第68話「うへえ、相手の気持ちなど、一切考えてないって事っすか?」
※第67話、内容プラスで加筆修正致しました。
申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します。
「店長、私達、ロックさんとグレゴリーさんにお願いしたいと思います」
「サインをしますから、店長もサインをしてください」
「ああ、分かった! ステイゴールドならば尚更お願いしたい!」
という事で……3人は書面へサイン。
ロックとグレゴリーは、早速対応する事となった。
そこから、その場ですかさず作戦会議。
先ほどサインして貰った同意書、契約書をほぼ「なぞる」形だが……
まずアルレットとエレーヌの勤務スケジュールを共有。
ふたりの朝、夜、通勤の際の護衛し、
ストーカーが接近、声掛け、ナンパ等をした際、
暴走したストーカーの盾役及び排除及び無力化及び確保する際、
……の対応をシミュレーション。
王都衛兵隊への通報を、ロックとグレゴリーの判断に任せる事も改めて同意を得た。
その後は、王都衛兵隊がストーカーを逮捕する際に協力する。
同じく、王都衛兵隊が事情聴取等をする際に証人として協力する。
ストーカー所属団体への抗議及び以降の無接触申し入れ等々は、
確認を経て、任せて貰える事となったのである。
そしてストーカーが来店した際には、アルレットとエレーヌには一切接客させず、
厨房の男子スタッフ、もしくはイアサント店長が接客する事となった。
これでもし不満を言えば、却って好都合。
必ず女子従業員が接客する店ではないと返し、それにも不満を言うのなら、
入店お断りでも構わないと、断固とした態度を取る事も決めたのである。
さらにロックは「これは大事なことです」と強調し、言う。
「先ほども言いましたが、まずは証拠を固めましょう。思い出すのも嫌でしょうが、これまで奴らにされた嫌な事を出来る限り記録しておくのです。王都衛兵隊へ通報し、奴らを罪に問う際に、有力な証拠となります」
対してアルレットとエレーヌは憤慨した面持ちで、
「はい! 実はもう腹が立って腹が立って、日時付きで全て書き残してありますわ」
「ええ、私もアルレットと同じく書き残してあります!」
と言い切った。
ふたりの言葉を聞き、「上出来です。よく我慢して記録しましたね」と、
ロックはいたわり、
「危険を冒さないという前提で、更にリアルで具体的な証拠を集めましょう。俺に良いアイディアがありますから、ある魔道具をいくつかお貸しします」
と面白そうに笑った。
そんなこんなで、打合せが終わった。
まだアルレットとエレーヌ、イアサント店長はまだ昼食を摂っていない。
だが、イアサント店長は、
「俺は他のスタッフへ今回の件を周知する。君達は食事をしてきなさい」
と思いやりを示した。
しかし、5人が応接室から出れば、
残りの男女スタッフが全員心配そうに立っていた。
皆、何となく事情を察し、気にかけてくれていたのである。
丁度良いとばかりに、イアサント店長はこの場の全員を応接室へ。
座り切れないので、全員を立たせたまま一切を説明。
ロックとグレゴリーも説明をフォロー。
更にスタッフ達へシミュレーション風に綿密な指示も行い、
アルレットとエレーヌへ伝えた通り、
「被害が出ないようにしつつ、まずは証拠を固める事だ」
と念押しした。
結果、残りのスタッフ全員もアルレットとエレーヌへ大いに同情し、
ストーカーどもへ大いに憤慨、激おこ状態となった。
そして誰もが、難儀する従業員の相談に乗った店長に感謝し、
同僚と店の為に尽力するロックとグレゴリーへも熱く熱く礼を述べた。
下手をすれば、「明日は我が身」でもあるからだ。
こうなると、災いを転じて福となす、もしくは、雨降って地固まる、である。
そう! ストーカー事件が起こった事により、
却って、カフェレストラン『プリムヴェール』の団結力は、
イアサント店長以下、強固なものとなったのだから。
