第十三話 魔法
「ラナさん」
「…………ん、なに? ローゼ」
「手から血出てますよ」
「およ。いつの間に。やっぱかなりやるみたいだね、あの子」
「……子? ラナさんに手傷を負わせた子供がいるんですか?」
「まあね。けどまさか【剛】魔法の常時展開防壁を打ち破ってくるとはねえ」
「人類の至宝たるラナさんに傷を負わせるとは……! 許せませんね、どこに行ったんですその愚かなるクソガキは。とっ捕まえて煮て炙って、手足ぶった切って泥沼にうつ伏せで沈めてやりましょう」
「ダメだよ、子供は殺すなっていつも言ってるでしょー? ああ、まあ『忌者』は殺せって言ってるから間違いではないか……」
「? なぜ今あの下等種どものことを?」
「ああ、その子供が白髪の――――【無】属性だったんだよ」
「…………えっとぉ。この町ごとぶっ潰していいですよねぇ? 『忌者』の、しかもその中でも最低の雑魚の分際で…………ッ! よくもラナさんを……! ラナさんを……ッ!」
「だーめだって。それにこれからブリューナクのおっさんの蘇生に行かなきゃなんないんだから」
「ッ。ああ、あの【雷】の御仁ですか。この国の騎士最強という」
「そう。何者なんだろうねえ。あのおっさんぬっ殺した人。私でも勝つのに十秒はかかるってのに」
「爆発音がして地震が起こったとかいう話でしたが」
「ま、蘇生させりゃわかるでしょ。じゃあ行くよ」
「申し訳ございませんが、先に向かっていてくれませんか? この町を一刻も早くぶっ飛ばさないと…………」
「ダメだって。ほら行くよ、ローゼ」
「うぅ…………」
※※※※※
「はぁ…………」
最強の冒険者とかなんとか言っていたが、女にいいように言われて、その上何もできずにビビって逃げ出すというのは男としてのプライドがざっくりやられる気分だった。
「途中で、ずっと叩きつけられていた殺気が嘘みたいに消えたから多分もう追ってこないと思うんだけどなぁ」
それでもまだ、怖い。
「……クソ、次会うときまでに新必殺技を開発させてやる。いや、今日中に開発させてやる」
そう意気込みつつ、「魔法のつかいかた」を読む。
金を稼ぐ方法やら、色々と考えないといけないことはあるが今日はこの本を読んで新必殺技を開発すると決めたのだ。
まず書かれていたのは、魔法の属性についてだった。
概要の最後の方に、「忌み属性とかマジ使えねwwwこんなんもって生まれた人カワイソーwww」みたいなニュアンスのことが書いてあって非常にイラッとしたが、それでも読む。
まず、人はいくつかの属性を持って生まれる。
持っている属性に属する魔法以外は使えない。
持っている最も強い属性はその人の髪の色、その次に強いものは目の色で判断することができる。
最も強いものの威力が百とするならば、その次は五十、それ以降は全て十程度の威力になるらしい。
忌み属性のような「使えない」属性を髪に持とうものならば、その人間は魔法使いどころか冒険者すら諦めた方がいい、などということが書かれてあった。
この世界の剣士戦士は、剣術武術に魔法を組み合わせて戦うからだ。
流派なども「【火】属性剣術」「四大属性武術」など、属性によって分かれている。
剣術は、理論で魔法を操る魔法使いと違い感覚的に魔法を操ることができるので接近戦に強い。
忌み属性の流派は、ない。
何十年か前の、魔族と呼ばれる亜人種と人種の戦争中では、魔族が【闇】属性の者を暗殺者として育てるために武術を教えて鍛えたこともあったそうだが、今は魔族は絶滅してしまったらしい。
話を戻すが、そういった属性には様々な種類がある。
もっとも現れやすいと言われる
「四大属性」【火】【水】【土】【風】。
そしてその次に現れやすい、「四大属性」に連なる、
「四連属性」【熱】【霧】【砂】【旋】など。
それらに属さない属性も多くある。
「生産系属性」【鉄】【熟】【錬】【造】【成】など。
「変化系属性」【獣】【硬】【形】【転】【変】など。
「儀式系属性」【喚】【還】【浄】【霊】【蘇】など。
また、これらの属性たちの上位であり、下位の属性魔法も操ることができる
「中位属性」【炎】【氷】【地】【嵐】など。
そしてそれらのさらに上位、
「上位属性」【焔】【海】【陸】【空】など。
また、聖教会なる組織が「神から与えられし魔法」として信仰する、
「聖属性」【光】【聖】【神】【天】など。
他にも色々あったが、いい加減うざいんで飛ばす。
次は、魔力について。
ふむふむ……。魔力は成長とともに増加していき、その成長率は人によって異なる。基本的に鍛錬などでは増加しない…………。
…………。
…………え?
え、それちょっとどういうこと? 俺毎日使い切って、潜在魔力を引き出して増加させてきたのに…………?
え、なになに、【魔導の扉】?
限界まで魔力を消費し、さらにその後魔法を無理矢理行使することにより、体の奥底から暴走するような、失敗すると死ぬような魔力が吹き荒れ、それを消費しきると強大な魔力を得ることができる…………?
…………カッコ書きで、(高等技術)って書いてあるし。
超級の魔術師で、開いた回数は百回以上…………?
俺、毎日開いてたよな、それ。
今六歳で、この世界の一年は三百日だから…………一八〇〇回。
サボったりしたからそれよりも若干は少ないだろうが…………。なるほど、俺がなぜか強かった原因はコレか…………!
あ。
必殺技、思いついたかもしれん。




