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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
93/202

86話学者の恋2

私が、彼女の…

若葉(わかば)雅苗(かなえ)の立場ならどうするだろう?


私は、想像するのが難しい事柄を前にして、少し強めのコーヒーを口にする。

恋をしなかった分けではないが、

相手に好き勝手をされてまで人間に執着する性格ではない私は、何か別のモデルで思考するしかない。


何年でも、その事の為に頑張れると言うなら、私の場合、研究だ。


好きな課題の研究のためなら、入れ込んだら、きっと、金とか、時間とか、みんなつぎ込むかもしれない…。

そう考えて、私は、かすかに頭の隅をかすめた考えに恐ろしさを感じる。


まさか…


嫌な考えが、私の頭を、部屋を支配して行く。


コーヒーを飲んでクールダウンし、一度、別の事を考える事にした。


そう、研究と言えば、あのショクダイオオコンニャクについてレポートがない事だ。


これは違和感があった。

ファイルやレポートを見る限り、雅苗(かなえ)と言う女性は几帳面で、思考の整理に紙を使うタイプに思えた。


もし、夫婦関係に悩んでいたとしたら、文字として問題を書き起こし、解決策を考えるタイプに違いない。


と、するなら、この二つに関わる書類やデーターは、何処かに隠してある可能性もある。


私は、10畳程の書斎を見回した。


隠すと言っても、恥ずかしいから見えないようにしているだけで、いつでも記録できるように、簡単に取り出せるところに置いてある気がする。


特に、失踪した日は、ショクダイオオコンニャクが開花した日だ。


それについて、レポートをとらないなんて、あり得るだろうか?


いや、それはない。


ローカル局が交渉に来た事からも、職場でも話題になる事を想定していただろう。


そうであるなら、やはり、画像や大きさなど、ギリギリまで記録に残そうとしたはずだ。


と、ここで私は大変な事を忘れていた事に気がついた。


そう、溶生。

仮に本当に夫婦仲が悪かったとして、いくら絶滅危惧種でも、のんびり観察をするなんて、

あり得るわけがない。


はぁー。


私は、朴念仁(ほくねんじん)の自己中男の自分を自覚して倒れそうになる。


だ、ダメだ。落ち着け自分。


研究と恋愛は動議ではない!


コーヒーを飲んだ。



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