序章:俺の平凡な生活プランは見事に消えた
どうも、M&Mと申します。
初めての投稿ですので、色々と分からないことがありますが、よろしくお願いします。
誤字など感想などお待ちしています。
(鳥はいいよな〜、あんな青空を自由に羽ばたくことが出来て)
俺は青空をクラスの窓から見上げた。数学の先生は俺たち、生徒たちに公式がどうのこうのと呟いている。
(あんな小さい声だったら、後ろに座っている生徒は全然聞こえないだろうな……)
最初の頃は一生懸命な先生だったが、生徒たちに飽きれて今はやる気をなくしている。
それも仕方のない事なのだ。塾に通っている生徒なんて先生の話を聞く気にもなれず問題集を解いているし、女子の半分以上の視線は俺の隣の席に座っている白斬 優斗に向けられているのだから。優斗は背が高く、モデルの仕事をしていても、納得できるぐらいのイケメンなのだ。
俺は一応そいつの親友だ……表向きは。いつの日からか、あいつが俺の事を親友だと言ってきたのだ。俺はあいつの親友だと言う事を良い事に、不良や面倒事から回避している。しかし、優斗自体が俺の面倒だった。
そして、その優斗の親友の俺は授業を一応聞いていると言うところだろうか。
(先生、ドンマイ。世の中そんな上手くいかないんだよ)
俺はテストでトップを取るために頑張りはしないが、悪い点数を取ると就職に響きそうなので、そこそこ勉強している。ちなみに優斗は完璧超人だ。どれくらい完璧かと言うとイケメン+学年トップで、帰宅部であるがカンフーや剣道を習っていて、かなり運動神経が良いし、家事までそつなくこなす。白剣優斗ファンクラブもあり、彼女たちに言わせれば俺は優斗のボディーガードらしい。全く……神様はこんなに依怙贔屓しても良いものなのだろうか?
話しは変わるが、俺には夢がある。それは平凡な生活をして、苦しい死に方をせず、普通に死ぬことだ。孫の顔を数回見て、俺の顔を覚えてもらったら……もう死んでもよい。俺は隣に座る優斗のようにモテたいと思わない。……いや、違うな。俺は顔にある火傷のあざのせいで女子に全く相手にされないのだ。だからいつの日からか、モテる事はどうでも良いと思うようになったのだ。ただ俺の事を本気で分かってくれる人が居れば、美女かどうかは気にしない。逆に美女だと色々と面倒なことが起きそうな気もする。
相手がどうのこうの考える前に、このまま全く女子に相手をしてもらえなかったらどうしよう?
先生の声が学校終了を知らせるチャイムの音に掻き消された。そこで俺は筆記用具をカバンの中にしまい、急いで家に帰ろうと小走りで教室から出る……つもりだったが、そうも行かなくなった。
数人の女子が優斗に話しかける。
「あの、白斬君……良かったら私たちと一緒に最近この辺に出来たお化け屋敷に行かない?」
その時、俺の名前が呼ばれた。
「剛も行くのなら」
女子達の視線がクラスの扉の横にいる俺に集まる。
「黒気君は行ってくれるよね♪」
(俺も付き合わされるのか……オイオイ)
俺は女子に睨まれ、お化け屋敷に行くことにした。あの眼は、絶対に行かないと殺す!と言う眼だったからな。やはりうちのクラスの女子は怖い。どうせ女子達はお化け屋敷に行って、優斗の鍛え上げられた肉体にしがみ付きたいだけなのだろう。優斗も本気じゃないのなら断れば良いのに。しかし優斗はそんなことはしないで、女子に優しく接している。「本当の事を言ったら、女子達が傷つくだろう」とあいつは言った。やっぱり、モテる人は言う事が違うね〜。
優しくするとその傷は倍になる事をあいつは分かっているのだろうか?
(今日も俺のお眠り計画が潰れた……)
俺は尾行するように距離を保ち、優斗の後ろを歩く。優斗の近くを歩くと女子に睨まれるからね。お化け屋敷に着いたら、俺は「調子が悪い」と言って、お化け屋敷の外で待った。これは女子達の計画だ。計画は確実に着実に進んでいく。
適当に外でジュースを買い、飲んでいたら優斗と女子達がお化け屋敷から出てきた。女子達は優斗と別れ「また明日♪じゃあね」と言い、帰っていく。協力してあげた俺には何も言わずに。
「剛、一緒にお化け屋敷に行かないか?」
「そんなの彼女と一緒に行けよ」
「俺には彼女もいない事知っているだろう。しかも、さっきは女子達が居て楽しめなかったし」
「あんだけの女子が居ても、優斗君の彼女はいませんか……分かったよ、行けば良いんだろ」
俺は出来るだけ皮肉に言った。そして、俺たちはお化け屋敷に飛び込んだ。
(絶対にお化け屋敷から速く出てきてやる!)
中は思ったよりも怖かった。しかし、俺の顔よりも怖い物なんて一つもなかった……。試しに、お化け屋敷で働いている、お化け役の人に俺は火傷のあざを隠す仮面を取り、本当の顔を見せた。結果、メチャクチャびっくりしていた。あざのある俺の顔はどうやらお化けにも怖いらしい。何か……悲しいよ。再び仮面を付け直したら、優斗が俺に向かって叫ぶ。
「剛、あれ!あれを見て!」
「何びっくりしているんだよ。どうせさっきも見たんじゃないのか?」
俺は優斗の指が指す方に視線を向ける。そこには、異次元の渦みたいな物がある。はっきり言って、不気味だ。面倒な事に巻き込まれたくない俺は、速く出口へと向かう。
「ちょっと待てよ、入ってみようぜ!」
うわ〜……出た。皆さん聞きました?このKYの言葉。少しは俺の気持ちも考えろよ!
俺は優斗の全力の力に負け、渦の1メートル前まで来た。そこで、俺は反撃をするかどうか考えた。もし俺がこいつを見離したら、こいつのファンクラブの人に縛かれそうだ。でも、このままあのへんな渦の中に行くのも嫌だしな〜。
結果:俺の悪魔が勝ち、反撃をすることにした。
カンフーで習った技で優斗を渦の中に突き飛ばす。
優斗は俺の行動にありえないという表情を浮かべ叫んだ。
「何をする!俺を殺す気か!?」
「俺は平凡に生きたいだけなんだ!渦の中に行きたいのなら、自分一人で行け」
「そんな、俺たち親友だろ!?」
「じゃあ、親友の俺のために死んでくれ!お願いだ……」
俺があいつに叫んでいる途中、足に違和感を感じた。そう、俺の足はあいつ手に掴まれていた。
(放せよぉぉぉ!)
俺は足を砕けそうになるまで握るあいつの手を振り払おうとしたが、すでに遅かった。
「『うわぁぁぁぁぁぁ!!!』」
そう、俺たちは渦の中に飲み込まれた。
しかし、この時は俺たちが勇者になる事を知らなかった。
…………そして、俺の平凡な生活プランは見事に打ち消された(涙)
読んで頂きありがとうございました。