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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
77/202

72話もしもし

秋吉のすすめで、私は、今日の番組収録会場へと足を踏み入れた。

とはいえ、屋敷の応接間を少し飾った程度の違いでしかない。


長山は居なかった。


秋吉は、そこで安心したように少し大胆にソファーに座る人形の元へと早足で進む。


「こんにちわ、草柳さん。ああ、この人はお世話になってる池上さんです。」

と、秋吉は人形に芝居がかった挨拶をするが、勿論、人形は動かない。


私は、背筋を伸ばし、座る人形に近づいた。


ウエストが細い。


確かに、昼間見たレイと同じ雰囲気ではあるが、やはり人形、生気はない。


服装は、思ったより地味で露出は少なかった。


顔は、シリコン…なのか、柔らかい肌の質感があり、美しくもあるが、不気味な感じもした。


近寄ってみる。

秋吉がリラックスした笑いを浮かべて、動かない人形の耳元に話しかける。


「もしもし、レイさん、こんにちは。」

「ごきげんよう。」


Σ( ̄□ ̄)!し、しゃべった!


とっさに、少年時代、買ってもらったロボットの腕が飛んだときの衝撃を思い出した。


「ああ、夕方ですね。」

秋吉は慣れた手つきでレイの細い左手を取り、腕時計…のような、何かをみた。

「さわらないでください。」

ぷっ…(^・^)


レイに怒られた秋吉を見て笑いが込み上げる。


秋吉は、不満そうに私を見た。

「もう、笑わないでくださいよ。そうだ、池上さんも話してくださいよ。」

「いや、私は、いいよ。」

1歩下がって遠慮した。


興味はあるが、この歳で人形遊びをする趣味はなかった。


「いいじゃないですか、レイさんと話せる機会は、なかなか来ませんよ。」

秋吉はからかうように目を細める。

「簡単ですよ?『もしもしレイさん』と、言えばいいんです。」

「なんでしょう?」

レイが『もしもし』に反応した。

「ほらっ、」

と、秋吉が立ち上がり、私の肩に手をのせる。

「は、はじめまして(///∇///)」

顔が赤くなるのが分かる。何をしてるんだろう?私はっ。

が、レイは、私の動揺などガン無視して、私の方向を向くと、美しい黒い瞳をこちらに向けて、エアー好意を顔に浮かべながら

「お久しぶりです。池上センセイ。」

と、微笑んだ。


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