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無属性魔術しか使えない魔術師  作者: 401
第一章 奴隷編
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第一話 転生

 ある日。


 学校で神を殺す方法について妄想して遊んでいると、どこからか『オマエ不敬だから死ね』という声が聞こえてきて、俺の心臓が止まった。


 そして目の前が暗くなっていき、手の中の【ゴッドキラー・プロトタイプMK-3】が零れ落ち「ああ、まだ未完成だったのに」と思い、そしてその後俺の一生はあっけなく終わった。


※※※※※


 気がつくと、幽霊みたいな透けた状態(足はある)で、「小説家になろう」の異世界転生モノにありがちな真っ白空間にいた。


 上も下も右も左も前も後も、全部真っ白なアレだ。


 こんな目の痛くなるような場所を創るやつはアホなんじゃないかと小さくつぶやく。今は幽霊状態で目が無いけど。


 そして、前方にこの場所をお創りになったと思われる神様アホが、青筋浮かべて、顔をピクピク引きつらせながらながら立っていた。


 …………はぁ。


「白ひげの老人か金髪幼女かどっちかで賭けてたのに、なんで茶髪イケメンなんだよ、クソが」

「テメェ、さっきからナメすぎだろ! 本気でぶっ殺すぞ!?」

「もう死んでるじゃん。アホか」


 そう言った瞬間、グロ画像と、ものすげーくっさい臭いと、ゾワゾワする悪寒が同時に襲いかかってきた。


 ちょっとビックリして、急に反応できなかった。


 そして、ふっとそれらが消える。


 あー、ビックリした。なんなんだアレ。勘弁してほしい。


「…………ッチ、この程度じゃ反応もしないか。胆力はなかなかあるようだな」


 いや、反応できなかっただけですけど。


「まあいい。とりあえず、お前は神殺しを実現する可能性があるから死んでもらった」

「え、マジですか? あの石ころでアンタ殺せんの?」

「現段階では無理だが、お前が相対性理論を理解できるようになればそうなる可能性はあった」

「へー」


 【ゴッドキラー・プロトタイプMK-3】…………触った人間の精神力を吸い取って、様々な能力を得て無限に強くなる石ころ。


 試算したやつの話によると、「全人類の精神を極限まで吸い取ったとしても、神を殺すまではいかない」とのことだったのだが。


「だが、それはもはやどうでもいい」

「そっすね。死にましたもんね。俺」

「そうだ。これから異世界転生にレッツゴーだ」

「ああ、やっぱそのパターンっすか。じゃあさっさとチート能力よこして、転生させてください」

「誰がやるかアホウ」

「はー? なんでですか? ありえないっしょ」

「いや、コチラとしては神殺しを企んだやつに特典を与えるという方がありえないんだが」

「なるほど。一理ありますね」

「一理ですむか。もっとあるわい」

「はぁ…………つーことは記憶引き継ぎとかもナシ?」

「それはある」

「なんでだよ」

「お前みたいな危険な魂を浄化したら、他の人間まで余波で汚れる可能性がある」

「何言ってんすか。水洗便所のように綺麗な魂を持つこの俺に」

「お前、チート能力どころかマイナススタートな。今決定した」

「マジか。余計なこと言わなきゃよかった」

「んー、そうだな…………」


 何か考え込む神様。

 ああ、ちなみになんで神様かって一発で看破できたかっていうと、後光がさしてんの。このイケメン。一目瞭然。


「まず、転生後の性別から」

「女とか両性とか無性とかは嫌です」

「安心しろ。性転換とか両性とかそんな特殊な領域は俺にはよくわからんからな」

「ありがとうございます」

「というわけで性別は男で。次は身体能力か」

「チートはないんですよね」

「そうだな。まあ体力テストで言う平均Bぐらいにはしとくか。あんまり弱くてすぐ死んでもつまらんからな」

「おお」


 俺はCだったから、わずかに上昇しているじゃないか!


