表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッ、俺? ダークヒーローじゃないの?  作者: おりひん
地球だろうが、異世界だろうが……平凡な生活を手に入れるまでだ!
9/26

俺の武器はチビ

これから投稿時間にばらつきが出ると思いますが毎日投稿していきたいと思います。

これからもよろしくです。感想待っています。

「覚悟してお聞きください。剛様は…………王宮魔術師の100分の一ぐらいの魔法、つまり一般人以下。魔法耐性が全くなく、詠唱魔法は使えないでしょう」

 

「なんだと!?」

 

 王室に居た皆が驚いていた……俺も驚いたし。どうやらこの蛙には俺の真の力を見抜くことは出来ないようだ。

 

 自分の力がばれなくて安心しているが、一般人以下と言うのはどうも恥ずかしい。蛙に告げられてから、周りからの俺を見下す視線がハンパない。

 

「そんな平民以下の者が何でこんな所に居るのだ?」

 

(何て言うか……王様、ごもっともな意見ありがとうございます。でも、俺はあんたに呼ばれたんですよ)

 

「しかし、魔王を倒すときに役立つかもしれない能力は備えているかもしれません。優斗様の身代わりに慣れるかもしれませんし」

 

 マリーは必死に言った。それは決して……俺を助ける訳ではなく、あいつの身代わりとしての手段としてだ。

 オイオイオイ、俺があいつの身代わりだと!?ふざけるなよ。

 

 王様は妙に納得して、王室を出る俺たちに告げた。

 

「頼む勇者達よ、この世界のために魔王を倒してくれ」

 

「分かりました。我々に任せてください」

 

 優斗、何でそんな適当なことを言っているんだよ!?

 俺の気持ちを少しは考えろよ。

 

 魔法を使えない勇者なんて聞いたことがあるか!?

 

 もう、お前だけで頑張れよ。

 

「では、勇者達よ。選定の間にて己の武器を選ぶが良い」

 

 俺たちは選定の間へ向かった。もちろん優斗とマリーは相変わらずイチャイチャしているのだと思っていたが、優斗は女性人に囲まれている。マリーはその輪に入れずに居る。ザマー見ろ!

 

 ……俺はこれからどう生きて行けと?

 

 選定の間には武器や防具が並んでいた。この間にある武器・防具は一般の物とは違い、魔王の装備品や前勇者の装備だの一味違うものばかりだ。

 

「こちらの部屋では武器が所有者を選び、それが勇者様の武器になります」

 

 マリーの説明を聞いて戸惑う。道具が俺を選ぶ?

 うん、絶対に選ばれないな。

 

「もし、武器に選ばれなければどうなるんだ?」

 

「え~と、その場合は勇者じゃなくなるかもしれません。勇者には己を引き出す武器が必要ですから」

 

 俺は元々勇者じゃねぇんだよ、コノヤロー!

 

 優斗は子供のような笑顔を見せ、楽しく武器を選び始めた。

 

「よし、これにしよう。メチャクチャ光ってるし」

 

 そう言って優斗はまるで「自分を取れ!」と自己主張するような豪奢な剣を手にした。

 ---瞬間、剣から光が溢れ、優斗の目の前にかなり綺麗な金髪で金のドレスを着た女の現れた。(ちなみにこの世の者とは思えないほどの美人だ)

 優斗がその男性をひきつける肉体に取り付かれなければいいが。

 

「勇者よ、私はこの剣の精霊です。貴方は私の力を望みますか?」

 

「はい。この世界の人々を救い、魔王を倒す力を俺に下さい」

 

「良いでしょう。では、私(剣)に名を……それで契約は完了します。」

 

「それじゃ、メリッサで」

 

「これで契約は完了しました。私は貴方の剣として、貴方の敵を倒し、貴方の守りたい者を守りましょう」

 

 優斗は契約した剣をうれしそうに見ている。本当に子供のようだ。

 

「で、その剣の能力は?」

 

「空気中にあるマナを取り組んで、常に魔法の使用量を増やしてくれるらしい」

 

 何か最強じゃない?チート野郎めが!

 しばらく、自分を守ってくれる頼もしい武器を探していると、マリーと優斗が俺のほうを見てくる。

 

「剛様、それではないでしょうか?」

 

「剛、それだろ?」

 

 ………なんで?

 

「剛?」

 

 ………なんでバッジなんだよ!

 

 バッジはいかにも「自分を選んでくれ」と言うように輝く。

 例えだ、例え……百歩譲るとしよう。それでも、他にも武器があるこの部屋で俺の武器がバッジは無いだろう。

 

 直径3cmのバッジに何が出来るんだよ!

 

 どうしよう……物凄く取りたくないんだけど。

 

「さっさと取れよ、剛」

 

 絶対にこいつらは眼鏡を掛けた方が良いぞ、だってバッジだよ!

 どっからどう見ても、武器じゃないだろう。

 

 優斗に無理矢理にバッジを付けさせられると、目の前にかわいい小さな赤い髪に白いドレスを着たお人形さんが浮いていた。

 

「貴様が我が主か?」

 

 優斗の精霊と比べる必要もないくらい小さい。

 

「うるさい!我が小さいのはおぬしの魔力が少な過ぎるからであろう」

 

 そういえば、俺の魔力は一般人並以下だっけ?だから優斗の精霊はデカかったのか……体もあそこも立派だったし。

 

「まあよい。我は……『バッジの妖精だろ』」

 

「えぇい。黙れ、我はバッジではない。列記とした武器だ……史上最強といわれた魔王の元パートナーだぞ」

 

「そんなはずが無いだろ!こんなバッジ。だったら見せてもらおうか……バッジの力・能力と言うものを」

 

「うぅ……それが思い出せないのだ。強い力が加われば何か思い出すことが出来るかもしれないのだが」

 

 役立たず+アルツハイマー。何か涙が出てきたよ。

 チビ神、今の俺を見て絶対に笑っているだろうな~。

 

「それで……力がほしいか?」

 

「俺がこの世界で死なない程度に」

 

 正直、他の人を守れる余裕なんてない。

 

「もういい!さっさと名前をつけろ!」

 

「じゃあバッジ」

 

 小さいお人形さんは怒る……けど、どちらかと言うと可愛いと思ってしまうほど怖くないのだ。

 

「それじゃ、チビで」

 

 うわ~。半泣きしてる。

 あんまりからかうと今度は泣きそうなので少しまともに考える。

 

「じゃあミジットで」

 

「うん、良い名だ」

 

 英語でチビって意味だけど……本当にそれでいいのかい?

 

「我の名はミジットじゃな。よし、これで契約完了じゃ」

 

「ところでミジットの能力は?」

 

「先ほども言ったように思えだせぬ。それでは!」

 

 こいつ使えねぇ。バッジとしてはかっこよいのだが……はっきり言って邪魔だ。

 

「……剛」

 

「……剛様」

 

 後ろを見ると、優斗とマリーが哀れむような視線を俺に送っていた。

 その武器バッジを選ばせたのはどこの誰ですか!?

 

 

 

 ………俺、この世界で絶対死ぬな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