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辺境の辺境へ

更新するファイルを間違えました。

すみません。


前回アップした内容を一部変更しました。

ガリガリ痩せ細った子の体調を考えずに二日で移動とか

ありえなさすぎました。


その辺りを書き変えました。

なので最新話だけみるとちょっと矛盾に感じるかもしれません・・・

 「「「領主どん、気をつけてな~」」」

 村長を始め村人達が全員集まり遠出する千夏達を見送る。

 まだ起きてからそれほど時間が経っていない千夏はぼんやりとそれを眺めている。

 領主が相変わらずなので補佐を務めるリルが代わりに、村長とニルソン相手に「後はよろしくお願いします」と丁寧に挨拶する。


 「お・せ・わ・に……な・り・ま・し・た」

 ユキは千夏お手製の日本語→人族共通語の変換表を見ながら、お世話になった転生者達にお礼を言う。

 「いつでも遊びにきてね」と裕子がその変換表の文字を一つ一つ指さして答える。


 滞在中にユキは裕子に連れられてエッセルバッハの王都に商品の仕入れに同行したことがある。

 鑑定能力を持つユキにフリーマーケットでの掘り出し物をいくつか見つけてもらった裕子は、ユキがエルフの里に行ってしまうことが残念でしょうがなかった。

 できれば一緒にフルール村唯一の商会である「ドラゴン商会」で活躍してほしいと思ってたのだ。


 ちなみに「ドラゴン商会」の主力商品はコーヒーと太郎が栽培している薬草。それと茜たちが作るマジックアイテムだ。

 商会は右肩上がりに急成長を遂げ、村の女性全員が商会で働いている。それでも労働者不足に悩まされているのが現状だ。

 ネバーランドへの移住者募集はずっと継続して行われている。ただやはり竜と一緒に住める剛毅な者でないとなかなか居つかないあたりが問題点だった。

 

 ユキとしてはエルフの魔法剣士に憧れていたので、商人よりガンガンレベルを上げることのほうに楽しみを見出していた。

 初級魔法を千夏に転写してもらったユキはエドやアルフォンスにサポートしてもらいながら、簡単なクエストを王都のギルドでこなし、笑いが止まらなかった。


 (ふぉふぉふぉふぉ。美少女エルフ魔法剣士見参!)

 ゴブリンに向かってそう高らかに宣言して、王都で見つけた掘り出し物の剣を構えて特攻する姿はある意味不気味だった。まだ冒険者ランクがEではあるが……。

 三ヶ月前、カーテンの陰で怯えていたエルフの少女はもうどこにもいなかった。


 エドの転移魔法で一行はゼンの街の入口前に転移する。ここから転移魔法陣がある森まで馬車で2日程かかる予定だ。

 「おやすみ~」

 千夏は馬車に乗り込むと早速二度寝状態に入る。

 (ほんとによく寝てるよね)

 ユキのフルール村での滞在期間中、ユキは千夏とはほとんど遭遇しなかった。

 大体が昼寝をしているか、部屋で本を読んでいるか……。会ったのは食事するために魔女の城で数回くらいだった。立派なぐうたら領主である。


 辺境伯が治める辺境での更なる辺境が目的地だったため馬車が通る道は細く、でこぼこした道だった。

 すぐに馬車の揺れが激しくなり、さすがの千夏もすぐに目が覚める。

 「いたっ、いたっ!!お尻痛い!!」

 御者を務めていたエドは馬車を仕方なく止めた。

 

「この悪路だと馬車の車輪が外れてしまいそうです。これ以上は無理です。みなさん馬車から降りてください」

「えぇーっ、歩くの?馬車で2日かかるところを歩いていくってこと?面倒くさい……」

 馬車を降りてぶつぶついう千夏をスルーして、エドがさっさと馬車をアイテムボックスにしまってしまう。


 (まぁ最初は徒歩の旅って相場が決まってるものね。私は歩くわ。それに途中で魔物に遭遇しそうだしね。ふふふふ。この魔法剣が火を噴いちゃうわよっ!)

