社内恋愛の始まり
碧衣SIDE
初めて日和以外の人に私の過去を話した。
もし、この話を聞いて少しでも神坂さんが引いたなら、告白を断ろうと思った。
けど、神坂さんは引かず、一番欲しい言葉をくれた。
"絶対浮気なんてしない。碧衣ちゃんだけを愛するって誓うよ。それと、どんな時でも碧衣ちゃんの味方でいるし、碧衣ちゃんがもし辛い思いをしているときは支えるし助けになる"
凄く…嬉しかった。
もう一度、人を、この人を信じてみたい
…そう思えたの。
でも、後から聞いた話だけど、
神坂さんは日和を男の子だと思ったみたいで…
神坂「碧衣ちゃんが他の男とデートするって言うから、俺やきもち焼いちゃって…。ごめん。」
って謝ってくれたんだ。
確かに日和は見た目ボーイッシュだけど…女の子なのにー笑
でも、良かった。
神坂さんと付き合えて。
そう思い、次の日出社すると…
星川「碧衣ちゃん、おはよう!」
歓迎会の時、アプローチ(?)された星川さんが挨拶してきた。
碧衣「あ、おはようございます…。」
星川「今日も可愛いね。やっぱり俺と付き合わない?」
断ろうとした時、いきなり後ろから誰かに抱きつかれた。
神坂「だーかーらー!!碧衣ちゃんはダメですってば!!!!碧衣ちゃんは俺の彼女なんですから!!!!」
神坂さんの爆弾発言に、星川さんはあんぐり口を開けて固まっている。
碧衣「あ、神坂さん…。」
神坂「おはよ!!こんな人ほっといて、事務所行こうか?」
そして私は神坂さんに引っ張られる形で事務所へ入った。
すると…
美空「あ、来た来た。もう二人のこと、社内中で噂になってるよー!星川が碧衣にフラれたーって言いふらしてるみたい…。」
と、美空さんがニヤニヤしながら私と神坂さんのところへ来た。
碧衣「あ、そうなんですか…。」
どうりでさっきから皆私たちを見てひそひそ何か言ってるんだ…。
神坂「まぁ、良いんじゃない?これで碧衣ちゃんを狙う奴減ると思うし!!」
碧衣「え??私なんて可愛くないし性格も悪いし、狙う人なんていませんよ??」
私がそう言うと、美空さんと神坂さんが同時にため息をついた。
碧衣「え??え??何ですか二人して!!」
神坂&美空「…この子、無自覚にも程がある…。」
実は、神坂と美空と一緒にいるようになってから、碧衣が少しずつ本当の笑顔で笑うようになり、それから碧衣の人気が急上昇したのだ。
神坂「とにかく!碧衣ちゃんは可愛いよ!だから変な人には付いていかないこと!いい?」
碧衣「……はい……。//////////」
神坂さんに可愛いと言われ、ちょっと照れながらも返事をすると、神坂さんの顔が赤かった。
美空「あらー!神坂くん、顔真っ赤よ?笑 照れちゃったんでしゅねー、可愛いでしゅねー神坂君は!笑」
美空さんがそうからかうと、神坂さんは走ってどこかへ行ってしまった。
美空「逃げたし…、もう、からかいがいのないやつ!!!さて碧衣ちゃん、そろそろ朝礼だし、行こうか?」
碧衣「はい!^^」
それから本日の業務が始まった。
皆からの視線を気にしないように仕事していたら、午前中だけでも凄く長い時間仕事していたような感覚だった。
そして昼休み。
神坂「碧衣ちゃん!お昼行こう?」
碧衣「あ、はい!」
神坂さんがお昼に誘ってくれて、屋上へ向かった。
碧衣「あれ?」
神坂さんの手元を見ると、市販のパンだった。
もしかして、普段からコンビニとかで食事を買ってたりするのかな…。
気になった私は、聞いてみることにした。
碧衣「神坂さんは自炊とかしないんですか?」
神坂「俺、びっくりするくらい家事全般出来ないんだよね…。だから飯は外食かコンビニ弁当が主食…。」
え!?
それじゃぁ体に悪いよね…。
うーん…あ、そうだ!!
碧衣「あの、もし良かったら私、お弁当作ってきましょうか?一日三食コンビニじゃぁ体に悪いですし…。それに一人分も二人分も変わりませんから!^^」
私がそう言うと、神坂さんは凄くびっくりしたような顔をした。
神坂「え!?まず碧衣ちゃん、そのお弁当自分で作ってるの!?凄く美味そうだなぁ…っていつも思ってたんだけど!!それが毎日食べれるのなら俺、凄く嬉しいけど…本当に良いの?」
そう、碧衣は趣味:お菓子作りと言っているが、お菓子だけではなく実は料理も凄く上手いのだ。
碧衣「あ、はい!私は大丈夫です!お料理好きですから!^^」
神坂「そう?じゃぁ、お言葉に甘えちゃおうかな!…実は俺、好きな子の作ったお弁当食べるのが密かな夢だったんだよね…!笑」
"好きな子"
神坂の何気ない一言が碧衣は凄く嬉しかった。
もう恋なんてしない。
人なんて信じない。
入社当時の自分はこんな感じで人と接してきたのに、この人だけはいつも笑顔で接してくれ、しかも好きになってくれた。
碧衣は改めて、幸せを噛み締めたのだった。
神坂「ん?碧衣ちゃんどうしたの?」
碧衣「いえ、何でもないですよ?ただ、幸せだなぁって……あ!!!」
思ったことがそのまま口に出てしまい、慌てて自分の口を塞ぐと、
神坂「碧衣ちゃん、かわいすぎ…。」
チュッ
な、なんと、おでこにチューされました…////
碧衣「か、神坂さん、ここは会社ですー!!」
神坂「良いの良いの、誰もいないし! あ、でもここには今度するからね?笑」
そう言って神坂さんは私の唇を撫で、屋上を出て行った。
な、な、な、何なのよー!!
碧衣は心の中でそう叫びながら、赤くなった頬を抑えたのだった…。