「なんやかんやで昼の休憩時間が無くなったな。お店のサンドイッチと紅茶で昼食にしようか。俺がおごるし、3人一緒にこのまま応接室で食べよう」
と言うイアサント店長の更なる思いやりもあり、
「3人はゆっくり休んでいて、午後5時のディナー開店へ向け、その分の仕事をしておきます」
という他のスタッフ達のフォローもあり、
アルレットとエレーヌ、そしてイアサント店長は無事、
昼食を摂る事が出来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時刻は午後3時30分を回り、ロックとグレゴリーは一旦、
カフェレストラン『プリムヴェール』を出た。
後々の段取りが上手く行くよう、まずは王都衛兵隊本部へ。
これは、アルレットとエレーヌ、『プリムヴェール』イアサント店長以下、
スタッフ達と共有した打合せ通りの行動である。
つまり、アガットで救った女子とその同僚が、
プライベートと職場でストーカー被害に遭っている可能性がある。
ステイゴールドは、彼女達の護衛をしつつ、
必要があれば協力をお願いするかもしれないと。
状況を前振りし、いざとなればすぐ、
王都衛兵隊に対応して貰えるようにしておくのだ。
本部には、幸いブリス副隊長が居て、話を聞いてくれた。
「うむ、そうか。いつもながら君達の対応は立派だし、素晴らしい。そしてこのように早めに一報を入れてくれると、こちらとしても凄く助かるぞ」
とふたりを称えてくれた。
「進捗があったり、万が一事件が起こりそう、または起こった場合、この本部または王都の各番所へすぐに通報します」
と伝えると、
「うむ! 了解だ! 所用で外出中のギュスターヴ隊長へも伝えておく。宜しく頼むぞ!」
と笑顔で応えてくれたのである。
さてさて!
王都衛兵隊での打合せを終え、ロックとグレゴリーはまた、
クランのオフィスへ戻った。
早速、工房へこもり作業中のウスターシュの下へ。
一連の内容を報告すると、ウスターシュはとても喜んでくれた。
ただ、油断大敵を忘れない。
「うむ! 何かあって手遅れになる前に手が打てて良かった。しかしまだ段取りが済んだくらいだ。決して油断せぬようにな」
と、指導もしてくれた。
更にウスターシュは言う。
「同じ冒険者として、話は大きくしたくないという気持ちも少しあるが、こういうのは懲らしめないと、心から反省しないという部分もある。しっかりとやった方が良いと、わしは思うよ」とも。
間もなく午後5時。
『プリムヴェール』ディナータイムオープンの時間だ。
作戦通り、ロックとグレゴリーはオフィスへ待機。
ちなみに、ウスターシュは工房で作業という事で、やはり別行動。
待機しながら、次の依頼、ラック湖養魚場の資料にも目を通しておく。
そう!
時は金なり。
待機時間も一切無駄にはしないのである。
そうこうしているうちに、リリン!と 魔導ベルが鳴った。
これは『プリムヴェール』からの連絡を意味する。
アルレットとエレーヌへ持たせた中にある、『通知ベル』なのだ。
ストーカーが来店したら、報せる事となっていた。
「ロックさん、奴ら、ランチタイムだけでなく、ディナータイムにも来たっすね」
「ええ、性懲りも無く。ふたりから散々断られて、嫌がられてもいるのだから、察して欲しいんですが……」
「うへえ、相手の気持ちなど、一切考えてないって事っすか?」
「ですね。女子は押せば何とかなるって、変に曲解している奴らって事です」
「むうう……押せば何とかなるって……とんでもないっすよ! 女だって男だって、無理やりの押しつけは本当に嫌っす!」
「その通りですよ。相手に対し、積極的な方が良い場合もありますが、ケースバイケースですし、今回はさすがにやりすぎです」
とロックは苦笑し、
「さあ、グレゴリーさん、そろそろ俺達も『プリムヴェール』へ行きましょうか」
と立ち上がったのである。
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