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無属性魔術しか使えない魔術師  作者: 401
第三章 魔術編
30/43

第二十八話 開幕

四月四日 修正

 町でポンポンと魔法の花火が上がっている。


 夜に上げろよ。


「夜にはまた別に上がるよ」

「あ、そう」


 城壁の外の、小さな山の中の森。

 今回は、「金剛大鬼ロバストオーガ退治」だったか。


 最近になって上級に昇格である。


「上級だったの?」

「何級だと思ってたんだ?」

「姑息な戦い方をする下〜中級だと」


 失礼な。


「俺の戦い方はバリバリ王道だっての」

「あんなエゲツない武器を作っといて…………」


 現代兵器っていうのはエゲツないのばっかなんですー。


 と、進むとでっかい鬼のような生き物が見えてきた。


 ふつうの大鬼オーガよりデカい、三メートルはある巨体で、巻きつけたボロ切れからのぞく筋肉は、まるで金属製のようだ。


「……ごめん、私もっとゴブリンとかそんなんだと思ってたんだ。帰るね」

「帰んな」

「やーだー! こーわーいー! かーえーるぅー!」


 自分から言い出しといて何を言うんだ全く。


「一応グレネードランチャー持ってんだろ。それ撃ちゃあ一発よ」


 いや、一発とはいかないかもしれない。


「……本当に?」

「本当ホント。マジマジreally?」

「エルフ語で、しかも私に聞かれても……」


 現在のレイナの装備は、


頭:耐熱耐水鉢巻

体:耐熱耐水の頑丈なジャケット

腕:グレネードランチャー&四属性ナイフ

脚:耐熱耐水のズボン

足:風属性付加の安全靴


 まあ、うん。鉢巻に耐熱耐水をつける必要はなかったんじゃないかな。


 俺は、


頭:黒の野球帽(日除け)

