第100話「わけあり、使えないと、からわわれ、揶揄されていた彼ら彼女達も、 ようやく、日の目を見たと言えるのだから」
怪我の功名とは、過失や災難に見えた事が、思いがけなく良い結果をもたらす事。
ロックから、ゴブリンが掘った避難&倉庫用の地下壕にて、
大きな新鉱脈を発見したと聞き、
ジュスト鉱山長達は、早く現場の確認をしなければと色めき立ち……
その後、事務所前に場所を変え、鉱山勤務の全社員に安心して貰おうと、
ジュスト鉱山長が社員皆を集めた上で、ロックが空間魔法を行使。
『間違いなく討伐した証拠』として、
捕獲し、仮死状態のゴブリンシャーマンとゴブリンソルジャー、
及び討伐した1,000体余りのゴブリンの死骸を見せ、確認して貰った。
「うわ!」
「えげつね~!」
「凄すぎる!」
など、社員達の声が辺りに満ちる。
また、
「でも、これで安心だ!」
「やっと仕事が再開出来るぞ」
と安堵感も半端ない。
ちなみに確認後は、捕縛状態のゴブリンシャーマンどもと大量の死骸は、
再び、亜空間へと戻された。
まさに論より証拠。
鉱山勤務の社員達は……
これで、ようやく長きにわたり悩まされたゴブリン問題は解決した、
という実感がわいたようである。
当然ながら、ジュスト鉱山長以下社員達は大満足で、にっこにこ。
しかし!
ロックは「まだですよ」というように、ジュスト鉱山長へ言う。
「しばし、お待ちを! ジュスト鉱山長!」
「はいっ! ロックさん! 待つとは何でしょうか?」
「ええ、明日、我々、クランステイゴールドのメンバーが改めて坑道内へ入ります。再度、安全を確認した上で、鉱山長以下、皆様へも坑道内へ入って頂き、最終確認をお願いします。それで問題が無ければ、ご依頼は完遂という事となります。完遂報告書を作成して頂き、受け取ったら我々は撤収しますね」
「おお、そこまで丁寧にやって頂けるとは、安心ですね。こちらとしては本当に助かりますし、本当にありがたいです」
……という事となり、なんやかんやで時刻は午後6時過ぎ。
ロック達は昨日同様、鉱山管理事務所脇にある作業員宿舎付属の社員食堂にて、
ジュスト鉱山長以下幹部社員だけではなく、一般社員達とも夕食を摂る事に。
先ほど、論より証拠で、ゴブリンどもを披露したからか、
社員全員が感謝の眼差しを向け、入れ替わり立ち替わり、
ロック達の座る席へ寄って来て、お礼を告げ、握手を求め続けた。
社員達に喜んで貰うのは嬉しいが、
ただ、これでは、まともに食事が出来ない。
さすがにジュスト鉱山長達幹部社員のストップが入り、
「明日、最終確認後、祝勝会を行う」と宣言が出て、ようやく収まった。
……という事で翌朝。
鉱山には留守番組を除く、大勢の社員達が赴き……
まずはロック達クランステイゴールドのメンバーが坑道へ入り安全を確認。
問題が無い事を確かめると、次はロック達が先導し、ジュスト鉱山長以下幹部社員、
そして選抜された作業員達が、坑道内へ。
そして最奥へ到着し、充分に注意しながら進むと……
ロック達が発見した場所へ到着。
「お、おお!! こ、これは!! 新たな銅の巨大鉱脈だぞ!! ゴブリンどもめ、これまでこっちが貸した借りを一気に返して来やがった!!」
そう!
このグロンドモン鉱山はルナール商会が経営する、
銅の生産地として、プラティヌ王国でも屈指の鉱山。
そもそも、鉱山は掘り、鉱脈を探し当て、掘り、
他にも付随する煩雑な作業はあるのだが、シンプルに突き詰めればその繰り返し。
当たり前だが、その作業には膨大な時間と手間、莫大なコストがかかる。
人を襲うゴブリンどもに散々、その作業を邪魔され、
鉱山は大きな損害をこうむったが……
そのゴブリンどもが掘り、新たな巨大鉱脈を探し当ててくれたと考えれば、
少しは救われる。
やった、やった!と喜ぶ、ジュスト鉱山長達の笑顔を見て、
雨降って地固まる、かなとロックも微笑んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、無事に鉱山管理事務所へ戻った一行。
ジュスト鉱山長は、幹部社員達と相談しつつ、早速、完遂報告書を作成した。
報告書には、心からの感謝の気持ちと、ロック達のお陰で巨大な新鉱脈が発見され、
生産量の著しい増大が見込める事、ゴブリン出現の原因がいまだ不明な為、
再発に備え、警備体制の改善、強化の必要性も記された。
ちなみに宛先は、ルナール商会本店営業部部長、マティアス・バシュロであるが、
その前に実は、
ルナール商会理事でもある、冒険者ギルド職員リディ・ルナ―ルの目へ入るのだが。
さてさて!
ジュスト鉱山長から完遂報告書を受け取り、一読したロック。
グレゴリー達メンバーにも読んで貰い、完遂の喜びを分かち合う。
こうした細かな気配りで、グレゴリーは勿論だが、
今回、初陣の新規メンバー達の信頼も厚くなるのだ。
そして、ロック達は撤収するのを強く強く引き留められ……
ジュスト鉱山長が先に宣言した通り、
鉱山に勤務する全社員参加の祝勝会を行う事に。
その会場はといえば、
昼食を摂った鉱山管理事務所脇にある作業員宿舎付属の社員食堂。
形式は立食パーティー形式。
開始は夕方の午後4時。
まずはジュスト鉱山長のあいさつ、
長きにわたって悩まされていたゴブリンどもが討伐されたので、
近日中に、鉱山の業務を再開し、更には新鉱脈の開発にとりかかると。
それから、ロック達クランステイゴールドのメンバー紹介。
紹介が行われた後、ぱちぱちぱちぱちぱちぱちと、
全社員から心を込めた万雷の拍手。
更には、ジュスト鉱山長が発する乾杯の音頭。
それからは自由に歓談をするフリータイムだ。
やはりというか、ロック達クランステイゴールドのメンバーを中心に、
大きな人の輪が出来て、昼間同様に握手攻め。
さすがに昼間は止めたジュスト鉱山長もスルー。
社員達が感謝の笑顔で次々に礼を言うのをずっと見守っている。
一方、礼の言葉を告げられ、握手攻めにされる、
今回初陣の新規メンバー達にも笑顔が絶えない。
わけあり、使えないと、からわわれ、揶揄されていた彼ら彼女達も、
ようやく、日の目を見たと言えるのだから。
結局、祝勝会は午後4時開始から、予定していた時間を過ぎても終わらず、
盛り上がりに盛り上がって、終了したのは、午後10時少し前。
けが人もなく無事、依頼を完遂し、ゆっくりと眠ったロック達クランステイゴールドのメンバーは、
翌朝8時、ジュスト鉱山長以下幹部社員達に見送られ、馬車に乗り込み、
グロンドモン鉱山を後にしたのである。
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