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だらだら行こう(仮)  作者: りょうくん
はじめての街
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ご一緒していいですか?

 念願の魔法を手にいれた千夏は少し浮かれていた。魔法講座が終わりギルドをたたき出されたあと、普段は通らないメイン通りから一本となりの道を探索と称して歩いていた。


(ギルドと宿とメインストリートしか知らないんだよね、この街)


 メインストリートから一本しか離れてない道はそれなりに店も多く、人もいる。

鼻歌を歌いながら気になる店をのぞいたりしてそれなりに千夏も楽しんでいた。目の前に『公衆浴場』という看板を見つけるまで……。


 銅貨2枚を払い、千夏は公衆浴場の女性の脱衣所にいた。

古びているがそれなりに清潔感が保たれている。服はかごの中に入れておいて置く。日本の銭湯とあまり変わりがない。


 浴場にはいってみると広いお風呂と体を洗うスペースがあった。体を洗うための蛇口はなく、湯船からお湯を汲んでみんな洗っていた。一時間おきにウォーターとヒーターの魔法でどうやらお湯を追加しているらしい。



 宿では魔法を買ったとしても屋外でおけのお湯でちびちびと体を洗うだけで、湯につかることはできない。

(あと見つけるのが一日早ければ……)

 がっくりとうなだれる千夏であった。よろよろとお風呂のお湯を体にかけてから湯船につかる。


 最初はかなり落ち込んでいたが久しぶりのお風呂に気分も浮上していった。

(まぁ魔法は家を買ったときに役にたつさー)


 ぽかぽかの体で上機嫌に宿に戻り、千夏は一階の食堂で牛乳を注文し、ぐびぐびと飲み干す。

(明日もお風呂にいってゆっくり過ごそう)

 千夏は呑気にその後二日ほどお風呂と食っちゃ寝を満喫していた。


「ところで、今回も継続するかい?」

 夕飯のときに宿のおばちゃんが尋ねてきた。前回延長で払ったお金は今晩で終わりだった。


「あ、うん。3日継続で」

 千夏は金貨を1枚払い、1枚の銀貨をおつりにもらう。

気が付いたらお金の残りが金貨3枚をきっていた。そろそろ真面目に働かないとまずい。働くのであれば短時間で高い収入が欲しい。



(確かこの前薬草採取した森に討伐モンスターがいたよね。両方依頼うければお得だよね。でも武器も防具も何も買ってないし、一人で討伐に行くのはかなり危険だよね……)


 翌朝千夏は早起きをしてギルドの掲示板の前で目標となる討伐依頼を受注する人を張っていた。頼み込んで一緒に連れて行ってもらおうと思ったからである。

(一応魔法は使えるし、お願いすれば何とかなるかもしれない)


 普段はのんびり朝寝坊をしてからギルドに来ていた千夏だったが、やると決めたらやれる子である。


 早朝のギルドは依頼を受ける人でごった返していた。ギルドのロビーが人に埋もれているのを初めて千夏は目撃したのだった。


 ロビーの依頼掲示板は各ランク毎に分かれている。依頼を選んでいる冒険者が多いのはBまたはCランクの掲示板で、千夏がターゲットとしているEランク掲示板はちらほらと人がいる程度だ。

しかし、おかげで目的の依頼書を掲示板から剥がした人をすぐに見分けることができた。


「すみません、ちょっといいですかー」

 千夏の狙っていたウォーターモンキー討伐の依頼書を掲示板から剥がしたのは、つぶらな黒い瞳の犬型獣人のかわいらしい少女であった。千夏は覚えていないが、セレナのほうは千夏をしっかりと覚えていた。


 突然千夏から声をかけられて訝しげに振り返るセレナ。

「なんなの?」


「おひとりですか?私もその依頼を狙ってたんです。もしよろしかったら、ご一緒してもいいですか?

討伐依頼よりも多く倒しても一匹あたり銀貨6枚でますし。一人でも多く一緒にいったほうが危険が少ないですよね」

 セレナの返事を聞かずに、立て続けに千夏はしゃべりだす。


「ひとりなの」

 素直に答えるセレナであった。

現在セレナレベルは9。ウォーターモンキーであれば2体同時でも一人で倒せるLvである。


ただまれにウォーターモンキーは猿なだけあり、群で襲ってくることがある。その場合はセレナは即座に逃げるつもりであった。足の速さには自信がある。


「見るからに前衛職の方ですよね。私魔法が使えるんです、お役に立てると思います。

あ、あとついでに森の入口の薬草採取も一緒にしようと思っているんです。せっかく森まで行くのならそのほうが効率的に稼げますよね」


 久々に一気に多くの言葉をしゃべった千夏であるが、なんとか予定通りのセリフをすらすらとしゃべることができた。あとはゴウイングマイウエーで攻めるだけだ。


「これ、薬草採取の依頼書なんです。そっちの討伐依頼も渡してもらえれば一緒に二人の名前で受けてきます。

あ、申し訳ありませんでした。私はチナツといいいます。あなたのお名前は?」


「セレナなの」

 ひょいとセレナがもっている依頼書を千夏はひったくり、自分で持っていた依頼書と2枚合わせて受付に出す。


「すみませんー、この依頼をチナツとセレナさんで受けたいんですけどー」

「なんなの?」

 セレナは混乱していた。


「わかったにゃ。二人ともギルドカードを出すにゃ」

 カリンが依頼書に依頼受付済の判子をバンバンと押しながらいった。千夏は自分の冒険者カードをさっさとカリンに渡す。


「セレナー、早くカード出すにゃ」

 朝一番の依頼受付が混雑している時間のため、カリンは茫然としているセレナに催促する。


「あ、はいなの」

 もう依頼を受けないとは言い出せない雰囲気であることを悟り、千夏の勢いに飲み込まれたままセレナは冒険者カードをカリンに渡した。


「受付完了にゃ。がんばってにゃー」

 笑顔のカリンに見送られ、千夏に手を引かれながらセレナは冒険者ギルドを後にしたのだった。



 ◇千夏のステータス◇

 名前:佐藤千夏

 年齢:24

 LV1


 生命力 :100(+500)

 魔力 :80(+400)

 持久力 :20(+48)

 気力  :10(+40)


 STR(力) :10(+50)

 DEX(器用) :10

 AGI(素早さ):10

 DEF(防御) :10

 INT(知力) :10

 LUK(幸運) :10


 その他

 ・食いだめ:4日分

 ・寝だめ :4日分

 ・汚れ度 :標準








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