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第47話「ああ、ギュスターヴ・ベルトン隊長もクランステイゴールドの大ファンなんだ。もしかしたら私以上の熱量かもな」

「お~い!! ロック君!! グレゴリー君!! お疲れさ~ん!! さすがだぞお!! 既に賊どもを、片づけてしまったようだなあ!!」


ずらりと並ぶ武装した衛兵隊員100人の前に立っていたのは、

満面の笑みを浮かべた王都衛兵隊副隊長、ブリス・エリュアールだった。


ええええ!!?? と、

アルバン農場長とテランス副農場長以下、農場スタッフ達は大いに驚いてしまう。


以前、ピオニエ農場から通報を受け、赴いたブリスは、事件が未解決に終わった事もあって、終始、厳しい表情をしており、笑顔など皆無だったからだ。


更にブリスは今度はアルバン農場長へ向き直り、お仕事モードに。


「アルバン農場長! 先日から引き続き、大変だったな」


「はっ! ブリス副隊長様! ご出動、お疲れ様でございます!」


「うむ、こちらの門番を務めるスタッフ達から、通報した問題はおおよそ解決済み。詳しくは農場長からと聞いている。早速、報告をしてくれないか」


「かしこまりました! 賊どもは捕縛し、第5号倉庫に閉じ込めてあります」


「分かった! 私と配下計5名で詳細な報告を聞く。残りの配下は捕縛した賊どもの処理にあたる」


「は! 了解でございます」


「うむ、問題解決に携わったクランステイゴールドも報告に同席させてくれ」


「勿論でございます!」


という事で、アルバン農場長とテランス副農場長以下幹部社員達が誘い、

ブリス副隊長以下衛兵隊5人、そしてロックとグレゴリーが会議室へ。


会議室の片隅には、ロックが回収し、空間魔法で仕舞っていた、

賊どもの武器他が積み上げられている。

『証拠品』として、確認と渡す為に改めて「出した」のだ。


アルバン農場長が説明し、テランス副農場長がフォロー。


実際に賊の捕縛にあたったロックとグレゴリーへ、

随時確認を取る形で今回の報告が行われた。


「うんうん」と納得し、満足そうに頷くブリス副隊長である。


「成る程! 話は良く分かった! 賊どもの被害が続く中、新たに起こったテイマーを雇用し、ゴブリンどもを使っての収穫物の窃盗という事だな?」


「その通りです!」


「うむ! そして冒険者クランステイゴールド2名による大が付く活躍ぶりは、はかりしれない! ロック・プロスト君とグレゴリー・バルト君は、策を用い、テイマーを含めた計22名の賊の生きたままの全員逮捕。ゴブリンども110体を同じく確保したのは本当に素晴らしい!」


「はい! おふたりのお陰で賊どもと魔物どもは一網打尽です!」


「うむ! ステイゴールドは追撃の手を緩めず、更に危険な原野へと赴き、賊どものアジトもあっさり発見。証拠品、被害品まで確保したとは! こちらの予想の遥か上を行く大成果! 我が衛兵隊も見習うべき働きぶりだ!」 


ブリス副隊長は、手放しの絶賛と言える褒めっぷり。


アルバン農場長とテランス副農場長以下農業スタッフは、

さもありなんとロック達の成果に納得しながらも、

普段は厳粛さを旨とする官憲。

王都衛兵隊がここまで絶賛するとは!?と再び驚いてしまう。


そして、驚き目を見開くアルバン農場長達へ、


「あなた方もルナール商会の社員ならば、アガットの件も聞いているだろう。私はアガットの件、そしてこの農場への道中で賊、魔物を捕縛、討伐した件で、彼らの活躍を目の当たりにして、とても好ましい若者達だと思っていた。そして今回の件で、あくまでも個人的な立場からだが、完全にクランステイゴールドの大ファンとなったよ。部下達も皆、同じさ」