体:鎧下ギャンべソン鎖帷子チェインメイル、耐熱耐水の黒ジャケット

腕:重撃の魔剣&四属性魔銃

脚:耐熱耐水の鉄板入りズボン

足:ミスリル製魔法付加の鉄靴サバトン


 他、姑息装備をいくつか。


 「ブレット系魔法発射筒」はダサかったので、俺が自腹で素材を買ってきて、銃にデザインを改めさせた。


 威力は僅かにだが上昇し、見た目は銃そのままである。

 ベレッタに似た感じだ。格好いい。俺に絵心はそこまでないし、記憶頼りだから微妙に細部が異なるが、まあいい。


「じゃあ言ってくる。逃げるなよ。逃げてもいいけど俺がそいつを取り逃がした時助けられなくても知らないぞ」

「……わかった」


 では。


「脚力強化」


 ダッシュ。

 振り向く金剛大鬼ロバストオーガ

 銃を抜く。


「『超越土オーバーソイル』」


 ギュンっ、と土の弾丸が鬼の顔面に飛んでいき、自重で自壊し運動エネルギーが解放され土が爆ぜる。


 防御力の高い金剛大鬼ロバストオーガだけあって、あまりダメージは受けていないようだが、目くらましにはなる。


 鬼の目の前でジャンプ。

 横薙に振るわれる巨腕。


「『物体強化ランクアップ』」


 そこでもう一度ジャンプ。

 腕が空を切り、いくらか視界を狭められていた鬼は、一瞬俺の居場所がつかめなくなる。


「『重撃化ウェイティング』!」


 遠心力を利用して、回転気味に切り下ろす。

 剣が後頭部に命中し、顔へと抜ける。


 脳漿と目ん玉飛び散るスプラッタ。


 華麗に着地。

 剣の血を払って、振り返る。


 レイナの顔にべったり血がついていた。


「…………」

「…………」

「…………『ウォーター』」

「へぶっ!」


 レイナの顔に水の弾を射出。

 よし、綺麗になった。


「アンタ何してんの!?」

「綺麗になっただろ?」

「やり方ってモンがあんでしょうに!」

「まあまあ、顔拭いてやるからちょっと黙ってな」

「バーカ!」


 そう言いつつも、素直に顔を拭かせてくれるレイナ。まあ、血だらけは嫌だろうな。


 さて。


「どうだった?」

「最後ので台無しよ!」


 うん、まあ、そうだね。


※※※※※


「あ、武闘大会と魔法大会って一緒に登録できないの?」

「時間が重なるのよ」


 観客が両方一緒に見れないじゃないかそれじゃ。

 まあ、なら武闘大会だけでいいか。


「…………本当に優勝する気なの?」

「いやー、優勝できなくても強いやつを吹っ飛ばせればそれでいいさ」

「あらそう」


 登録場所へ向かう途中である。


「っていうか、お前こんなところでこんなことしてていいの? 学校でも出し物とかあるんだろ?」

「友達とかいないから大丈夫」

「…………お、おう」


 なんだ、今一瞬高校で部活に入る前の自分を思い出したぞ?

 一人でも大丈夫なタイプか。いたな、親戚にそんな子。


「ってあれ? 俺って友達じゃない感じ? いや待て、今のセリフってちょっと――――」

「んー、私的には取引相手って感じだったんだけど。いや駆け引き相手?」

「――――っと。って、いつ駆け引きなんかしたんだよ」

「まあ、友達でもいいかな」

「そうか、じゃあ友達でいいか」


 ぬっるいな。

 そんなもんか。


 登録会場である。

 行列が出来ていた。


「なんでこんなに多いんだ?」

「選手登録と観客登録が一緒だから」

「天下一武道会と同じシステムかよ。分けろよちゃんと」


 仕方ない、今のところは帰るか。


「え、帰るの?」

「だってさ、今の最後尾ってあのでっけえおっさんだろ?」

「そうだね」

「それで俺がその後ろに並ぶだろ?」

「うん」

「で、『無属性のくせになまいきだ。』とか言われるんだよ」

「…………ん? うん。その可能性はあるね」

「で、俺が怒ってあのおっさんを殴り飛ばすんだよ。あたりは騒然」

「穏便に収めようよ」

「そうなるのは困るからな」

「忍耐って知ってる?」


 知ってる。

 奴隷生活の時に散々やった。

 だから今はっちゃけてるんじゃないか。


「じゃあどうするの?」

「道は覚えたし、朝早くの人がいない時にこっそり来るよ。夜中に起きるのは得意だ」


※※※※※


 次の日の朝、結局なんかチャラいお兄さんを殴り飛ばしてしまったが、朝で人が少なかったので、騒然にはならなかった。


※※※※※


「これとかどう? 四属性を使った、給湯器にもなり暖房機にもなり焼石機にもなる箱!」

「最後の機能がいらん。なんだ焼石機って」

「えっと…………おいしいお芋が焼けるかもしれない」

「いらん」


 いつの間にか、俺はレイナのアドバイザー、レイナは俺の専属魔道具製作者アイテムクリエイターのようになっていた。


 専属って言っても、今のところは、だが。当分は専属だろう。今日の出来を見る分には。


「今日もあれ? 新奥義の訓練?」

「まあ、そんな感じ」

「ふうん。やっぱり思春期なのかな……」

「え?」

「いや、何でもないよ。それより出る人の名前が何人か号外で掲載されてるよ。ゼロの出身の、王国最強の騎士、【雷】のブリューナクとか、極上級冒険者も一人――――」

「有名人の名前とか聞いてもわかんねえよ。あ、ラナ・オーネイト・ミスティルテインは出るのか?」

「あの人は何年か前に、あの人とおんなじぐらい強い人が出るまで出場停止だって運営から通告されてる」

「ふうん」


 残念。

 まあ、優勝すれば有名になるだろうから、その内釣れるだろう。


「勝ちたいの?」

「別に一回で勝とうとは思ってないけどな」


※※※※※


 大会当日。


 俺は、新奥義によって頭が消し飛んだ極級モンスターを見て満足しつつ、会場へ向かったのだった。

 来週で春休みが終わります。


 投稿頻度が確実に落ちますが、ご容赦ください。


 頻度は落としても、品質は落としません!(ていうか上げるべきですね)

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