~入社&出逢い~
碧衣「ここが新しい会社かぁ…。」
川瀬 碧衣は、今日から派遣社員として初めて就職するFan Rioという会社を見上げていた。
佐倉「川瀬さーん!行きますよー!」
この人は、派遣元の佐倉さん。とても明るく、優しい人。
碧衣「はーい!!」
そして私は、佐倉さんと共に、初出勤をしたのだ。
「「おはようございます!」」
星野「おはようございます、佐倉さん、川瀬さん。」
出迎えてくれたのは、私が配属になるシステム管理課の課長、星野さん。
碧衣「本日からどうぞよろしくお願い致します!」
星野「はい。それでは、事務所の皆さんに紹介しますので、こっちへ。では佐倉さん、川瀬さんをお預かりいたしますので。」
佐倉「はい、川瀬をどうぞよろしくお願い致します。」
そうして佐倉さんは帰り、私は皆さんに紹介して頂いた。
でも、私は作り笑顔しかできず…多分、好印象は持って頂けないかな…。
私は、やっぱり人を信じることが出来ない。
またあんなことになったら…と思うと、怖い。
怖いよ…。
と、突然、私の目の前にミルクティーが置かれた。
碧衣「えっ!?!?!?」
神坂「あ、ごめん、驚かせちゃったみたいだね…。」
この人は確か…品質保証課の、神坂さん?
碧衣「あ、いえ、大丈夫です。あの、これは…?」
神坂「あ、これ、ささやかだけど、川瀬さんの入社祝い!…と言いたいところだけど、実は自販機で当たったんだ…良かったら川瀬さん、貰ってくれないかな?」
えぇ…良いのかな…。
でも、ミルクティー…大好きだし…
せっかくこう言って下さっているんだし…
碧衣「良いんですか?ありがとうございます^^」
そう言いながらにこっと笑うと、
神坂「…あのさ、さっきの自己紹介からずーっと思ってたんだけど、川瀬さん、何か辛いことでもあったの?」
…え??
碧衣「どうしてですか?」
神坂「だって、無理して笑ってるし…。」
あ、ばれてる…。
でも、今まで作り笑いだってばれたことないのに…。
碧衣「……えっと、そうですね、色々あって、人と関わるのが怖くなってしまったんです。」
私がそう言うと、神坂さんは悲しい顔をした。
…どうして?
私にそんな過去があっても、あなたには関係ないのに…。
神坂「そっか…辛いことをきいてしまってごめん。俺、川瀬さんと仲良くなりたいんだ。歳が近いっていうのもあるけど、俺自身が川瀬さんと仲良くなりたいって思ったから!…ダメかな?」
そう言って、彼はさわやかな笑顔を向けた。
私は、怖いはずなのに、何故か彼の問いかけに頷いていた。
神坂「……え?良いの!? ありがとう!!」
こうして、私たちは出逢った。
もしかしたら、ここですべてが始まっていたのかもしれない。