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第95話「まずは安全が第一。 そして人間関係を壊さぬよう、新たなメンバーの力量を確かめつつ、 クライアントが満足するよう依頼を完遂する」

「カウントダウンします! 5,4,3,2,1! まず俺が撃ちます!」


ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!


ロックの構えた魔法杖から、重い大気の塊が次々と撃ち出された。


重い大気の塊は、催涙効果のある魔法煙にいぶされ、苦痛に顔をゆがめ、

100体以上居るであろう大混乱するゴブリンの大群へ、次々と撃ち込まれて行く。


ロックの魔法射撃は相変わらず百発百中。


10発ほど撃った風弾が、10体のゴブリンを見事に打ち倒した。


わけもわからず追い出され、大混乱する中へ、更に攻撃もされ、

ゴブリン達は更に大混乱に陥る。


ここが攻めどころだ。


「今です! 皆さん! ゴブリンどもは混乱し、ひるんでいます! カウントダウンしますから、撃ってください! 5,4,3,2,1! 撃て!!」


ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!

ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!

ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!


連射! 連射! 連射! 連射! 連射!


当たるのが4割ほどのフラヴィ以外は、命中率が「がくん!」と落ちるが、

それで充分である。


激しい風弾の弾幕が張られ、左右には土の壁がそびえ、

怯えたゴブリン達は全く前進が出来ない。


いわばどうぞ、当ててください状態。


そこへ更に百発百中のロックがとどめとばかりに連射! 連射! 連射! 


ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!


逃げ惑うゴブリン達の数がみるみるうちに減って行き……

やがて燻り出されて来たゴブリン達は全てが倒された。


(はた)から見れば、哀れな最後だが、

坑道の作業員達を襲い、喰い殺した、凶悪たる魔物どもである。


人間は抗い、倒さなければ、こちらがやられてしまうのだ。


「皆さん! まだまだ序の口です。全部で1,000体以上居ますから、どんどん来ますよ!」


と注意を促すロックは、更に声を張り上げる。


「ブリジットさん! フラヴィさん! 撃ち尽くして、魔力切れしても問題無いように、予備の魔法杖はありますね?」


「はい! たっぷりと!」


「用意していますわ!」


そう! ロックの言う通り、

坑道からあふれ出るゴブリンどもはまだ止まらない。


そして、風弾の魔法杖もメンバーがすぐ手の届く場所に置いてある。

途切れる事無く攻撃出来るよう、魔力切れとなった杖は、すぐに交換し、

射手が撃てるように。


そして!

すぐに第二陣がやって来た。


まずロックが撃ち、続いて5人のクランメンバーが撃つ。

とどめは再びロック。


ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!

ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!

ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅっ!


連射! 連射! 連射! 連射! 連射!


それを何と何と!第三陣、第四陣、第五陣、計10回も繰り返したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……こうして、出入り口付近で、動く者は皆無となった。

出入口付近は累々とした、ゴブリンの死体の山。


そうこうしている間も、鉱山出入り口からはもうもうと魔法煙が吐き出されている。


「少し様子見です。このまま待機します」


ロックの指示により全員がしばし待機。


魔法煙が収まるのを待つのと、残党が出てこないか、確認する為だ。


そうこうしているうちに、坑道から出る魔法煙は徐々に少なくなり……

しまいには完全に出なくなってしまった。


最大有効範囲で行使するロックの索敵に反応は無い。

ゴブリンどもは鉱山最奥部の1㎞先に怯えた10体ほどを残すのみ。

そこにリーダーたる上位種ゴブリンシャーマンが居る!


この世界でも唯一無比たるロックの索敵はそこまではっきりと把握していたのだ。


そろそろ頃合いである。


嘘は方便。

残党は最奥部に行かないと遭遇しない。

途中の坑道には居ないと分かっていながら、ロックはジョスへ尋ねる。


「ジョスさん、どうですか? 貴方の索敵にゴブリンの反応は?」


「ええっと……無いですね。リーダー、坑道出入り口付近にゴブリンは居ないようです」


ロックの発案だが……

わざわざ、こういう手順にするのは、意味があった。

もしもロック不在の場合、クランはジョスの索敵に情報収集を頼る事となる。

それゆえ今後を見据えての作戦なのだ。


まずはジョスを立て、責任感を持たせる為。


超Sレベルシーフ職のあんたが居れば、格下シーフ職の俺は不要だろ?

と思わせない、言わせない為である。


ロックが居る場合でも、安全に対し、念には念を入れよ。

何よりも人命がまず大事。

万全を期すべく、セカンドオピニオン的な確認でもある。


ここで、ロックはリーダーとして、てきぱきと指示を出す。


「了解です! ジョスさん! ありがとうございます! 俺も同意見です! 


では指示を出します!


これから鉱山の坑道へ入ります!

各自、5㎞まで見通せる暗視魔導ゴーグルを使用。

革兜には携帯用魔導灯を装着。護身用の風弾魔法杖を携帯してください!


グレゴリーさん、ゴーチェさん、先に立ち盾役をお願いします! 

ジョスさんと俺の索敵で、出入り口付近に残党の気配はありませんが、

まだ、途中、そして最奥に敵が居る可能性はあります。

充分な注意をして進んでください! 


3番手が俺、4番手がジョスさん。

前方の索敵は俺が、挟み撃ちされないよう後方の索敵はジョスさんが行います。


そして! ブリジットさんとフラヴィさんは後方に、

戦闘態勢のままついて来てください!


ゴブリンが出て来て、数体とか少ない数ならば遠慮なく倒してください! 

10体以上とか、多数の場合は躊躇(ちゅうちょ)無く一旦撤退します!


撤退の場合、まず俺が合図します。

盾役の方が敵を防ぐ間、後方から慌てず退いてください。  


けが人が出た場合に備え、ゴーチェさん、ブリジットさんは、

回復魔法行使も含んでおいてください! 指示は全て俺が行います! 以上です!」


「「「「「了解!!」」」」」


全員が頷き、ロックの指示に従い、女子ふたりは待機、先発隊は注意深く動いた。


という事で、グレゴリーとゴーチェが先頭に立ちながら、

ロックとジョスが索敵を再び発動。


「ジョスさん、坑道の少し奥はどうですか?」


「はい! 遮蔽(しゃへい)物がある狭い坑道なので、魔力が通りにくく、いまいち反応が取りにくいですが……奥も100m、いえ! 150mくらい先までは反応が無いですね」


「了解です! ありがとうございます! 俺も同意見です! グレゴリーさん、ゴーチェさん、俺とジョスさんの索敵により敵の反応はありませんから、出入り口付近の探索かつ確認をお願いします!」


「「了解!!」」


……こうやって、まずは書類で申告され、訓練で確認しつつ、

実戦で最終確認という、各自の能力を計る手立てと実践訓練を、

ロックはさりげなく行っていた。


新生クランステイゴールドは、発進したばかり。


まずは安全が第一。

そして人間関係を壊さぬよう、新たなメンバーの力量を確かめつつ、

クライアントが満足するよう依頼を完遂する。


そんな高難度のかじ取りを、

若干18歳のクランリーダーたるロック・プロストは見事にこなしていたのである。

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