4話:身分制度と帝国
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次話は15日19時予定。
シクタルン帝国。
大陸の三分の二以上を支配する絶対帝国。
そして僕は――
その帝国の皇太子、アルト。
この世界で、最も重い立場に生まれ変わった存在だった。
そうだ。
この世界は、地球とはまったく違う。
ここには、生まれによってすべてが決まる、絶対的な身分制度が存在する。
皇帝を頂点に、皇太子、皇族。
その下に公爵、辺境伯上位貴族
侯爵、伯爵、子爵は中位貴族と呼ばれる。
さらに男爵が準男爵、騎士、準騎士が下位貴族とされ、
その下に平民、そして隷民が位置していた。
この序列は、単なる肩書きではない。
法、軍、財、教育――あらゆる権限が身分によって明確に区切られている。
下位の者が、上位の者に逆らうことは許されない。
命令一つで、生死すら左右される。
そして、この冷酷なまでの秩序を、誰も疑えないものにしているのが――魔力だった。
魔力は、生まれつき備わる者はいない、ほとんどの人が持たない。
魔力とは皇帝のによってのみ与えられる力だ。
皇帝は、魔力を与えることも、奪うこともできる。
その対象に制限はなく、貴族であろうと、平民であろうと例外はない。
皇帝の魔力量は、常識の外にある。
まるで世界そのものが、皇帝に力を預けているかのようだった。
なぜ、皇帝だけがそれほどの力を持つのか。
その理由を、誰も知らない。
ただ一つ、語り継がれている歴史がある。
遥か昔――
この世界も、かつては魔力を持たない人々によって支配されていた。
剣と知識。
それだけで国は成り立っていた時代。
そんな世界に、ある日突然、魔力を持つ一人の男が現れた。
なぜ生まれたのか。
どこから来たのか。
誰の子だったのか。
そのすべてが、今も謎のままだ。
だが、確かなことが一つだけある。
彼は、魔法の力を持っていた。
彼は自らの力を誇示し、戦い、勝ち続けた。
そして、支配者となった。
やがて彼は、自らの後継者に魔力を引き渡す術を編み出した。
力は血とともに1人の後継者に受け継がれ、途切れることなく次代へ渡っていく。
それから、およそ千五百年。
男が戦い建国した、ほんの小さな王国にすぎなかった国は、魔力を求める者、守りを求める者、力に魅せられた者たちが集まり、国は徐々に膨れ上がっていった。
戦争もあった。
反乱もあった。
だが、すべては皇帝の魔力によって鎮圧された。
そして今――
その国は、大陸の三分の二を支配する巨大帝国となった。
それが、シクタルン帝国。