とブリス副隊長が言えば、同席した4人の衛兵隊員は全員が笑顔で頷いた。


対して、アルバン農場長とテランス副農場長以下幹部社員も笑顔で応え、


「わ、私達も皆、同じです!」


ときっぱり言い切った。


……それからの処理は非常にスムーズであった。


王都衛兵隊は、先ほどの報告に基づき、5号倉庫で賊ども22人の事情聴取。


百戦錬磨のブリス副隊長以下、

100人の精悍な衛兵達を見て、無抵抗の賊どもは更に戦意を喪失したようだ。


聴取の結果、やはりロックとグレゴリーが発見した洞窟は、

一時的なアジトだと判明。

野外で飲食をしながら、移動を繰り返し、日によって違う洞窟で寝泊り。

足がつかぬよう、ピオニエ農場への窃盗を働いていたと自白した。

他にアジトは無く、残党も使役する魔物も居ないと。

販売担当の賊は『別組織の者』だと判明した。


そして農場内の現場検証をした後、出張って貰った衛兵隊の慰労会が行われ、

この日は、ステイゴールド、王都衛兵隊ともピオニエ農場へ宿泊。


翌朝、朝食後、ロックとグレゴリーに道案内をさせ、

アルバン農場長、テランス副農場長と、例の洞窟へ……


途中、原野ならば、迷惑をかけないと、

捕縛して空間魔法で捕えていたゴブリンを数体、出してみれば、

睡眠中の仮死状態となって、死んではいなかった。


ロックの『実験』は大成功したのだ。


人間への最終テストも残ってはいるが……

生物も運搬出来るとなると、空間魔法の用途も大幅に広がるだろう。


ちなみに、この確認は衛兵隊への証拠品としての確認作業も兼ねていた。


という事で、ゴブリン数体を再び戻したロックは、洞窟へ到着すると、

仕掛けておいた雷撃魔導防護印を解除し、回収。


洞窟へ全員でイン!


雷撃魔導防護印のお陰で内部はそのまま。

現場検証をした後、中型馬車5台、とうもろこし袋多数を回収し、

ロックの空間魔法で収納。


更に全てとはいかなかったが、念の為、周辺の洞窟も数か所捜索。


幸い、獣、魔物の襲撃も無く、一行は無事ピオニエ農場へ帰還したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


時刻は午後0時過ぎ……


裁判に使うらしい証拠品の中型馬車5台はとりあえず衛兵隊が押収。

ハーネスを元に付け替え、賊どもの護送用にも使うらしい。

最終的にはルナール商会へ、被害に対する賠償の一部として渡されるそうだ。


とうもろこし入りの袋は、ひとつだけこれも証拠品として衛兵隊が押収、

残りは全てピオニエ農場へ返還となった。


賊が盗んだとうもろこしは、一般への販売用には出来ないので、

農場スタッフの食料用として使うという。


しばらくはとうもろこし料理が多くなると苦笑するアルバン農場長であったが、

とうもろこし大好きのグレゴリーが大いに羨ましがったのは言うまでもない。


そしてロックが捕えたゴブリンどもは、原野で衛兵隊へ数体を、

『証拠品』として見せており、既に確認済み。

結局『討伐扱い』としてロック達へ引き渡された。


ロックは当然、そのままゴブリンどもを解放、リリースなんて事はしない。

原野へリリースしてもまたこいつらはピオニエ農場や街道辺りへ戻り、

人間を襲い、被害が出るだけ……だから。


なので王都帰還後、生きたまま全てを冒険者ギルドへ売却する事に。

少々残酷ではあるが、訓練用、闘技場用として、

実は『活きゴブリン』の需要があるのだ。


……以上を踏まえ、ピオニエ農場は、ロックとグレゴリーへ渡す、

『完遂報告書』も作成、渡してくれた。

これを冒険者ギルドでリディへ渡し、「依頼は完遂された」という形となる。


そんなこんなで、全てが終わり、全員が大食堂で昼食。


多分そうなるだろうと思い、ロックはブリス副隊長へ言う。


「ブリス副隊長、自分達はこの後、コルヌ牧場へ行き、魔物の討伐を行います。また何かご尽力をして頂く際には何卒宜しくお願い致します」


……コルヌ牧場は、ピオニエ農場と同じくルナール商会系列の大牧場。


こちらは賊よりも魔物の害に悩んでいると、依頼書には記載されていた。


対して、ブリス副隊長は相変わらず満面の笑み。


「おお、分かった! お安い御用だ。もしかしたら次回は当隊の隊長が行くかもしれんぞ」


「え? 王都衛兵隊の隊長様が、ですか?」


「ああ、ギュスターヴ・ベルトン隊長もクランステイゴールドの大ファンなんだ。もしかしたら私以上の熱量かもな」


「そうなんですか!」


「ああ、隊長がいきなり出張るのはいかがなものだし、急に王宮へ呼ばれたり、大事な用事があったり、ご都合が中々合わなかったが、次は行きたいとおっしゃっていた」


「な、成る程。楽しみにしています」


「うむ! 今回の件もご報告したら、大喜びするだろう」


補足しよう。


王都衛兵隊、隊長のギュスターヴ・ベルトンは、

『鬼ギュスターヴ』と異名を呼ばれるくらい、勇猛果敢。

グレゴリーをしのぐ、身長2m30㎝超えの堂々たる体格をした猛者である。

そして曲がった事が大嫌い、清廉潔白な性格で、

まるで衛兵になる為に生まれて来た男、と世間から言われていた。


そんなこんなで、昼食が終わり……


ロックとグレゴリーは、賊どもの移送準備等々を手伝った上で、

ブリス副隊長以下衛兵隊員100人を見送った。


王都衛兵隊は約100㎞の距離を、騎馬と押収した馬車で王都へ帰還するのだ。


「お疲れ様でした!! ありがとうございました!!」


という声を受け、全員が笑顔の王都衛兵隊は去って行ったのである。

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