは、俺自作の回復効果付き飲料(ポーションドリンク)、600ルードである。わずかな苦味を感じる通常のポーションと同じ効果を保ちながら、僅かな甘みと爽やかさを持った清涼飲料水となっている。

 レジ周辺の整理をしつつ、回復効果付き飲料(ポーションドリンク)を手に取りやすい位置に並べていると、ギシギシと音を立てて階段を降りてきた少女が声を掛けてきた。

「店長~。おはようございますー」

「おー、おはよう、ロンド」

 ロンド・シュール。艶のある綺麗な亜麻色の髪をショートカットに整えている垂れ目の少女は、店の制服に身を包んで受付から出てくる。頭の上にちょこんと乗っている二つの犬耳(・・)は、彼女の気持ちを代弁するかのように、眠たそうにクタリと垂れさせている。

 獣人族のバイト少女がフラフラと力なく尻尾を揺らしながら目元を擦る。

「くはぁー・・・・・・。店長ー、やっぱ朝早すぎますってー。まだ眠いよー」

 小さく欠伸をしながら文句を垂れてくるロンド。ふむ、ヤル気が感じられんぞ小娘。

「そう文句を言うなロンド。俺達アイテムショップからしたら、冒険者がダンジョンやらに出立するこの早朝はまさに書き入れ時なのだぞ!気合を入れろぅ!」

 ビシッと指を突き立てて彼女に喝を入れる。が、眠気眼(ねむけまなこ)を擦る彼女には、俺の声は届かない。くぁーっとまた小さい欠伸を漏らしながら、その目をコチラに向けて。

「ぶっちゃけ、この時間くらいにしか、常連以外のお客さんが来ないってだけですよねー」

「ばっ!?なに言っちゃってんのかなロンド君!そんなわけないじゃない!」

「あー、声が裏返って女口調になってるときの店長は図星を指された時、と」

 う、裏返ってないし!図星とか全然指されてないし!勘違いしないでよね!

 心の声で一人ツンデレっている俺を無視して、ロンドは首から大きなボックスを下げて店から出て行ってしまう。大通りに出て路上販売をするためだ。

 再び一人に戻って静かになった店内を見渡して、俺は一つ溜め息を吐く俺の耳に、カランと鈴の音が届く。

 鈴が揺れる扉を押して入ってきたのは、屈強なドワーフの三人組。分厚い筋肉を硬質な鎧で包み、背中に分厚い刃を付けた大剣を背負った冒険者たち。

 命を懸けて夢を追いかける冒険者達(かれら)を支援するのが、俺たちの役割。

「いらっしゃいませ。ようこそ、【春風のしらべ】へ!」

 さあ。今日もお仕事の始まりだ。



性懲りもなく始めちゃいました・・・・・・。他の作品、全く手がついていないのに・・・・・・。でもゴメンなさい!書きたくなっちゃったので書いちゃいました!

次話がいつになるかは全くわかりませんが、よければお付き合いください

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