表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第2話『生者か?亡霊か?』

23時59分、俺は生徒会室を訪れていた。

当たり前だが、こんな時間に校内に残っている人はいない。

この学園⋯⋯月乃瀬学園は都会の喧騒から少し離れた、閑静な住宅地に囲まれている。

その為聞こえる音と言ったら、生徒会室に置かれている時計がカチ⋯⋯コチ⋯⋯カチ⋯⋯コチ⋯⋯という音だけ。


「っ⋯⋯時間だ」


1分経って24時になり、一日が終わって新しい一日が始まる。

バクん、バクんとうるさいほど大きく鳴る心臓を抑えながら、俺は口を開く。


「時の番人さん、私に時間をください」


次の瞬間、音は何も聞こえなく、静寂。

そう、静寂だ。


「っ⋯⋯は⋯⋯!」


俺は、先程までずっと鳴っていた時計を見る。


「なっ⋯⋯!?」


時計の針は全て、12の場所で止まっていた。


「いいよ?1時間だけ⋯⋯時間をあげる」

「!?」


背後から突然、まだ声変わりもしていないだろう少年の高い声が聞こえた。

⋯⋯25時の番人だ。

七不思議は、ただの噂などではなかったのだ。

俺は恐怖と、同じくらいの高揚感を感じた。


「?⋯⋯時間が欲しくてここ(生徒会室)に来たんじゃないの?

僕が伸ばせる時間も有限だから、あんまり時間に余裕はないんだよ?」


俺が中々動かなかったからか、番人はそう言いながら俺の前へ回り込んで来て、その姿を現す。

その頬は少し膨らんでいた。

身長は160を越していないだろうというほど小柄、そして肩の辺りで切り揃えられている髪は純白。

まるで光の粒子でも溜め込んでいるのかと思ってしまうほどに、美しく艶やかだ。

しかし1番目を引くのは、その瞳。

右目にはアクアマリンの様な青色、左目にはアメジストの様な紫色を宿していた。

何故宝石で例えたのかと言うと、瞳を見た瞬間にその宝石の名前が出たからだ。

番人の瞳はそれほど、美しかった。


「⋯⋯1つ、聞いてもいいか?」


俺は、さらに頬を膨らませている番人へ問いをなげかける。


「?、僕に答えられることなら」


番人は怪訝そうにしながらも、そう答える。

俺はその答えを聞いて、1呼吸してから口を開く。


「お前は⋯⋯生者か?それとも、亡霊か?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