朝の風景
お久しぶりです。
久しぶりに更新しました。
詳細は活動報告に書きましたが、魔王編をとりあえずやめました。
1話前から書き直しています。
すみません。
「おはようさん」
早起きの村人達がぽつぽつと起きだしてきて、声をかけていく。彼らはこれから魔女の城に朝ごはんを食べに行くために移動していた。
そして彼らに声をかけられたうちの一人である朝倉は、首に巻いたタオルで汗を拭きながら「おはようございます」を返事をする。
それにやや遅れて、アルフォンスとセレナも挨拶を返す。だがその声は小さい。
二人の腰はロープでぐるぐる巻きになっており、その先には何本かの歯に分かれた重そうな鉄の塊を引いて走っているからだった。
鉄の歯ががりがりと地面を抉る音が断続的に続く。
朝倉は畑を耕しながら走るアルフォンスとセレナに並走しながら、新しく起きだしてきた村人に挨拶を返している。
「ただ走るだけでは勿体ないので、未開拓の畑を耕して体力をつけましょう」
村に帰ってからエドが提案した体力作りが功をそうして徐々に畑が増えていく。
朝倉も体力作りに一緒に二人の早朝訓練に参加しているが、普通に長時間一緒に走ることについていくだけで精一杯だった。二人が普通に何も重しを背負わずに走り出したらついていけないところだった。
村の警備隊長という職を千夏に与えられたからには頑張るしかない。隊長といっても隊員はいない。代わりに準隊員として暇な竜がパトロールに加わっているだけだった。
(でもちょっぴり早まったかもしれんなぁ……)
目の前で眠りこけている竜を大きく避けて走りながら朝倉はそう思った。
「いらっしゃーい、何にする?」
訓練の後に温泉にはいってすっきりした朝倉は、セレナとアルフォンスと連れ立って朝食を食べに魔女の城の食堂へと入った。
すぐにプチラビットがお盆をかかえて注文をとりにやってくる。
本日の定食はA定食は焼き魚定食。B定食はベーコンエッグ定食。そして最近人気のC定食の中華朝がゆ定食。これは千夏が王都の例の料理人から新しいレシピを買ったものだ。
朝倉はA定食。アルフォンスとセレナはB定食でソーセージ盛り盛りでと付け加える。
オーダーを受け取ったプチラビットと入れ替わりに、エドがティーポットを持って現れると3人にお茶をすっと淹れる。
ここでのお茶はセルフサービスだが、主にお茶を淹れるのは執事の仕事だった。だがいつもと違って彼ひとりではなく同じく燕尾服を着た初老の執事が同伴していた。
「お久しぶりです。アルフォンス様」
初老の執事が軽く一礼し、アルフォンスに挨拶をする。
「やぁ、久しぶりだな。マイズリー。父上と母上は元気か?」
屈託ない笑顔でアルフォンスが答える。
「誰だべ?」
「誰だべ?」
見知らぬ男に村人達が顔を見合わせている。この村の村人達は好奇心旺盛なため、食事の手を止めて席を立ち、わらわらと見知らぬ男の周りに集まってきた。
いきなり人に取り囲まれてしまった初老の執事は困惑顔になる。
「マイズリーだ。俺の父上の執事をやってる」
「ほぇぇ。エドどんと同じだべ」
「んだな。執事ってお茶淹れるのが美味い人だべ?」
アルフォンスの説明に村人達はふむふむと頷きを返す。
「こらこら、みんな。挨拶もせんで、何しとるんだぎゃ」
カンカンとマイフライパンをお玉で叩きながら村長が村人達を注意する。
「挨拶すんべ。せーのぉ」
「「「「「フルール村へようこそ!」」」」」
息を揃えて村人全員が両手を広げて挨拶をする。
「……どうも。よろしくお願いします」
困惑顔のままマイズリーが一礼をする。
「解散だべ!」
それで納得したのか、村長の号令で村人達はそれぞれ自分の席へと散っていった。
「……いやはや。ここは変わった土地ですな」
胸ポケットからハンカチを取り出し、額に軽くかいた汗を拭きつつ初老の紳士は苦笑いをする。
「いいところだぞ。温泉は入ったか?」
しゅばっとプチラビットが素早く配膳したトレーにアルフォンスは手を伸ばしながら呑気に答える。
「いえ。辺境伯がアルフォンス様をお呼びです。お食事後、ゼンにご足労お願いできますか?」
「なんだ?急ぎか?この後開墾した土地に肥料を混ぜなければいけないんだよなぁ……」
「肥料ですか……」
すっかり農民生活に慣れてしまっている御曹司に、マイズリーはくらりとめまいを感じる。
「肥料は私がやるの。千夏に一言かけてからいくの」
(しゃーない、さっさと行ってこいや)
「そうっすか」
セレナとシルフィンに言われてアルフォンスは食後の修行をあきらめた。
「私もこちらのご領主様にご挨拶をさせていただきたい」
遠慮がちにマイズリーがそう言うとアルフォンスは頷く。
「千夏はまだ寝てるのか?」
「いえ、あそこに。起きているとは言い難いですが……」
エドが指し示した先のテーブルにぐでりと頭をのせたままの千夏の姿が見える。
「ちー、ごはん。あーん」
半分眠り込んでる千夏の頬に、ソーセージをつきさしたフォークをぐいぐいと押し当てる幼児の姿が見える。姿はタマにそっくりだが、言葉から擬態化したコムギにようだ。
ぐにゅぐにゅぐにゅ。
何度も頬を押されて千夏は寝ぼけた頭をテーブルから上げる。頬にはべっとりとウインナーにかかっていたケチャップがくっついていた。
「……あーん」
千夏が口を開けるとコムギがその口にフォークを突き出す。
「ちー、おいしい?」
こくりと首を傾げてコムギが尋ねる。
その食事風景を見ていたマイズリーがまたもや困惑顔になる。
「あのね、いつもはもっとちゃんと起きてるの!たまに寝ぼけるくらいなの」
セレナは慌ててフォローするが、あまりフォローになっていない。しかも空気を読まないアルフォンスが「いつも通りだろ」と口を挟んで台無しにする。
この国外交的にどうなんだろう……。
ずっと黙って成り行きを見守っていた朝倉は少しばかり心配になった。
短いですが・・・
リハビリ中なので・・・




