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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

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第24話:労いと次の席

次話は明日夜19時に投稿予定です。

玉座の間に、短い沈黙が落ちた。

重くはない。

だが、軽くもなかった。


やがて皇帝は、ゆっくりと息を吐く。


「……ご苦労だったな、アルト」


その一言は、

命令でも、評価でもない。


労いだった。


アルトは、わずかに背筋を正す。


「帝国のために動いたまでです」


皇帝は小さく鼻で笑った。


「それを“当然”として言えるようになったか」


「以前なら、

自分が正しかったかどうかを、先に考えていただろう」


図星だった。


だが、アルトは否定しない。


「今は、結果の方が重要だと理解しています」


「国家を扱う以上、

感情は後回しにすべきだと」


皇帝は、静かに頷いた。


「それでいい」


「情を捨てろとは言わん」


「だが、

情に判断を委ねるな」


玉座の間の空気が、

わずかに変わる。


これは説教ではない。

次の段階へ進む者への注意だ。


皇帝は、ゆっくりと立ち上がった。


玉座の間には、余計なものはない。


あるのは、

皇帝と、王太子、

そして帝国そのものを象徴する空間だけだ。


皇帝は、数段の階を降り、

アルトの前で足を止める。


視線だけが、静かに注がれる。


「ダスメアの処理は、よくやった」


短い言葉。


だが、そこには確かな労いがあった。


アルトは、わずかに頭を下げる。


「属国ではなく、編入」


「爵位は残し、権限は分解した」


皇帝は続ける。


「力を集中させず、

生活だけを残す」


「反乱を起こす理由を、

制度の段階で潰している」


一拍。


「判断は冷静だった」


視線が、鋭くなる。


「それでいて、

無駄な流血もない」


皇帝は、静かに頷いた。


「王太子として――」


皇帝は、ほんの一瞬だけ言葉を切った。


その間に、

玉座の間の空気が張り詰める。


「十分だ、ではないな」


アルトの視線が、わずかに上がる。


「よくやった」


はっきりとした声だった。


飾り気も、含みもない。

帝国皇帝としての、純粋な評価。


「国家を終わらせ、

同時に帝国の一部として再構築した」


「力を奪い、

人を切らなかった」


皇帝の視線は、真っ直ぐにアルトを射抜く。


「それは、

統治を理解していなければ出来ない判断だ」


一拍。


「お前はもう、

“王太子として学ぶ段階”にはいない」


その言葉の意味を、

アルトは即座に理解した。


皇帝は、続ける。


「帝国を動かす者の判断だった」


それは、

次代の皇帝に対する評価に等しい。



皇帝は、ゆっくりと背を玉座に預ける。


「ダスメアは、もう振り返らなくていい」


「帝国の制度に組み込まれた以上、

あれは“問題”ではない」


そして、はっきりと告げた。


「次は、帝国の中だ」


「外を制する者は多い」


「だが、

内をまとめられる者は少ない」


視線が鋭くなる。


「三公爵会議」


「お前は、

王太子としてではなく――」


一瞬の間。


「次を担う者として席に着け」


それは、見学ではない。


発言し、

判断し、

責任を負う立場。


アルトは、深く一礼した。


「承知しました」


皇帝は、短く頷く。


「期待している」


その言葉は、

この帝国において極めて重い。



玉座の間を出た後。


アルトは、足を止めなかった。


及第ではない。

合格でもない。


信任だ。


次に待つのは、

帝国の中枢。


利害と権力が絡み合う場所。


アルトの表情は、静かだった。


――ここから先は、

誰の後ろ盾もない。


だが同時に、

誰の影にも隠れない。


帝国の中心で、

彼は自分の立場を自覚していた。


王太子アルトは、

すでに統治者として扱われ始めている。

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