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夏のホラー-2022 ラジオ-

怪談ラジオ。

作者: 文学壮女

『夏のホラー2022』の参加作品です。

ラジオから知らない番組が聴こえてきたら。

想像してみました。

「“ラジオ”ねぇ…。」


既に砂嵐になってしまったラジオをいじりながら、ぼんやりと呟く。

金曜日、いつものようにラジオを聴いていた私はついうとうとと眠りに落ちてしまい、ふと気付けば真夜中になっていたのだ。


私がよく利用している小説投稿サイトでは、毎年夏になるとホラー特集が組まれる。

そして今年のテーマについて、今日の放送で告知されたのだ。


今はスマホのアプリでラジオが聴けるのだが、私はなんとなくラジカセを使って聴いている。

チューニングを合わせながら、砂嵐の中から聴こえてくる声を探すのが好きなのだ。


『ラジオ』というテーマについて考えながら私はまだクルクルとチューニングダイヤルを回していた。

とっくに放送を終えた時間帯、ラジオから何も聴こえてくるはずはない…と思っていた矢先、微かに砂嵐の中から声がした。


「これって、怪談?」

普段、こんな時間まで起きていることのない私が知らないだけで、どうやらまだ放送をしている局があったようだ。

そういえば一晩中やってる番組があるって友達が言ってたっけ。

しかも怪談なんて、夏休みの特番でもやってるんだろうか。


とりあえず創作の参考になればと私はこの番組を聴くことにした。

老若男女、色んな人がスタジオにいるようだ。


話が3つほど終わった時だろうか。


ポン!


とスマホが鳴り、話に夢中になっていた私は思わずビクッとしてしまった。

フォローしている創作仲間が呟いた音である。


「もー、ビックリするじゃん(笑)」

なんとなく恥ずかしくなって独り言を言いながらスマホを手に取る。


『今年のテーマはラジオ!思い浮かばないよー』


泣き顔の絵文字とともに呟かれた内容に、次々と創作仲間が返事をしていく。

みんな、ラジオを通して知り合った仲間たちだ。

きっと彼女たちも今夜のラジオを聴いて創作を始めたのだろう。


私はふと思いついてこの番組を教えることにした。


『今、ラジオで怪談やってるよ!聴いてる人いない?』


こちらにも次々に返事が来るが、どれも見つからないというものばかりだった。

話は7話目に入る。


『周波数教えてー!』


1人の呟きを見ておかしくなった。

そうだ、最初からそうすればよかったんだ。


ふとチューニングダイヤルを見て、私は動きが止まる。


―周波数の表示がない。


そう、ダイヤルは周波数が書かれていない場所で止まっていたのだ。


8話目が終わり、9話目が始まる。

何故か急に胸の鼓動が早くなり、手に汗をかき始めるのがわかる。


『9話目はこんなお話しです。』


聴いちゃいけない、止めないといけない…!!


『次のお話は…。』


手が、体が動かない!


『君が死ぬ時の話なんだけど…。』





そこからは覚えていない。

気付けばラジカセの電源が切れていて、スマホから呟きを知らせる音が鳴っていた。



『ごめん、私の勘違いだった。』



それだけ呟いて私はコンセントからラジカセのコードを抜き、ベッドに向かった。


自分が死ぬ時の話―。


聴かなくてよかったのか悪かったのか、私にはまだわからない。

ありがちな流れになってしまいましたが楽しめていただけたら幸いです。

読んでいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最近は夏のホラー特集というものがテレビでは少ないので、ラジオでそういう特集を組んでくれると楽しめそうです。 もちろん、周波数は固定で自分に迫りこない怪談で。笑
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