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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
海洋国編

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第14話 静海の裏側

今日は投稿が少し遅れました、明日からは通常どおり19時投稿とさせてもらいます。

辺境伯は、部屋に入ると同時に扉を閉めた。

 


 アルトは一瞬で理解する。

 ――防音結界。しかも、かなり高度なやつだな。


辺境伯は俺の方に数歩進み、そこで膝をついた。


「ノルトハイン辺境伯、皇太子殿下に謁見いたします」


 形式は完璧だ。

 ここが他者との“会談の場”ではなく、“帝国の内側”であることを、相手も理解している。


「面を上げよ、辺境伯」


 俺は皇太子として辺境伯に言った。

 俺の声は子どもの声ではなく皇太子の声になっていった。

 この部屋では、年齢は関係ない。


 辺境伯は静かに立ち上がる。


「……まず確認したい。

 この部屋の結界は、そなたが張ったものか?」


「はい。外部遮断、魔力波動の秘匿、感情探知対策まで施しております」


「よい判断だ」


 アルトは椅子に深く腰掛け、真正面から辺境伯を見る。


「では本題に入ろう。 ノルトハインでの塩の帳簿が“整いすぎている”理由だ」


 「フゥ」と


 辺境伯は、短く息を吐いた。


「やはり、お気づきでしたか」


「偶然ではないな」


「はい。

 最初は――代官が腐敗に関与していると思い調べました」


「調べる内に海洋国が関与している、と判断しました」


その言葉に、アルトの視線がわずかに鋭くなる。


「そう判断した理由は?」


「帝国北部沿岸で流通する塩の量と価格が、不自然に安定していました。

 嵐も不作も関係なく、です」


 ダスメア海洋国。

 北の海を抑える、海運国家。


「私は即座に皇帝陛下へ報告し、調査許可を得ました。

 表向きは“密輸の可能性”として」


「だが、密輸では説明がつかなかった」


「はい。調べれば調べるほど、動きが洗練されすぎていました」


 辺境伯は、はっきりと言った。


「商人ではありません。海洋国の権力者です」


 アルトは黙って聞く。


「さらに調査を進めるうち、 単なる権力者ではないことが分かりました」


 辺境伯の声が、一段低くなる。


「――王族です」


 部屋の空気が、静かに張り詰めた。


「ダスメア海洋国、第二王子。」


「確証は?」


「ございます」


 辺境伯は懐から一枚の魔導記録紙を取り出した。


「第二王子の側近商人を一人、裏で確保しました。

 現在は帝国管理下にあります」


 アルトは、紙に視線を落とす。


「……海洋国へは?」


「まだ、正式な問い合わせは行っておりません」


 辺境伯の声は静かだった。


「捕縛した者の口から、

 第二王子直属であることは裏付けが取れています。

 ただ――こちらから動けば、向こうも証拠を隠そうとするでしょう」


「だから、黙っていたと?」


「はい。 証拠が揃い切る前に、相手に時間を与える必要はありません」


 アルトは、ゆっくりと頷いた。


「逃げられる可能性は?」


「ありません。

 海路はすでに海軍が押さえています。

 港湾、航路、商船――すべて帝国の監視下です」


「よし」


 短く告げて、アルトは静かに辺境伯を見る


「では、次の段階だ」


 辺境伯が静かに姿勢を正す。


「今回の件帝国として、どう動くのかは陛下より殿下に一任するとのことです。」


 アルトは迷わなかった。


「こちらから会談を要求する。 相手は国王本人だ」


「議題は?」


「海洋国と帝国の未来について」


 即答だった。


辺境伯は一瞬だけ考え込み、慎重に言葉を選ぶ。


「……向こうには、どこまで伝えますか」


「必要なことだけだ」


 アルトの声は淡々としている。


「現状認識と、帝国の判断。 それ以上は言わなくていい」


「では――」


「理由は伏せる」


 きっぱりと言い切った。


「説明を求められたら?」


「その時点で、主導権はこちらにある」


 俺はカイルに視線を向ける、カイルは静かに腰のポーチから地図を出して机に広げる。


俺は地図に視線を落とす

北の海、航路、港湾――すでに帝国が押さえている線。


「彼らは気づくことになるだろう帝国の怖さを」


「ですが、第二王子の件は――」


「会談では出す、しかし海洋国に今教える必要はない」


 遮るように告げる。


「それは“切り札”だ。

 最初から見せるものじゃない」


 静寂。


 辺境伯は、皇太子の意図を完全に理解した顔で、ゆっくりと頷いた。


「……条件は?」


「全面降伏」


 迷いはない。


「属国化を前提とする」


「……領土は」


「できるだけ奪る」


 淡々とした宣告だ、逃げ道は用意されていない。


「北の海は帝国の生命線になる。

 曖昧な関係を続けるつもりはない」


 アルトは顔を上げ、辺境伯を見据える。


「これは交渉じゃない。未来の形を示すだけだ」


「もし、拒否された場合はどうします」


 沈黙。


「海洋国が地図から無くなることになるだろうな」


 辺境伯は深く頭を下げた。


「――御意。会談の場、必ず整えてみせます」


 扉の向こうは静まり返っている。


 だがこの防音結界に包まれた部屋で、

 海洋国がまだ知らない“真実”は、

 すでに帝国の手の内にあった。

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