表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/115

第51話「む!? マティアス・バシュロ部長!? ピオニエ農場!? 賊の捕縛!? アルバン・コルディエ農場長からの手紙、ですと!?」

雨嵐のようなロックの風弾魔法杖射撃が終わり……

辺りは静寂に包まれていた。


現在の時刻は午前9時過ぎ……

戦いが本格的に開始されてから2時間ほどしか経っていない。


「ええっと、ロックさん」


「はい、何でしょうか? グレゴリーさん」


「さすがに驚きました。結局、オークを全部、倒しちゃいましたか?」


「はい、何度も確認してみましたが、索敵にもうオークの生命反応はありません。全部倒したみたいですね」


ロックの言葉を聞き、グレゴリーは嬉しいような、現実感が無いというか、

複雑な表情だ。


「そうっすか……でもまだ信じられないっす。まさか、俺達ふたりでオーク1,000体全てを、倒すとは……」


「ですね! その理由として、グレゴリーさんにフォローして貰った俺の魔法杖射撃が出来過ぎの感があるのと、思ったよりオークが単純な脳キンだったのが合わさって、全て討伐となりました、というところでは?」


「成る程!」


「まあ、これでクランステイゴールドの評判は更に爆上がりしそうです」


「た、確かに! このオーク1,000体討伐は俺達クランステイゴールドの素晴らしい実績にはなりましたね」


「です!」


「で、ど、どうします? さっき王都衛兵隊へ通報しちゃいましたよね?」


「はい! なのでまず、再度、速攻で王都衛兵隊へ魔法鳩を送りましょう」


「再度、速攻で王都衛兵隊へ魔法鳩を送るっすか! 同意です! その方が良いと俺も思いまっす!」


「ええ、さすがにオーク1,000体襲来だと、俺達の通報を受けた衛兵隊は、騎士隊もしくは王国軍へ協力を要請し、一緒に出張って来る可能性が極めて高いです。その場合、双方の調整が必要なので、出動まで若干の時間がかかるでしょうが、それが逆に幸いとなります」


「な、成る程! 今すぐ魔法鳩を送れば、王都衛兵隊単独の出動になるっすね」


「はい! 実は万が一、そんな場合もあろうかと、俺達が討伐済み!の報告を記載した冒険者ギルドの通報書を、先に送付済みの通報書と一緒に作成しておきました」


ロックはそう言いつつ、記載済みの通報書一通を取り出した。


それには……


『コルヌ牧場、オーク1,000体襲来! 即座に王都衛兵隊へ通報したものの、クランステイゴールドが既に討伐済みです!』 


と概要が記載されていた。


ロックはそれに、


『ご連絡が重なり、紛らわしくて申し訳ございません。衛兵隊が赴くまで、少しでも個体数を減らすのと、時間稼ぎの為とも考え、クランステイゴールドが攻撃を行った結果であります』


そう、サラサラサラと書き加えた。


それを見ていたグレゴリー。


「おお、さすがロックさん! さっき二通作成したのはこの事を想定した為っすか! これで王都衛兵隊も仕方がないと思ってくれますよ」


「そう思ってくれればと願います」


「さすがロックさん、この前の食事会といい、深謀遠慮の鬼っすね!」


「ありがとうございます。まあ、備えあればうれいなし、って事です」


「本当に素晴らしい! 今後の事もありますし、公私ともども俺も見習いまっす!」


という事でロックは空間魔法で、

第1号装備、超魔法鳩召喚魔法杖を取り出し、魔法鳩を召喚。


新たな通報書を託すと、大空へ放った。


この前同様、召喚され、放たれて……

雲ひとつない青空を一直線に飛んで行く超魔法鳩。


あっという間に姿が見えなくなった。


「これで良し! では降下し、コルヌ牧場の方々へ、オーク討伐完了を伝えましょう」


「了解っす!」


ロックは超魔法鳩召喚魔法杖を仕舞うと、改めて第2号装備、超魔導浮遊杖を出し、

自身がまたがり、グレゴリーにもまたがらせ、行使。


ふわふわっと浮き上がったロックとグレゴリーは崖上の『広場』を後にし、

ゆっくりゆっくり、高さ20mを降下して行ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ロックとグレゴリーがふわりと地上へ降り立つと……


辺りには息絶えたオークの死骸があちこちに散乱していた。


とんでもなくおびただしい数である。


牧場にも、たっくさんあるはずだ。


「ええっと、ロックさん、これ……どうします? 他の魔物や肉食獣に喰い荒らされたり、不死(アンデッド)化すると困るっすから、葬送魔法で灰にしておきますか?」


そんなグレゴリーの質問に対し、ロックは即答。


「いえ、現場検証をするという事で、とりあえずこのままにし、コルヌ牧場の責任者、ダヴィド・ビュファン牧場長に見て貰いましょう」


「そうしますか」


「はい、後で付け合わせ出来るよう、現場検証の際、討伐場所をチェックし、牧場の地図へ記入。その都度オークの死骸は空間魔法で回収し、血などで汚れたその場を葬送魔法で清掃。王都衛兵隊が来たら、再度死骸を出し、証拠として見せた上、記録した地図も合わせて見せましょう」