 千夏はユキも一緒にごねるかと思ったが、バトルジャンキーに目覚めてしまったようで徒歩の旅を楽しむ気満々だった。

 

 (えー。現代人だったでしょ。移動は電車か車の世界の人だったでしょ。なんでそんな元気かなぁ……)

 げんなりとした顔で千夏はユキを眺める。

 結局二頭の馬には体力がないリルと面倒くさがり屋の千夏が乗り、エドとアルフォンスが馬を引くことになった。

 馬に乗ることにいまだに慣れていな千夏は、村に帰ったら茜に車の代用品になる魔道具を作ってもらおうと心に誓った。


 ユキの想定通りにのんびりと小路を進む一行の近くに何度か魔物が現れた。

 最初に魔物に遭遇したときにセレナとコムギが瞬殺してしまったため、全くなにもできなかったユキがくやしそうに呻いた。

 パーティとんこつしょうゆは勇者(千夏的には納得いっていない)と竜が中心となっているパーティだ。駆け出し冒険者のユキとはレベルが違いすぎている。


「ごっ、ごめんなの。次から気を付けるの」

 腰が低いセレナはひたすらユキにペコペコと謝り、よく分かっていないのか首を傾げるコムギをレオンが抱き上げてこうささやいた。

 「彼女は弱くて遅い。一撃を入れたいそうだから、抑えて戦ってほしいそうだ」

 「クゥ」

 素直にコムギは納得した。かつて自分が今よりも小さいとき狩りで、一撃も入れられずに終わったことを覚えていたからだ。


 それからは魔物が現れたときはユキを中心に狩っていった。

 見ていて冷や冷やする稚拙な戦い方であったが、リルがユキに何度も物理結界やヒールなどの補助を行い万全の態勢をとる。

 狩りの後に剣についてはセレナやアルフォンスが、魔法についてはレオンがまずかったところをユキにレクチャーを行う。


 千夏は特にすることがなかったので、のんびりと狩りを眺めていた。

 ただユキが「エルフの魔法剣士見参!」と叫ぶのを聞くたびに軽く溜息をついた。


 レベルがちょっとずつでも上がっていくのでユキは上機嫌だった。

  

 ゼンを出て3日後。 

 徒歩の移動に加えそれなりに魔物がちらほらと現れるため、まだ目的地についていない。地図を見る限りでは明日に到着できそうではあるが。

 小路沿いに寂れた廃村が見えたあたりでユキが突然立ち止ったまま動かなくなる。その顔色は青く、微かにぶるぶると体が震えていた。


 (どうしたの?大丈夫?)

 すぐにユキの変化に気がついたリルがユキに声をかける。

 (……あの村……私が前にいたところなの)

 気合を入れるかのようにパシパシと自分の顔を叩きながらユキは村から視線を外さないまま答えた。

 

 (盗賊に襲われた村か……。大丈夫か?)

 アルフォンスがユキに問いかける。

 (うん。大丈夫。でもあまり見ていたくないからさっさと行こう)

 ユキが速足で歩きだしたので、みんなも歩く速度を上げる。


 しばらく無言で歩き続け、村が完全に見えなくなった辺りで再びユキが立ち止る。

 (はぁ……。よくよく考えてみたら、これから向かう転移魔法陣のある森ってもしかしたら私が初めてこの世界にきたときの場所?ありえないわ……)

 (灯台もと暗しってやつだねぇ)

 千夏の相槌にはぁぁとユキは大きな溜息をつく。全く不親切極まりない。

 那留の竜への転生といい、ある意味死神省は説明不足が多すぎる。


 結局そこから1日かけて目的の森に辿りつく。

 しかしメルロウの地図の魔法陣の位置はかなり適当に描かれているため、場所がいまいちわかりにくい。

 そこで竜達の出番となる。 


 「あっちに強力な魔力を感じる」

 「いやー、レオンがいて本当によかったわぁ。さすがだね」

 千夏が褒めるとレオンはいつものようにぷいっと顔を横に背け「これくらい竜なら簡単なことだ」とぼそりと答える。

 「タマはまだぼやっとしか分からないでしゅ。さすがレオン兄でしゅ」

 タマにまで褒められてレオンは機嫌がいいのか口元が少し緩む。だがその顔を千夏に見られてまたもや首を逆方向にぷいっと背ける。


 魔力探知機となったレオンを先頭に森の中をひたすら歩く。

 途中オーク数匹と遭遇したが、「焼肉だ!」と目を輝かせた千夏がウィンドカッターで瞬殺したので、「ぐぬぬぅ……」とユキが歯ぎしりをする。


 やっとのことで辿り着いたのは巨木の下であった。

 (これが魔法陣?どこに?)

 首を傾げながらユキがパンとその巨木を叩くと巨大な赤い円形魔法陣が起動する。

 突然起動した魔法陣に乗り遅れないように千夏達は慌てて円の中へと飛び込んだ。 

  

ご指摘ありがとうございます。


途中まで誰が主人公なのかわからなく……

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