「ただし女子の」

「上げてから落とすのってマジやめてほしいんですけど」

「うるさい。次、知能。…………お前アホっぽいからこのままでいいか」

「せんせー。この人がイジメてきまーす」


 そんなアホに殺されそうになったのはどこのどいつだ?


「次、魔法の素養」

「あ、やっぱ異世界ってファンタジーなんですね」


 テンプレだな。


「ああ、【火】とか【水】とか【無】とか、魔法の属性が無数にあって、一人につき平均三つ四つぐらい属性が備わっている感じだな」

「へー」

「で、お前は…………【無】だけでいいか」

「いぇーい。よっわそー」


 いや待て。テンプレを思い出せ。こういうのは最初は弱そうだが、成長していくと物体を『無』にしたり、応用力で上位属性とひけを取らなくなったりするものじゃないか?


「ああ、弱いな。【無】属性で使える魔法は肉体を強化する魔法だけだ。しかもこれは軟弱なやつが使うと自分の体を痛める」

「思いっきりハズレ属性ですね! チクショウ!」

「あと、【無】【闇】【死】の三つは忌み属性としてめちゃくちゃ嫌われる傾向にある。異世界には奴隷制もあるから、注意しなかったら即、奴隷だな。そんぐらい嫌われてる。ちなみに自分の中で最も強い属性は、髪の色に現れるから見れば一発でわかる」

「世間からの風当たりも強いとか、マジ鬼っすねアンタ」

「元は鬼神だったから間違いではない」

「ちなみにその三つなんでそんなに嫌われてるんです?」

「【闇】は後ろ暗いことにしか使えないから。【死】は制御が難しくて周りの人間が死ぬ可能性があるから。【無】は…………」

「【無】は?」

「ザコいから」

「クソ!」


 使えねえ!


「魔力量とかは成長率とかは平均でいいか…………。次、容姿」

「普通な感じにしてください」

「弱そうな感じにしとこう」

「うがぁああああ!」


 思わず殴りかかった。

 しかし、拳は神の体を通り抜けた。


「魂だけの幽霊的透け透け状態で、物が殴れるわけがないだろう」

「クソ! クソ!」

「体とかどんだけ鍛えてもあんまり筋肉つかないようにして…………。異世界の食料事情的に、デブにはならんだろうからガリで。背の高さは…………」

「お願いします! ひょろ長くてもいいんで、背は! 背だけは高く! 来世でもチビはイヤです!」

「えー? じゃあ18歳ごろに遅めの成長期がくるようにして、と」

「ありがとうございます!」

「それまで生き延びれたらの話だがな」

「絶対生き延びてやる!」

「こんなとこかな。じゃ、異世界行ってこい」


※※※※※


「…………なんで異世界へのゲートがケツの形なんだよ! おかしいだろ!」

「イヤか?」

「イヤですよ! あの割れ目に入るぐらいなら消え去る方を選びますよ!」

「じゃあこれで」


 ケツが消えて、ヒュンっと別の物が現れる。


 …………。


「いや、イヤですよ! 人の口とか! 出る方入る方の問題じゃないんだよ!」

「じゃあこれ」


 ヒュンっと別の物が現れる。


「ガリバートンネルじゃねえか! ドラ○もんの!」

「イヤか?」

「いえ、これなら大丈夫です! 行っくぞー!」


 そして俺はガリバートンネルに飛び込み――――


 ――――ナニカクロイモノガミエタ。


※※※※※


 ギャゴ、ガギギ、メシャアアッ!


 そんな感じの音がした。


 それまで、中で何者かが暴れているように震えていたガリバートンネルが止まり、ドロリと黒い粘液が出口から漏れ出る。


 …………。


「…………嫌がらせの一環とはいえ、流石にやり過ぎたかな」


 まあ、死んではないだろうし。いや、すでに死んでたか。


「さてと、どんな感じになったかな?」

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