~初めての友達…?~
神坂さんと仲良くなってから(?)二ヶ月が経った。
あれから神坂さんは相変わらず私によく話しかけてくれる。
…気付けばだんだん心を許し始めている自分に気が付く。
だけど、私の過去を知ったら、きっと神坂さんだって…。
そういえば昨日、妹の沙菜にせがまれてガトーショコラを作った…のは良いんだけど…。
ガトーショコラ1ホールを沙菜が食べ切れるわけもなく…。
結局余ってしまって会社に持ってきたのは良いんだけど、渡す人もいないのにどうしろって言うのよ…。
と、私がガトーショコラが入っている袋を見ていると、
神坂「あれ、それ何?もしかして…碧衣ちゃんが作ったお菓子?」
碧衣「えっ!!!!」
いきなり、神坂さんが顔を覗かせてきた。
…ち、近いんだけどなぁ…。
碧衣「あ、はい。昨日、妹にせがまれて作ったんです。」
神坂「嘘、そうなの!?美味しそうだなぁ…。」
じーーーーーーーーーーっ……。
…もしかして、欲しいのかな?
碧衣「あの、もし良かったら、貰って頂けませんか?」
あまりにもじーっと見るので、つい私はそう言っていた。
すると、彼の顔がぱあっと明るくなり、
神坂「え!?くれるの!?!?ありがとう!!!!」
神坂さんは私からガトーショコラを受け取ると、にこにこしながらその場で食べ始めた。
神坂「!!!!!これ、めっちゃ美味い!!!!!碧衣ちゃん、天才!!!!」
子供みたいな笑顔に思わず、
碧衣「ふふっ……。」
私は笑ってしまった。
神坂「!!!!//////////////////」
何故か次の瞬間、神坂さんの顔が赤くなっていた。
碧衣「あれ、神坂さん、顔が赤いですよ? …!!まさか、ガトーショコラ食べて具合悪くなっちゃいました??」
神坂「!!い、いや、大丈夫!!!!」
(碧衣ちゃん、初めて作ってない、本当の笑顔で笑ってくれた…。しかも、めっちゃ可愛い…。)
碧衣「???????」
何だろう、神坂さん、ずっと考え事してる…。
碧衣「あの、神坂さん????」
神坂「!!!!えっ、あ、あのさ、今度、碧衣ちゃんの歓迎会開こうと思うんだけど、いつ空いてる??」
えっ、私の…歓迎会????
碧衣「あの、お気持ちは嬉しいのですが…誰も来ないんじゃぁ…。」
私がそう言うと、神坂さんは少し怒ったような顔をして、
神坂「何言ってんの!!絶対皆来るよ!! …で、いつなら大丈夫?」
そうかなぁ…。
実を言うと私、この二ヶ月の間、神坂さんとしか話していないのだ。
まぁ。私が距離を置いているだけなのかもしれないけど…。
碧衣「…私ならいつでも大丈夫ですよ、皆さんの予定に合わせます^^」
神坂「…そっか。じゃぁ、俺の方で予定立ててまた連絡するね、じゃぁ!!」
そう言って、神坂さんは自分のデスクに帰って行った。
歓迎会かぁ…大丈夫かな、私。
でも、距離は置かないと。
…もう、傷つきたくない。
私は、なんという臆病者なんだろうか。
神坂SIDE
二ヶ月前、会社に派遣社員が入社してきた。
名前は、川瀬 碧衣ちゃん。
一目で分かった。
この子、過去に何か辛いことがあったんだろうなって。
しかも誰とも喋らない、休み時間には携帯ばかり見ていることから、社員の皆からは不思議な子っていうイメージを持たれているみたい。
でも、話しかけると、ちゃんと無視せず目を見て話してくれる。
お菓子も美味しかった。
きっと、ああなる前はいろんな人にお菓子配っていたんだろうなぁ…。
…最近、彼女のことばかり考えてしまう。
しかも、本当の笑顔で笑ってくれたからかもしれないけど。
本当に彼女の笑顔は可愛かった。
ねぇ、君はどんな過去があるの?
俺でよければ話聞くよ?
って、スマートに言えればいいけど、人には触れてはいけない部分がある。
もっと碧衣ちゃんと仲良くなれば、いつか話してくれるかな?
…今度の歓迎会で、もっと仲良くなりたい。
頑張れ、俺!!!!!!!!!!