~歓迎会~
「「「かんぱーい!!!!!!!!!!!!」」」
今日は、私の歓迎会。
…実は私、20歳を過ぎているにも関わらず、お酒は今日が初めて。
神坂「あれ?碧衣ちゃん、どうしたの?飲んでなくない?」
碧衣「実は私、お酒飲むの初めてなんです…。」
私がそう言うと、皆びっくりしたような顔をした。
神坂「え、そうなの?じゃぁ、今日は初めてのお酒と、歓迎会でWでめでたい日だね!!」
…何がめでたいのか全然分からないけど、まぁちょっとずつ飲めば大丈夫だよね?
私がちょびちょび飲んでいると、神坂さんの部署の部長さんが、
「さて、本日の主役、川瀬さんに自己紹介でもして頂こうかな!!」
と叫んだ。
…え?じ、自己紹介!?!?
「「いいねー聞きたいなぁ!!!!」」
「「お願いー川瀬さんー!!!!」」
皆さんの視線が私に集中する。
…はぁ、やるしかないか。
私は立ち上がり、自己紹介を始めた。
碧衣「えっと、システム管理課の川瀬 碧衣です。出来ればで構いませんが、下の名前で呼んで下さい。」
私がそう言うと、神坂さん以外の皆さんがまたびっくりしたような顔をし、
「「本当に!?!?じゃあ、碧衣ちゃーん!!!!!!!」」
と何故か叫ばれた。
碧衣「あ、ありがとうございます!!趣味は、お菓子作りで、いつも余るので、食べてくださる方を募集中です…。」
「「食べる食べるーーー!!!」」
うん、何かこの合いの手に慣れてきた(笑)
碧衣「えっと、あとは…。」
「はい!質問!!碧衣ちゃんは、彼氏いますか???」
………。あはは、来ると思った……。
碧衣「いません。」
「じゃぁ、俺、立候補しようかな!!」
と、立ち上がったのは、社内一のイケメンと言われてるらしい、製造課の星川さん。
星川「ねぇ、碧衣ちゃん。俺なんてどう?大切にするよ?^^」
星川さんは私の隣に座り、顔を近付けてきた。
…どうしよう。
怖い。怖い。
ぎゅっと目をつぶると、誰かに強い力で引っ張られた。
目を開けると、私は神坂さんの腕の中にいた。
神坂「星川さーん!!!悪ふざけが過ぎますよー!!」
星川「何だよ神坂!!邪魔すんなよー!!」
神坂「と・に・か・く!!碧衣ちゃんはダメです!!!!!!!!!!!!」
神坂さん…私を助けてくれたんだ…。
しかし、近い…。近すぎる。
碧衣「あの…神坂さん…。」
私が神坂さんの顔を見上げると、神坂さんと目があった。
神坂「あっ!!!!!!ごめん!!!!!//////////」
すぐさま神坂さんは気付いたみたいで、私を離してくれた。
「おーい、神坂、セクハラかぁ!?!?」
「碧衣ちゃんになんてことを…」
神坂「ち、違いますよ!!!!!!!!!!」
そう言いながら神坂さんはその人たちのところへ行ってしまい、
私は一人になりたくて化粧室へ入った。
………まだ、顔が赤い。
私、意識してる?
…神坂さんを?
…でも、神坂さんはあれと一緒の"男性"よ?
…そんな訳ない。
そう自分に言い聞かせていると…
「川瀬さん、大丈夫?」
と、管理部の美空 汐莉さんが化粧室に入ってきた。
「あ、大丈夫です。もう戻ります。」
「そっか。…あのさ、もし良かったら私たち、友達にならない?」
……えっ?
私と…美人で人気者の美空さんが?
「事務所、若い人いないでしょう?私、あまり話が合わなくて…。川瀬さんなら歳も近いし話も合うんじゃないかなって!…ダメかな?」
そっか。でも…また裏切られたら?
…でもせっかくのお誘いだし…
「はい。私なんかで良ければ!」
気付くとそう答えていた。
「ほんと!? じゃあ、碧衣って呼んでもいいかな?私のことは汐莉でいいよ!」
「あ、はい、汐莉さん!」
そして二人で皆のところへ戻ると、
「おーい、汐莉ちゃん、碧衣ちゃん、二次会行こうぜー!」
と、汐莉さんの部署の方たちが声をかけてくれた。
「碧衣はどうする?」
「あ…私は帰ります。」
「分かった、じゃあ、気を付けて帰ってね!バイバイ!」
「はい、汐莉さんも!」
そうして汐莉さんと別れ、夜道を一人で歩く。
今日は汐莉さんという友達(?)が出来た。
ただ、男の人は……ダメ。
ダメ。
…ダメなのに、どうして顔が浮かんでくるの…?
神坂さん、あなたの顔が。