表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/47

第29話:帝国内布告、世界の反応①

次話は明日19時投稿予定です。

帝都シクタルン。


その朝、帝国全土に向けて――

一斉に布告が放たれた。


鐘が鳴り響く。

魔導掲示板が光を放つ。

各地の領都、街道、港、学舎、ギルド。


すでに噂は、帝国内を駆け巡っていた。


――海洋国が消えた。

――皇太子が動いたらしい。

――戦争は起きていないらしい。


だが、噂は噂にすぎなかった。


それを確定した事実へと変えるのが、

皇帝の言葉だった。



「――布告する」


帝城中央広場。

魔力増幅装置を通じ、皇帝レオンハルトの声が帝国全土へ届く。


「ダスメア海洋国は、本日付をもって消滅」


一拍。


「同国全領域は、シクタルン帝国へ正式編入された」


ざわめきが起こる。

だが、混乱はない。


皇帝は続ける。


「本件は、戦争によるものではない」


「帝国の法と判断に基づく、

平和的統合である」


そして、最後にこう告げた。


「本統合は、

皇太子アルトの全権判断により成された」


帝都が、息を呑んだ。


――皇太子の名で、国家が一つ動いた。


その事実が、

帝国中に静かな衝撃を走らせた。


同時刻。


帝国から、世界各国へ正式な国書が送られる。


魔導通信。

外交使節。

使節団。


内容は簡潔だった。


「旧ダスメア海洋国は帝国領となった」

「国際航路・交易条件は維持される」

「混乱は起こさない」


そして――

祝宴への招待状。


帝都にて、

「海洋国統合を祝う晩餐会」を開催する、と。


四統領会議室。


円卓中央の大陸地図には、

帝国の領土が圧倒的な存在感で塗られている。


その縁にあったはずの海。

そこに存在していたはずの国名は――もうない。


沈黙。


重い沈黙だった。


最初に口を開いたのは、軍務統領。


「……確認するぞ」


「帝国は、軍を動かしたか?」


財政統領が、即座に首を振る。


「動かしていない。

艦隊の集結なし。

徴兵なし。

戦時予算の兆候もない」


「……では」


外交統領が、地図を見つめたまま言う。


「なぜ、国が一つ消えた?」


誰も答えない。


答えが分かっているからだ。


内政統領が、静かに言葉を落とす。


「帝国だからだ」


一瞬、空気が張りつめる。


「元々、帝国は大陸最強だった」


「軍事、経済、魔力、制度」


「どれを取っても、

単独でも同盟を結んで対抗しても対抗できる国家は存在しない」


軍務統領が、苦々しく続ける。


「だから我々は、

“帝国が本気を出さない前提”で動いてきた」


「距離を保ち、直接ぶつからないようにしてきた」


財政統領が、低く呟く。


「……その緩衝が、消えた」


外交統領が、書簡を机に置く。


「海洋国は滅ぼされたわけじゃない」


「飲み込まれた」


「しかも、戦争なしで」


沈黙が、さらに重くなる。


内政統領が、淡々と分析する。


「大陸の両端の海を抑えた帝国は、

もはや“陸の帝国”ではない」


「物流、軍需、交易、制海権」


「すべてが一本の線で繋がった」


軍務統領が、拳を握る。


「……正面からやり合える国は、

もう存在しない」


「仮に、

複数国家が連合しても」


財政統領が、冷静に言った。


「時間を稼げない」


「帝国は、

時間すら奪える」


外交統領が、静かに結論を述べる。


「今までの帝国は、

“強すぎて動かない存在”だった」


「だが、今は違う」


「強いまま、動き始めた」


「しかも、

最も合理的な形で」


全員が理解した。


これは、覇権争いではない。


世界のルールそのものが、更新されたのだ。


内政統領が、最後に言う。


「祝宴への招待が来ている」


「欠席は?」


軍務統領は、即答だった。


「自殺行為だ」


財政統領も続ける。


「帝国は、

敵対者を記録し忘れない今帝国に不審がられるわけにはいかない」


外交統領が、ゆっくりと頷く。


「祝宴出席」


「敵対意思なし」


「対帝国方針――

不可逆的協調」


誰も反論しなかった。


そして、誰かが呟く。


「……皇太子アルト」


「五歳で魔力を受け取り、

国を戦わずに飲み込んだ存在」


「帝国は、

元々最強だった」


「だが今は――」


言葉が、自然と締まる。


「手がつけられない」


ブロドン共和国は、

この日を境に理解した。


帝国は、

もはや“対抗する国家”ではない。


生き残るために、

どう接するかを考える存在なのだと。


タン王国


――恐怖と体面の崩壊(修正版)


タン王国・王城。


会議室の壁には、大陸全図が掲げられている。


北西沿岸に小さく描かれたタン王国。

その正面に広がるのは、

圧倒的な広さを誇るシクタルン帝国。


そして、北東沿岸。


かつて、帝国の外縁に存在していた

ダスメア海洋国。


今、その色は――

完全に帝国色へと変わっていた。


「……勘違いしてはならん」


老元老が、低く言った。


「我々は、

海洋国と隣接していたわけではない」


若い元老が、息を呑む。


「だが――」


老元老は、地図から目を離さずに続ける。


「帝国の視線は、

これまで“北東”に向いていた」


「艦隊も、外交も、

外へ伸びる力は、

常に海洋国の方向だった」


それは事実だった。


帝国は強大だったが、

その“外向きの圧力”は限定されていた。


タン王国は、

帝国の北西に位置しながらも、


「帝国は、

こちらを本格的に見ていない」


そう、無意識に信じてきた。


「……だが」


国王が、静かに口を開いた。


「その海洋国が、

帝国の内側に消えた」


一拍。


「つまり――

帝国の“外”は、

もう北東には存在しない」


沈黙。


意味を理解した者から、

顔色が変わっていく。


「帝国は、

もはや一方向を向いた国家ではない」


別の元老が、震える声で言った。


「海を制し、

外縁を失い、

次に視線を向ける先は――」


誰も、その名を口にしなかった。


だが、地図が答えを示している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