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だらだら行こう(仮)  作者: りょうくん
はじめての街
12/247

従魔屋

「ウォータモンキー5匹討伐完了にゃ。依頼報酬は金貨3枚にゃ。それと依頼以外に倒したウォーターモンキーが13匹だから金貨7枚と銀貨8枚にゃ。薬草採取はヒール草と毒消し草は10束で依頼報酬が銀貨5枚にゃ。残りそれぞれ40束は1束セットで銅貨5枚で引き取るにゃ。金貨2枚だにゃ」

 カリンは金貨10枚と銀貨3枚を顔にすすがついている千夏に渡す。


「ウォーターモンキーの毛皮はないのかにゃ? 1枚 銅貨8枚で引き取るにゃ」

「ないです(まっ黒焦げで……)」

 へらへらと愛想笑いをしながら千夏が答える。セレナは疲れてなにもいう気がしなかった。


 とりあえず火事は鎮火し、森の中に少しだけ広い空間ができたくらいで済んだのが幸いだった。千夏が大量にまき散らしたファイヤーボルトの炎により森が燃え、森にひそんでいたウォーターモンキーを数匹まきこみ、結果討伐数が18匹になった。

 森を火事になければ千夏の魔法無双が格好よく決まっていたのだが……。セレナの中では千夏は常識がない人と定義つけられてしまっていた。


「それなら冒険者カードを返すにゃ。Lvがあがっていたから確認するにゃ」

 千夏とセレナはカードを受け取る。セレナはLv1つあがってLv10になっていた。千夏はLv1から一気にLv8まで上がっていた。


「とりあえず、お金わけますね。金貨5枚銀貨1枚と銅貨5枚ですね」

 千夏は受け取った報酬の半分をセレナに渡す。

「私が倒した数が少ないからこれだけでいいの」

 金貨3枚だけセレナは受け取る。


「たまたまですし、いろいろご迷惑をおかけしたので半分にしましょうよ」

 慌てて手に残ったお金を千夏はセレナに渡そうとするが、セレナはすっとそれを手で止める。

「できればそのお金で火以外の魔法を買ってほしいの。もう火事はこりごりなの」

 もはや千夏はなんにもいうことができなかった。


「とりあえずお疲れ様なの。またなの」

 正直千夏ともう一回組むのはこりごりなのだが、あの魔法がなかったら群に蹂躙されていた。そこだけは感謝しているセレナである。


「はい。じゃあまたよろしくー」

 千夏はぺこりとセレナに頭をさげるとお金をアイテムボックスにしまって先にギルドを出た。さっさとひとっ風呂浴びたかったのだ。

 汚れを落としたあと千夏は魔法屋に向かっていた。今日やるだけやって明日からぐうたらするためであった。


 通りすがりの人に教えてもらった魔法屋はメイン通りから2本ほど奥にいった通りにあった。看板をすぐに見つけることができ、千夏は魔法屋の中に入る。

 少し古びた店内は、水晶やら腕輪などのアイテムが雑然と並んでいる。全てマジックアイテムである。奥にカウンターがあり、そこには千夏の見知った老婆がうつらうつらと居眠りをしていた。


「こんにちはー」

 寝ている老婆に声をかけるが、起きる気配がない。千夏はアイテムボックスからスコップを取り出し、カウンターにのしかかって、ツンツンと老婆をつつく。散々杖でつつかれたお礼も兼ねてちょっと強めにつつくと老婆はやっと起きた。


「なんじゃ。年寄をつつくな」

 老婆は起きるとぺしっと杖でスコップを跳ね上げた。

「やっと起きた。魔法転写をしてほしいの」

「この前転写してあげた子だね。ギルドで売るより高いよ」

 老婆はずらりと魔法がかかれた料金表をカウンターの上に広げる。確かに前回買ったときよりも若干高い。


「風の初級攻撃魔法が欲しいの。いくらになるの?」

「ふむ。ウィンドーカッターなら金貨2枚と銀貨2枚じゃな」

 先にお金を千夏は払う。


 老婆は前回と同様に片手で杖をあげ、片手を千夏の頭におく。

「転写。ウィンドカッター」

 びりっとまた頭の中がしびれ千夏は呻いた。老婆はお金をしまい込むと千夏などいないかのように、再びうとうとと眠りはじめた。


 しばらくして頭のしびれがとれた千夏はふらふらしながら店を出る。

(今日はさっさと宿に戻ってだるいから寝よう)


「おーい、チナツ!」

 メインストリートを宿に向かって歩いていた千夏に気が付いたウォルが声をかけてくる。

「……なんだウォルか」

「なんだとはずいぶんだな。チナツは暇か?」

「暇といえば暇……。忙しいといえば忙しい(寝るのに)」

「意味がわかないぞ。暇なんだろ、本当は」

 だらりとしている千夏と正反対にウォル少年は元気いっぱいである。


「これから珍しいところにいくんだけど、一緒にどうだ?」

「珍しいってなに?」

「まぁ、行けばわかるよ」

 ウォル少年はさっさと千夏の腕をひいて歩き出す。抵抗するのも面倒な千夏はそのあとをついて歩く。せっかく戻ったメインストリートを出て、路地を何個か曲がっていく。人通りもかなり少なくなっていく。すでに千夏は道がわからなくなっていた。


