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天才鍛冶付与師?俺の作る武具がゴミな件  作者: のほほん


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第15話

グレートマンモスの素材を積んだ馬車を村に預け、一泊したエドガーとリリィは、翌朝、冒険者ギルドへと戻ってきた。ギルドの扉を開けるなり、リリィは元気いっぱいの声で受付嬢のラウラに挨拶をした。


「ただいま!」


「あ、おかえりなさい、リリィさん!エドガーさんもお疲れ様です」

ラウラはいつものようににこやかな笑顔で二人を迎えた。


「初めてのBランククエスト、どうでした?」

ラウラの問いかけに、リリィは屈託のない笑顔で答えた。


「エドガーの武器が凄すぎて、敵弱かったよ!」

リリィのその言葉に、ギルドに居た冒険者たちが一斉にざわついた。


「おいおい、討伐対象ってグレートマンモスだよな?」


「そんな弱いわけないだろ…」


「まさか、子供でも狩ってきたんじゃないのか?」

周囲の冒険者たちは、信じられないといった表情でリリィとエドガーを見ていた。


グレートマンモスがどれほどの強敵であるか、Bランク冒険者であれば誰もが知っている。それを「弱かった」と言い放つリリィの言葉は、彼らにとってはにわかに信じがたいものだった。


「ほんとだよ、本当に弱かったよ!」

リリィは、彼らの反応に少し不満そうに、さらに言葉を重ねた。


「そうかそうか、グレートマンモスの子供でも狩ってきたか」

エドガーは、周囲のざわつきやリリィの言葉などどうでもいいといった感じで、ラウラに査定を依頼した。


「デカすぎて持ってこれないから、馬車で査定してくれ」

エドガーは、ギルドの奥にある素材保管庫を指差しながら言った。


「皮と肉以外は、こっちで引き取る」


グレートマンモスの素材は、そのほとんどが高値で取引される。特に牙や骨、希少な部位は、武具の素材や魔法の触媒として重宝されるのだ。エドガーは、その中でも特に価値の高い部分を自分で持ち帰り武器や防具の材料にする予定だ。


ラウラは、エドガーの言葉に少し驚いた表情を見せたが、すぐにプロの顔に戻った。

「かしこまりました。それでは、馬車の方へ参ります」


ラウラがギルドの裏口へと向かうと、エドガーとリリィもそれに続いた。その後ろを、信じられないといった表情のまま、ぞろぞろと冒険者たちがついてきた。彼らは、リリィの言葉の真偽を確かめようと、馬車に積まれた素材を見に行くつもりなのだ。


馬車が停まっている場所に着くと、冒険者たちは一斉に息をのんだ。馬車には、巨大なグレートマンモスの毛皮が何枚も積み込まれ、その下には巨大な牙や骨が確認できた。それは、間違いなく成体のグレートマンモスの素材だった。


「本当に…グレートマンモスを…」


「しかも、たった二人で…」

冒険者たちの間から、驚愕の声が漏れる。


彼らは、リリィの言葉が嘘ではなかったことを知り、改めてエドガーとリリィの強さに戦慄した。特に、Fランクからわずか半年でBランクに昇級し、その初任務でグレートマンモスを「弱い」と言い放つリリィの存在は、彼らにとって脅威であり、同時に畏敬の対象となった。


ラウラは、そんな周囲の反応には慣れた様子で、淡々と素材の査定を進めていく。エドガーは、その間も特に表情を変えることなく、ただ静かに査定を見守っていた。リリィは、冒険者たちの驚く顔を見て、少し得意げな表情を浮かべていた。


「これで、今回の依頼は完了ですね。お疲れ様でした」

ラウラが査定を終え、エドガーに報酬を渡した。


その額は、グレートマンモスの素材の価値を考えれば破格のものだった。


「ああ。助かった」

エドガーは報酬を受け取ると、リリィと共にギルドを後にしようとした。


しかし、その前に一人の冒険者が声をかけてきた。


「おい、あんたたち…本当にグレートマンモスを二人で倒したのか?」

その冒険者の問いに、リリィは笑顔で答えた。


「うん!エドガーがほとんど倒したんだけどね!」

リリィの言葉に、冒険者たちはさらに驚きを隠せない。


エドガーがどれほどの腕前なのか、彼らには想像もつかなかった。


エドガーは、そんな彼らの反応には目もくれず、リリィを促した。

「行くぞ、リリィ」


「うん!」


二人はギルドの扉をくぐり、町の喧騒の中へと消えていった。彼らが去った後も、ギルドの中では、グレートマンモス討伐の話で持ちきりだった。リリィという新たな才能の出現は、ギルドに大きな波紋を広げたのだった。


ギルドを後にしたエドガーとリリィは、工房へと戻った。扉を開けると、カイがいつものように作業台の前に立って二人を待っていた。


「お帰りなさい、エドガーさん、リリィさん」

カイの落ち着いた声に、エドガーは軽く頷いた。


「どうでした?」

カイの問いかけに、エドガーはいつものぶっきらぼうな口調で答える。


「まぁまぁだな」

しかし、リリィの興奮は冷めやらない。


彼女はカイに駆け寄ると、今回の討伐での出来事を一生懸命説明し始めた。


「カイさん!聞いて聞いて!グレートマンモス、本当に大きかったんだよ!でもね、エドガーの武器だと全然硬くなくて、あっという間に倒せちゃったの!」


リリィは身振り手振りで、その驚きと興奮を伝えようとする。エドガーの武器がどれほど規格外だったか、自分がどれだけ活躍できたかを熱弁するリリィに対し、カイは表情一つ変えずに彼女の話を聞いていた。

リリィが話し終えると、カイは特に何も思わないのか、一言だけ静かに言った。


「いつも通りですね」


カイにとっては、エドガーの類まれな技術も、リリィの驚異的な成長も、もはや日常の一部なのだろう。その淡々とした返事に、リリィは少し拍子抜けしたような顔をした。


「えー!いつも通りじゃないよ!」


リリィが抗議の声を上げる中、エドガーは馬車からグレートマンモスの素材を降ろし始めた。カイも手伝い、巨大な毛皮や牙、骨を工房の倉庫へと運び込む。


巨大な素材が工房の床に置かれると、改めてその大きさに圧倒される。カイも無言で作業を続けるが、その手つきはどこか丁寧で、素材の価値を理解しているようだった。


「これでまた、しばらくは素材に困らないな」

エドガーが呟くと、カイは小さく頷いた。


貴重な素材は、エドガーの工房にとって欠かせないものだ。


リリィは、解体された素材を眺めながら、今回の討伐が夢ではなかったことを再確認していた。そして、次の冒険への期待に胸を膨らませた。彼女の成長は、止まることを知らない。

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