↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/143

第33話:帝国内布告、世界の反応④

次話は明日19時に投稿予定です。

デスト魔王国


――暗力の国、世界の外側


デスト魔王国は、

魔力の国ではない。


この世界に存在する二つの力。


一つは、

皇帝が管理し、秩序として循環させる力――魔力。


もう一つは、

世界の歪み、感情、死、恐怖、欲望から滲み出る力――

暗力(あんりょく)。


デスト魔王国は、

後者のみで成り立つ国家だった。


⸻


帝国の使者が踏み入れた瞬間、

それははっきりと分かった。


土地そのものが、

魔力を拒絶している。


代わりに流れているのは、

濁り、沈殿し、淀んだ力。


「……魔力が、薄い?」


護衛の騎士が呟く。


否。

薄いのではない。


上書きされているのだ。


魔力の循環は断ち切られ、

暗力が空間そのものを支配している。


この国では、

魔力は“異物”だった。


⸻


城門に至る前。


使者は、正式な外交手順を取る。


「シクタルン帝国より国書を――」


言葉は、途中で終わった。


詠唱はない。

攻撃の動作もない。


ただ、

暗力が意思を持って触れた。


それだけで、

使者の存在は崩れた。


血は流れない。

傷もない。


魔力で守られた肉体が、

暗力に“分解”されたのだ。


護衛も同じだった。


剣も、鎧も、

魔力付与も意味を成さない。


暗力は、

管理される力ではない。


拒絶も、交渉も、

最初から成立しなかった。


⸻


玉座の間。


そこに座すのは、

魔王。


だが彼は、

皇帝のように力を管理しない。


暗力は、

彼を中心に溜まり、歪み、増幅する。


「帝国が、

海を呑んだか」


魔王の声は、

人の感情を直接揺さぶる。


「魔力の秩序が、

また一段、広がった」


玉座の周囲で、

影が蠢く。


それは兵ではない。

暗力が形を持っただけの存在だ。


「我らは、

秩序に属さぬ」


「魔力に管理されぬ」


「世界樹にも、

皇帝にも、

皇太子にも――」


一拍。


「従わぬ」


魔王は、

踏み潰された帝国国書を見下ろす。


「帝国が世界を一つにまとめるなら」


「暗力は、

必ずその外側に溢れる」


それが、

この国の存在理由だった。


⸻


後日。


帝都に上がった報告は、

簡潔だった。


デスト魔王国、暗力濃度極大。

魔力循環、完全断絶。

使者、暗力干渉により消失。


皇帝は、静かに書類を閉じる。


「暗力か」


アルトが、即座に答える。


「はい」


「魔力とは、

根本的に別系統の力です」


「管理も、

分配も、

奪取もできない」


皇帝は、短く言った。


「だからこそ、

危険だ」


アルトの視線は、

揺るがない。


「ですが」


「暗力は、

世界の歪みから生まれます」


「秩序が広がれば、

必ず影も生まれる」


一拍。


「ならば、

影を理解した上で、

世界を支える必要があります」


皇帝は、

ゆっくりと頷いた。


「よく見ている」


この時、

帝国は明確に認識した。


デスト魔王国は、

敵対国家ではない。


秩序そのものに対する対極点。


魔力で世界を統一しようとする帝国に対し、

暗力は必ず発生する。


避けられない歪み。


そして――

いずれ、必ず向き合うべき存在。


世界は今、

二つの力を軸に動き始めていた。


魔力による秩序と、

暗力による歪み。


その狭間に立つのが、

皇太子アルトであることを――

まだ誰も、完全には理解していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。