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だらだら行こう(仮)  作者: りょうくん
はじめての街
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初めての依頼

 フードファイトが終わったあと、時間はお昼をいくらか過ぎた時間でまだ十分明かった。

千夏は露店通りに再び戻り、浮いたお金で古着屋で何枚かの服と別のお店で下着を買った。さすがに下着まで古着屋で買う気になれなかった。全てをアイテムボックスに放りこみ、再び手ぶらになる。


 日本にいたときはネットで24時間いつでも買い物ができたが、こちらの世界では日があるうちでしかお店が開いていない。

(突然小腹がすいたときにコンビニがないとか……ありえないよね……)


 少し歩くと肉まんみたいなものを売っている露店が出ていた。 とりあえずひとつ買ってみる。やわらかい白いパンのような生地の中から肉汁溢れてくる。


千夏の知っている肉まんと味はたいして変わらない。追加で3つほどかってアイテムボックスに突っ込む。アイテムボックスの保存状態を確かめるためにあえて買ったのだ。

肉まんがおいしそうだったからではない。誰に対して言い訳しているかわからないが千夏は心の中でそう繰り返す。


 というのもさきほどのフードファイトを見学していたらしき人が、肉まんをほおばる千夏をみながら「また肉くってる……人間じゃねぇ……」とつぶやく声が聞こえたからだ。


 また何かに目移りしそうなので、一回宿にかえって洗濯について聞いてみた。

やはり自分で洗濯して洗ったあとは部屋の中で干すのが一般的だそうだ。


洗濯竿など売っているのだろうか……。

その点を確認してみると洋服を干すための組立式の軽いハンガーラックを宿で貸し出してくれるらしい。とりあえず借りて部屋で組み立ててみる。


ただでさえ狭い部屋がさらに狭くなったが、寝るだけの部屋なので問題ないと千夏は判断する。


 千夏は新しく買った服と下着に取り換えて、もともと着ていたものを持って裏の井戸の向かう。



井戸に辿り着くとアイテムボックスからたらいと石鹸、洗濯板をとりだしてゴシゴシと洗濯を開始する。

思っていたよりもかなりの重労働だ。正直面倒で毎日はしたくはない。



 嫌々洗濯をしている千夏をみて宿のおばちゃんが一言声をかけてくる。

「1回あたり銅貨5枚で洗濯してやろうか?」

 もっと早くいってもらいたいものである。

ちょっぴり千夏は泣いた。


なんとか洗濯をして干し終わったときには面倒になり、千夏はそのまま夕飯まで寝て過そうと決めた。








 翌朝またもやおばちゃんに叩き起こされ、朝食を食べたあと千夏は冒険者ギルドへ向かう。気功講座は午後からなので、午前中は依頼掲示板を眺めることにした。

 Fランクの依頼は大半が町中の雑用だった。依頼料も銅貨7枚などかなり安い。

(肉まん3個分か……)

 嫌々働くのならもうちょっと金額が欲しいところだ。


 続いてEランクの掲示板を眺める。薬草採取系と長耳うさぎやスライムの討伐が載っている。武器もなにも持っていない千夏には討伐系依頼は無理なので、とりあえず薬草採取の依頼を受けることにする。


 千夏は掲示板から薬草採取の依頼書を剥がすと、受付へと向かう。今日の受付もなんとなく一度話したことがあるカリンを選ぶ。

「この依頼受けたいんですけど、薬草がどんなのかわからないので図鑑かなにかみせてもらえますか?」

「ヒール草と毒消し草の依頼かにゃ。ちょっと待ってにゃ」


 カリンが奥への図鑑をとりに行く。カリンの縞々の尻尾が左右に軽く揺れる。千夏は思わず尻尾とおしりをガン見してしまった。

(ちょっと触ってみたいかも……)


「待たせたにゃ。これがヒール草でこっちが毒消し草だにゃ」

 図鑑に載っていた薬草は特徴的な形だったので、なんとか覚えられそうだ。最後に薬草が生えている場所を教えてもらう。


「依頼はヒール草、毒消し草それぞれ10束ずつだにゃ。それ以上採取してきたら別料金を払うにゃ。頑張ってにゃー」

「ほどほどに頑張ります」

 笑顔で手を振るカリンに手を振りかえしてから千夏はギルドを出る。


 メイン通りの露店街をチラ見しながら小物屋で売っている小さなスコップに目をとめる。

(採取ってスコップでしたほうがいいよね)

 千夏は思い立ってスコップを購入してから街の外に出て行った。


 街を出ると一面の草原が広がっている。薬草は街から2キロほど西へいった森の入口近くに群生しているらしい。どうやら千夏が最初に放り出された森のようだ。千夏はあぜ道をだらだらと歩いていく。

(また誰か通りかからないかな。でもこの前みたいに寝待ちしたら気功講座にでれなくなるしなぁ。歩くしかないかぁ)


 歩き始めてから20分程で森の入口に辿りついた。前の体だと20分ほど歩くとちょっと疲れを感じたが、今はまったく疲れを感じていなかった。

(体が普通体型になったからかなぁ?)


 体型が変わったから疲れないわけではない。千夏がこの世界にくるときに取得した貯めるスキルとは食いだめ、寝だめ以外にもいろいろため込むことができるスキルだ。「〇〇をためる」という言葉つくものならなんでもため込む。


 ・魔力を溜める

 ・気力を溜める

 ・体力を溜める

 ・汚れが溜まる

 ・疲労を溜める

 などなど。


 千夏が移動にまったく疲れなかったのは体力がため込まれたせいだ。異世界転生初日は街までの移動は馬車で、そのあとは食べるか寝るかしかしていなかったため、殆ど体力を消費しなかった。

 通常はいくら休んでも該当Lvの最大値までしかステータスは回復しないが、千夏の貯めるというスキルは限界値を超えてステータスに反映されてしまっている。昨日休んだ分、体力が1日分浮いてるために体力ステータスが2倍になっている。もちろん貯めた分を使い切れば標準ステータスに戻る。

 本格的にしばらくだらけて過ごしたらどれだけの能力がため込まれるか計り知れない恐ろしいスキルであった。


 森の入口で千夏はうろうろと薬草を探してみる。5分ほど探して群生地帯を発見し、それぞれ20束ほど掘り起こし、アイテムボックスに収納する。

(薬草採取ってやたら順調なお仕事ね。これで銀貨5枚くらいか)

 長居は禁物ということでさっさと街へ千夏は戻っていった。



 ◇千夏のステータス◇

 名前:佐藤千夏

 年齢:24

 LV1


 生命力 :100(+200)

 魔力 :80(+160)

 持久力 :20(+16)

 気力  :30(+30)


 STR(力) :10(+20)

 DEX(器用) :10

 AGI(素早さ):10

 DEF(防御) :10

 INT(知力) :10

 LUK(幸運) :10


 その他

 ・食いだめ:4日分

 ・寝だめ :1日分

 ・汚れ度 :2日分(お風呂に入っていないため)


ため込み度を数値になおしました。

ため込みスキルについて見直しました。

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