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手紙の謎  作者: 星屑 紡
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タイトル未定2025/04/28 10:57

悠斗は倉庫を出て、川沿いの道を歩きながらノートを握りしめた。月光が水面に揺れ、冷たい風が吹き抜ける。ノートに記された「時間鍵計画」と複雑な数式が頭を離れない。手紙の暗号「3-9-1」と「丘の上の樹の下」という指示。少年との約束を果たしたはずなのに、新たな謎が広がっていく。

家に戻り、ノートを広げると、「管理者」や「鍵」についての記述が目に入る。「時間鍵は管理者の記憶に紐づけられる。記憶が鍵を呼び、鍵が時間を変える。」 さらに、「1913年、初代管理者が計画を起動」とある。1913年? 暗号の「3-9-1」と関係があるのか? 悠斗は少年との夏を思い出したが、別の記憶――大人の声や白衣の男の影――がチラつく。だが、すぐに霧のように消える。

翌朝、悠斗は街の北の丘へ向かった。丘の上には古い桜の樹が立つ。普段は花見客で賑わうが、今は静寂に包まれている。暗号「3-9-1」を考える。3番目の何か? 9と1は? 桜の樹に近づくと、根元に小さな石碑がある。苔に覆われた石碑には、「1913」と刻まれている。悠斗の心臓が跳ねた。1913…3-9-1はこれを指しているのか?

石碑をよく見ると、横に小さな刻印。「3歩進み、9歩右、1歩下がれ。」 暗号の指示だ。悠斗は指示に従い、桜の樹の周りを3歩進み、9歩右に移動し、1歩下がった。すると、足元の土が沈む音。掘り返すと、錆びた金属の缶が出てきた。中には折りたたまれた紙と、黒い素材の奇妙な鍵。鍵はボタンと同じ質感で、握ると微かに振動する。紙には丁寧な筆跡でこう書かれていた。

「3-9-1は1913年、時間鍵計画の始まりを示す。君の記憶は次の鍵を指す。4-2-6。図書館の地下、明日夜9時。気を付けろ。監視者が見ている。」

「監視者?」 悠斗は背後を振り返った。誰もいないが、木々の間から視線を感じる。影ではない。別の存在だ。急いで缶を隠し、丘を下りた。家でノートを読み返すと、「1913年、初代管理者が最初の鍵を完成。時間操作の試みが始まった」とある。悠斗の頭に、少年以外の記憶が浮かぶ。白衣の男。実験室のような場所。だが、詳細はつかめない。

その夜、夢を見た。少年が現れ、笑う。「悠斗、僕だけじゃないよ。君はもっと大きなものを背負ってる。」 隣に白衣の男が立つ。顔は見えない。「鍵は君の血の中にある。」 目が覚めると、汗でびしょ濡れだった。

翌日、図書館の地下に向かう準備をしながら、悠斗は決意した。監視者とやらを恐れず、時間鍵計画の真相を突き止める。だが、ポケットの鍵が熱くなり、ノートの一ページが勝手に開いた。そこには「4-2-6」の下に、小さく「管理者を信じるな」と書かれていた。

図書館の地下への階段を下りる。背後で、かすかな足音が響く。監視者か、別の何かか。



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