「ここだよ」

 ウォル少年が立ち止った場所は木でも石でもなく大きなテントが張られたテント小屋であった。躊躇なくウォル少年はテントの中に千夏を引っ張っていく。

(獣くさい……)

 テントをくぐるとむっとした獣臭がただよってくる。薄暗いテントの中に何個かの檻があり、檻の中には様々な動物がいた。足が長くすらりとした大きなダチョウのような鳥(いや、どちらかというとチョ〇〇か?)やサイのような獣、赤い肌色をした気性が荒そう馬など様々だ。


「従魔屋だよ。冷やかしお断りなんで、買う以外でめったにはいれないんだ」

 ウォル少年もあたりをキョロキョロしながら嬉しそうに言う。

「ウォルは何か買うの?」

「ああ。うちの店今度からホロホロ鳥だけじゃなくてほかの食材も扱うことにしたんだ。それの荷運び用にラディを買うことにした。もう予約もしてある」


 ラディって何だろうと千夏が質問しようとしたときに、いつの間にやら中年の太った恰幅のいい男の人が近寄って声をかけてきた。


「私、従魔屋の店主サイラスと申します。何かお求めでしょうか?」

「ああ、カルマン商会のウォルだ。ラディを予約注文してるはずなんだ」

 精一杯胸をはってウォルがいうと、サイラスは軽くうなづき、奥のほうへを指し示す。


「はい。ご用意させていただいてます。こちらへどうぞ」

 檻の間を抜けながら目当ての檻の前にサイラスは立ち止る。

「こちらがご注文のラディです」

 檻の中には体長3mほどの大きさのカンガルーもどきがいた。カンガルーと違って頭に一本の太い角が生えている。


「おー。すげぇ」

 ウォル少年は檻に近寄り。これから相棒となるラディをニマニマしながらいろんな角度から観察する。そのとき千夏はカンガルーって食べれたんだっけなと不埒なことを考えていた。

「お気に召していただいたようで、早速ですが商談に入らせていただいてもよろしいでしょうか?」

「あ、うん」

 少し落ち着いたのかウォル少年はサイラスの前に戻ってくる。


「従魔の契約をさせていただきますので、このナイフでちょっと血を出していただいてこちらの杯にいれていただけますか?」

 サイラスがさしだしたお猪口のような杯には赤黒いなにかがすでに入っている。ウォルはサイラスからナイフを受け取ると、右手の親指に軽く刃をたて数滴を杯の中に血を垂らす。

「あの中にはあのラディの血が入っているんだ。俺の血とまぜて契約をするんだ」

 物知り顔でウォルが説明してくれた。


 サイラスは杯を取り上げるとラディの檻に近寄り、ラディに向かって呪文を唱えた。

「命ある限り主の命に従え、従魔契約!」

 ぽぅっと杯が光り、そのままラディのほうに飛んでいく。光はラディの角にあたり、一瞬大きく光って消えた。


「これにて契約はなされました」

 そういいながらサイラスは檻に近寄り鍵を開ける。ラディは檻からひょこっと出るとウォルに近づいてきた。

「あとは名前をつけてやってください」

「名前か……。そうだな、オスカーにしよう。今日からお前はオスカーだ」

 嬉しそうにラディをなでながらウォルがいう。


「グワッ」

 オスカーは一声鳴いて返事をする。オスカーの鳴き声に一瞬千夏はびっくりとする。

「チナツ、ラディは力持ちだし結構頭がいいんだ」


 千夏は思わずさっきから思っていたことを質問してみる。

「へぇ、そうなんだ。ところでラディっておいしいの?」

「グワッ!」

 オスカーは慌てて千夏から飛び離れる。


「なんてこというんだ、チナツ!」

「まぁ、筋肉が多いので筋張っておいしくはないですね」

 のほほんとサイラスがかわりに答える。

「そうなんだ……(カンガルー料理ってあったようなきがしたんだよね。食べたことないけど)」

 しばらくの間ウォルに千夏は説教された。


 ◇千夏のステータス◇

 名前:佐藤千夏

 年齢:24

 Lv8


 生命力 :180(+30)

 魔力 :104(+3)

 持久力 :36(+42)

 気力  :30(+110)


 STR(力) :18(+40)

 DEX(器用) :18

 AGI(素早さ):22

 DEF(防御) :18

 INT(知力) :34

 LUK(幸運) :12


 その他

 ・食いだめ:4日分

 ・寝だめ :4日分

 ・汚れ度 :標準



すみません、従魔屋です。タイトルと本文一部間違えていたので修正しました。

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