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無属性魔術しか使えない魔術師  作者: 401
第二章 冒険編
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第十一話 道程

 ドギュアッ! と顔面に拳を叩き込まれたゴブリンの頭が爆発四散する。


 ガシュアッ! と俺が掌底を叩き込んだオークの腹に風穴が開く。


 ビシュアッ! と俺の後ろ回し蹴りを喰らった野犬が横に真っ二つになる。


「お…………」


 そして俺は、叫ぶ。


「俺TUEEEEEEEEEEEE!」


 …………。

 ……………………。

 ………………………………。


 ごめんね。

 うざかったよね。

 調子乗っちゃったね。


 前回あのおっさんにボロボロにやられたくせにね。ハハッ。


 それはともかく、なんだかんだでin森である。


 地図を見る暇がなかったので、直線方向にまっすぐ最寄りの町へ向かうつもりで走ったら、森の中に来てしまった。


 追手らしき人たちもきていた(風魔法のジェット噴射飛行にはビビった)が、俺が道中にあった五メートルぐらいの大岩を全力投球したあたりで、だんだん数が減っていって、今はもう誰もいなくなった。


 今日は街を出てから三日目の朝。

 景気づけにその辺のモンスターをぶち殺していたところさ。

 野犬はモンスターではないが。

 まあいい。


 寝起きの喉の乾きを覚えたので、昨日見つけた川で水を飲む。

 別に大して上流でもないので、腹下す可能性大だが、胃腸を強化すればそれもモーマンタイ。


 それにこの川見た目は綺麗だしな。

 覗き込むと、俺の顔が移った。


 …………弱そうな顔、って言ってたな。

 別にブサイクではない。むしろかなり整った顔だ。

 だが確かに優男な感じだ。いや、女顔か? 髪長いから余計女の子に見える。


 …………ところで、女顔の主人公って割と多いよな。

 男の娘とか、そういう領域のことはよくわからんからな…………。


 どうでもいいか。


 明らかに何か宇宙意思的な何かが何か適当過ぎる思いつきで何かのフラグを立てた気が何かするが、気のせいだろう。


 目的の町へ歩く。

 ちなみに現在の装備は、


頭:なし

体:モンスターの血で濡れた奴隷服(上)

腕:なし

脚:電撃で焦げた血みどろの奴隷服(下)

足:なし(防御力強化しているので怪我はしてないですよ)

所持金:金貨五枚。(約五十万円)


 もうちょっとなんとかならんもんだろうか。

 せめて服は洗おうか。臭い。


 川で裸になり、服を洗う。ついでに体も。

 元が汚いのでそこまで綺麗にはならんが、血は落ちた。


 上を超高速で振り回し、脱水。

 微妙に濡れてるが、着る。


 下を超高速で……あ。

 焦げた部分から千切れた…………。着れない…………。


 上の裾が長くて助かった。流石にパンツ丸出しは堪える。


 パンツも洗うか。今度は振り回して脱水したりしない。


 洗濯を終え、全衣服着用。

 いや、下はもう着れないが。


「じゃあ行きますか」


 脚に魔力を込めて――――


「セィッ!」


 ――――駆け出した。


※※※※※


 夕方。


「また血みどろになった…………もうヤダ…………」


 行く手に立ちふさがるモンスターをぶちのめしてただけなのに…………。


 今度からは投石で遠距離から仕留めようと心に決めた。

 もう町に着くがな。


「一応洗っとこう…………」


 ばちゃばちゃやっていると、夜になってしまった。


 町についたものの、門が閉まっていた。

 町の周りは堀で囲われている。

 番をしている騎士のような人もいる。


 …………ふーむ。


①強行突破。

②あの騎士をぶちのめし、強行突破。

③堀をジャンプで突破。

④いやなんで突破することしか頭にないんだよ俺。


 まあ、今日のところは野宿というのが一番無難だろうか。


「はあ、洗濯とかしなきゃよかった」


 そう呟いて、念のため魔力を残し、防御力強化をかけながら寝た。


※※※※※


 モンスターに夜中三回ほど起こされたが、投石で遠距離から仕留め、血みどろにならずに朝を迎えることができた。


「ふぁ……ねむ」


 行くか。


 さて、門は普通に通れた。

 指名手配とか気にしてたんだが、あのおっさんはぶっ殺したし、元々俺は「保護」されてただけだ。気にする必要はない。


 いや確証はないが。


 そんなわけで町なう。


「おー」


 今までこういう町を外でじっくり見ることはなかったので、結構新鮮だった。

 基本屋内労働だったからな。


 おお、結構エルフとか獣人とかの亜人も多いな…………。そうだよ、こういうのを求めていたんだよ俺は!


 いや、道行く人の可哀想なものを見るような目は望んでないけどさ!


 早く、服屋に行こう…………下がないのは流石に…………。




 道中スリの指を一本千切ってしまったせいで、右の袖口がちょっと血にぬれてしまった。


 服屋さんに怪しまれるといけないので、右だけ破ってノースリーブにしておこう。


 入店。


 可哀想なものを見る目が殺到。

 やめろ。


 妙齢の女性店員さんに話しかける。


「えっと…………服ください」

「……ご主人様の許可証は持ってる? お嬢ちゃん」


 許可証。

 ああ、指定の店で奴隷が買い物をするには、主人の許可証がいるんだっけか。

 そしてお嬢ちゃんって。宇宙意思さくしゃめ、本気でその路線で行く気か貴様。ただの思いつきで。あとで友人に読まれたりして後悔しても知らんぞ。


「いえ、服はこんなんですけど、奴隷ではないんです。こないだ解放されました。あと男です」


 足に鉄輪が無いことを示す。

 まあ、というように口に手を当てる女性店員。

 確かに、奴隷が解放されるっていうのはなかなかないことだしな。


「男の子だったなんて…………」


 いやそっちかよ。やめろよ宇宙意思さくしゃ。正気かお前? 夜中のテンションで頭イッてねーか?


 とりあえず、適当に下着含め三セット服を買う。

 なんか真っ白い服を押されたが、別にそんな統一感はいらんので、ふつうの落ち着いた色の服を買った。


 それから、ハンカチと軍手をいくつか買った。


 次は宿屋にでも行ってみるか。その後飯。


 スリの血で汚れた軍手をポイ捨てしつつ、宿屋に入店。

 宿のおばさんに「お父さんとお母さんは?」って聞かれたが、まあ適当にごまかしてチェックイン。


 簡素だが清潔なベッドだけが置かれた、特に何もない木の部屋。

 靴を脱いでベッドにごろ寝。

 俺の元々の感覚だったら狭いと感じたのかもしれんが、あの超酷待遇の奴隷生活を過ごしてきた身としてはむしろ広いぐらいだし、例えあの経験がなかったとしても子供の身にはちょうどいい。


「ふぃー。今日はもう何もしない。ゆっくり寝る」


 寝た。


※※※※※


 次の日、冒険者ギルドに行った。

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