「了解っす!」


ロックとグレゴリーはそのままコルヌ牧場の本館へ向かう。


やはり牧場も数多のオークの死骸が散乱していた。

全てロックが魔法杖射撃で倒したものだ。


本館へ到着したロックとグレゴリーは、

とんとんとんと、とんとんとんと、扉をノック。


そして声を張り上げる。


「おはようございま~す!! お疲れ様で~す!! 王都サフィールの冒険者クランステイゴールドで~す!! ルナール商会本店営業部部長、マティアス・バシュロ様のご指示で伺いましたあ!!」


「おはようございま~す!! お疲れ様で~す!! 本店営業部部長、マティアス・バシュロ様より!! この牧場に害為す魔物の討伐を請け負い!! ただ今、参りましたあ!!」


既に最大の仕事?は終えているのだが……

ロックとグレゴリーは、当初の予定通りの物言いを大音声で伝えたのである。


対して、扉の上部にある『のぞき窓』がほんの少しだけ開かれた。


ここぞ!とばかりに、ロックとグレゴリーは、再び声を張り上げる。


「襲来したオーク1,000体は!! 早速!! ステイゴールドが討伐しましたあ!!」


「その証拠に!! 自分達は余裕でこうやって歩いて来ましたあ!!」


対して、扉の上部にある『のぞき窓』が更に少し開かれた。


ここぞ!とばかりに、ロックとグレゴリーは、「お~い」と大きく手を打ち振った。


対して……しばし経ってから、のぞき窓が完全に開けられた。


目元だけだが、数人もの牧場スタッフが、

まだ信じられないという眼差しでロックとグレゴリーをじっと見つめている。


ここまで用心深いのも致し方ないだろう。

もしもオークどもが健在ならば、全員が喰われてしまうのだから。


しかし!

更に勝負所!とばかりに、ロックとグレゴリーは、またも声を張り上げる。


「安心してくださ~い!! この通り、何も襲って来ませ~ん!!」


「ほらあ! 見えますよね~!! オークどもの死骸だらけなのがあ!!」


ダメ押しとも言えるロックとグレゴリーの大音声を聞き、

遂に扉がゆっくりと開かれて行く。


やがて、完全に扉が開き……現れたのは、やはり?ムキムキの40代後半の男。


魔法使いのロックには、男が発する波動ですぐに分かった。


彼がコルヌ牧場の責任者、ダヴィド・ビュファン牧場長なのだと。

であれば! 先にこちらからあいさつだ!


ロックとグレゴリーは直立不動で、びしっ!と敬礼。


「改めまして、おはようございます! お疲れ様です! ルナール商会本店様から派遣されました、冒険者クランステイゴールドのリーダー、ロック・プロストです!」


「改めまして、おはようございます! お疲れ様です! クランステイゴールドのサブリーダー、グレゴリー・バルトです!」


凄まじい戦いを終えたばかりとは思えない、無傷のロックとグレゴリー。


しかもノリノリなのか、礼儀正しいのか分からない不思議な男子。


対して、まるで気圧(けお)されたように、ムキムキ40代後半男は、


「あ、ああ、お、おはようございます。わ、私が、コルヌ牧場の責任者、牧場長のダヴィド・ビュファンです」


と、魂が抜けた口調で力無く応えた。


ここでロックが畳みかける。


「自分達クランステイゴールドは、ルナール商会本店マティアス・バシュロ部長様からのご依頼を受け、先ほどピオニエ農場の案件――賊の捕縛を終え、やって参りました! そしてアルバン・コルディエ農場長様からは、コルヌ牧場、ダヴィド・ビュファン牧場長様宛のお手紙を預かっております」 


「む!? マティアス・バシュロ部長!? ピオニエ農場!? 賊の捕縛!? アルバン・コルディエ農場長からの手紙、ですと!?」


聞き覚えのある名称、依頼、人名を聞き、ダヴィド牧場長がすぐに反応。


「あ、あなた方おふたりが!? 本店のマティアス部長が雇った冒険者クランステイゴールドなのですか!?」


気付くのが遅すぎるよ! と突っ込みたいところだが、

オーク1,000体襲来という死が間近に迫った極限状態。


メンタルもヤバかったのであろうから、仕方がない。


対してロックも、


「はい! そうです! 冒険者クランステイゴールドです! オークどもの死骸を片付けながら、現場検証をしたいと思いますので、立ち合いを何卒宜しくお願い致します!」


と、きっぱり言い切ったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』連載中!


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》

⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