第十話:上陸!
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目の前を行き交う人々。
そしてさほど広くは無い道幅の両端にはズラリと暫く先まで続く白いテント。
そんなテントの中ではウミが今までに見たこともないような、キラキラしたアクセサリーや可愛らしい小物、甘い香りを放つ美味しそうな果物など、様々なものが売り買いされていた。
「なんだよなんだよこの島、祭りでもやってんの?」
「マジかよ!俺らすっげえラッキー!」
小さな港に船を預け、買い物の出来そうな場所を探してなんとなく賑やかそうな通りへと出て来た4人。
おそらく島の中央通りかと思われるそこは、こんな小さな島の小さな町とは思えないほど賑やかな活気を見せていた。
「おや、兄ちゃん達。旅の人かい?」
「…ええ」
そこへ―立ち尽くしていたカイリ達に声をかけてきたのは、そんな白テントで店を構えている1人のオジサン。
ハレが代表して頷けば、彼は豪快に笑いながら説明してくれた。
「そいつは驚いただろうな。この島は週に1度、こうして自由市を開催してるのさ」
「自由市?」
「ま、簡単に言やあ毎週開催される祭りみてえなもんだよ。
俺たちは週に1度こうして町民や外の島の商人達が集まって市場を開いてる。
幸い、このカムイ島はちょうどシチリン島とリアム国の中間に位置しているから、兄ちゃん達のような旅の人や商人達が立ち寄るこも多いからな、おかげで市場は大盛況さ。
この島の奴らはほぼこの自由市のお陰で食っていけると言っても過言じゃない」
シチリン島と言えば、ウミと出会う前のカイリ達が立ち寄っていた島である。
商業が盛んで外の島との繋がりも深く、アグアテラ中の有名な各国の物産品をシチリン島では手に入れることが出来るとして有名で。
特に世界中の商人達が集まるシチリン島の港町は情報収集にうってつけの場所として知られていた。
そしてリアム国とはこの広いアグアテラの中でも上位を争えるほどの大国。
本島のリアム島をはじめ、周囲の小さな島々を総称してリアム国と呼ばれているのだ。
「なるほどねえ…」
「良いじゃねえか、ついでに飯も調達してこようぜ!」
「おまつり!お祭り行きたい!」
「「……。」」
目をきらっきらさせるのはニア、そしてウミ。
ハレはそんな2人を微笑ましげに見つめ、そしてカイリは面倒くさそうに溜め息を吐いた。
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「…よし、それじゃあここで二手に別れよう」
4人は親切なおじさんに別れを告げて、騒ぎから少し離れた小さな公園にやってきた。
「俺とニアはついでにいろいろ買い出しに行ってくるから、ハレはイズの方を頼むよ」
「ああ。」
「イズ、ハレに好きなもん買って貰ってこいよ」
「うん!」
お互い効率よく買い物を済ませるために、一旦こうして二手に別れて行動することになったのである。
普段買出しなどの雑用に関してはだいたいニアが1人で行って済ませてしまうことが多いのだが、流石に今日のようなお祭り騒ぎの中を1人で歩き回るというのは酷な話だ。
そんな訳でニアの方にカイリが付き、イズの方には1番面倒見の良いハレが付いたというわけで。
「それじゃあまた2時間後、ここに」
「ああ。」
「カイリ、ばいばい」
「おー、しっかりハレに着いてくんだぞイズ」
「うん!」
こうしてイズはハレと“初めてのお買いもの”に繰り出すのであった。