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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

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第28話:沈黙の評価

次話は明日19時に投稿予定です。

皇帝執務室。


高い天井。

広いが、簡素な空間。


ここには王座はない。

皇帝レオンハルトは、重厚な執務机の前に立っていた。


机の上には書類が積まれているが、

今は一切、視線を落としていない。


扉が閉まり、

室内には五人だけが残された。


皇帝。

皇太子アルト。

そして三公爵。


最初に一歩前へ出たのは、

西方面公爵――ヴィクトル・アルノーだった。


「陛下」


深く、短い礼。


「旧ダスメア海洋国の帝国編入について、

三公爵としての報告を申し上げます」


皇帝は、何も言わない。


促しも、相槌もない。


それが、続けよという合図だった。


「軍事面」


ヴィクトルは簡潔に述べる。


「武力行使は不要と判断され、

実際に一切の戦闘は発生しておりません」


「沿岸・港湾は皇族領として確保され、

抑止は完全に機能しています」


一拍。


「軍としては、

これ以上ない成果と評価します」


皇帝の表情は変わらない。


次に、セドリック・モンテリオが進み出る。


「生産面においても同様です、陛下」


「造船・製塩・技術者群は帝国規格へ円滑に移行」


「権力や資本の集中は発生しておらず、

生産能力は編入前より安定しています」


彼は、はっきりと言った。


「この再編は、

短期・長期の双方で見て最適解です」


最後に、エドガー・ラインハルトが一歩前へ。


「経済に混乱はありません」


「市場は落ち着き、

投機も、反発も起きていない」


「帝国が“奪わない”という印象を、

周辺国に与えました」


一拍。


「これは金銭以上の価値があります」


三公爵は、同時に一礼した。


「以上が、三公爵としての総合評価です」


室内に、沈黙が落ちる。


皇帝は、しばらく何も言わなかった。


アルトは、動かない。

視線も逸らさない。


やがて――

皇帝が、静かに口を開いた。


「……なるほど」


低い声。


「軍を使わず」

「生産を止めず」

「経済を荒らさず」


一つ一つ、言葉を置くように続ける。


「国家を一つ、

“無音で”取り込んだ、か」


視線が、アルトに向いた。


「アルト」


名を呼ばれた瞬間、

室内の空気がわずかに引き締まる。


「今回の判断」


皇帝は、はっきりと言った。


「極めて優れている」


三公爵の目が、わずかに見開かれる。


皇帝が、評価を言葉にすること自体が稀だった。


「力を使えば、支配はできる」


「だが」


皇帝は続ける。


「お前は、

力を使わずに“従わせる理由”を作った」


「これは、

皇帝に最も必要な資質だ」


一歩、皇帝が前に出る。


「皇太子として、ではない」


「統治者として」


その一言が、重く響いた。


アルトは、静かに頭を下げる。


「恐れ入ります、陛下」


皇帝は、わずかに口元を緩めた。


「慢心するな」


「だが――」


一拍。


「よくやった」


その言葉に、

三公爵は確信した。


――評価は終わった。

――そして、認可された。


皇帝は、最後に告げる。


「今回の件」


「帝国史に残る」


「そして」


アルトを見据え、


「次は、

お前の名で動かせ」


それは命令であり、

期待であり、

明確な承認だった。


皇太子アルトは、

静かに答える。


「御意」


この瞬間。


彼はもはや、

“次代”ではなく――


帝国を動かす存在として、

完全に認められた。

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