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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

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第31話:帝国内布告、世界の反応③

次話は明日19時に投稿予定です。

エストル樹国


――世界樹に選ばれし者が治める国


エストル樹国は、国家というより聖域に近い。


森を切り開くことは禁忌。

川の流れを変えることも許されない。


この国で最も尊ばれるのは、

王でも、法でも、軍でもない。


世界樹。


天を貫くほど巨大なその樹は、

大陸の魔力循環の要であり、

森と精霊の信仰の象徴そのものだった。


エストル樹国を支配するのはエルフ。

だが、血統による支配ではない。


この国には、世襲の王はいない。


世界樹が選ぶ――

巫女がいる。


巫女は祭司であり、

預言者であり、

そして同時に、国王と同じ権限を持つ統治者だった。



世界樹の根元。


光の差し込む円環の神殿で、

巫女は静かに膝をついていた。


目を閉じ、

世界樹に手を添える。


その瞬間、

森の精霊たちが、ざわめいた。


「……動いた」


巫女の声は、

囁きに近い。


長老たちは息を呑む。


「北東……海の流れが、

変質しています」


「破壊ではありません」


「奪取でもない」


巫女は、ゆっくりと立ち上がる。


「編入です」


その言葉に、

神殿の空気が震えた。


「ダスメア海洋国が、

帝国の魔力圏に接続されました」


長老の一人が、恐る恐る問う。


「帝国は……

世界樹を傷つけたのですか?」


巫女は、首を振った。


「いいえ」


「世界樹は、

拒絶していません」


「むしろ――」


一拍。


「受け入れています」


ざわめき。


それは、

エストル樹国にとって異例中の異例だった。


帝国は巨大だ。

強大だ。

だが、自然や精霊と必ずしも調和する国家ではない。


それでも、

世界樹は拒まなかった。


「魔力の流れが、

滑らかです」


巫女は目を閉じたまま続ける。


「歪みがない」


「強制もない」


「……器が、

大きすぎる」


長老たちは、言葉を失う。


それは賛辞ではない。

警戒でもない。


観測結果だった。


「皇太子アルト」


巫女は、その名を口にする。


「彼の魔力は、

五歳の時点で

世界樹が“異常”と記録した器です」


「当時は、

ただの可能性でした」


「ですが今――」


巫女は、静かに結論を下す。


「世界樹は、

彼を“脅威”とも

“災厄”とも

判断していません」


「ただ、

世界を載せられる器として

認識しています」


沈黙。


それは、

祝福でもあり、

試練でもあった。


「使者を出します」


巫女は、即断した。


「祝宴への出席を」


「礼も、敵意も、

過剰な崇拝も示しません」


「ただ、

世界樹の代弁者として

彼を見る」


エストル樹国は、

戦わない。


だが、

世界が傾く瞬間だけは、

必ず立ち会う。


世界樹の葉が、

静かに揺れた。


それは警告ではない。


承認でもない。


――観測の継続。


この時、

エストル樹国は理解していた。


帝国は、

もはや一国家ではない。


そして皇太子アルトは、

王ではなく――


世界の均衡に影響を与える存在になりつつある、と。

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