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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
74/202

69話ピシシーダ

暗くなり始めた部屋の中で、秋吉の明るい笑い声が不気味に響く。

私は、なすすべもなくそれを見つめた。


「落ち着いたか?」

どうしたって不機嫌丸出しにそう聞いた。

「はい…すいません。」

秋吉は、私の機嫌を考えて少し気を使うように言った。


私は、ソファに座り直し、ばつの悪さを隠すようにぶっきらぼうに謝った。

「悪かった。少し、熱中症が残っていたらしい。」

「そのようですね。俺が、草柳さんに見えるなんて…。」

と、秋吉は再び笑った。

私は、もう、秋吉を無視する事にした。

温かいコーヒーを口にする。じんわりと体が汗で湿り気を帯びる。

クーラーの風が、その熱と混乱を私の体から奪って行く。頭が、静かに一点に集中を始める。


時代の新秩序…。

1ドル札の陰謀論は、秋吉の戯れ言だ。

雅徳さんは、ガイア理論の秩序…と、言いたかったに違いない。


だとしたら、それは、ウイルスや細菌についてに違いない。

20世紀末、突然、人類の元に姿をあらわしたのは、エイズ、エボラ、耐性菌達だ。

これらは、ペニシリンの最強伝説を…近代医療の効力を脅かした。

雅苗さんは、何か、父親の研究を受け継いだに違いない。


「池上さん、すいません。そんなに怒らないでくださいよ。」

ぼんやりと秋吉の声がして、前を見ると心配そうな秋吉が立っていた。


「マジ、大丈夫ですか?俺、長山さん、呼んできましょうか?」


え(°∇°;)。


私は、驚いて首を降って正気にもどる。


「い、いや、すまん、少し、考え事をしていたんだ。雅徳さんと溶生さんの病気について。

だから、心配要らない。」

私は、本気で長山に連絡しそうな秋吉を止める。

こんなところに私の代わりは居ないし、私は、しっかり自己管理が出来る人物だ。

少しばかり、すっとぼけた事をしても、しっかり仕事は片付ける男なんだ。

私の熱意と眼光に、秋吉は、長山への連絡を思い止まった。

それから、自分のスマホを少し操作して、私に笑いかけた。


「北宮雅徳さんと若葉溶生さん、1995年に1度接触があった見たいですよ。」

「えっ?」

「ほら、この頃、アメリカのSFミステリーのドラマが流行ったじゃないですか?」

秋吉は、もどかしそうに、FBIに扮した男女が銃を構える画像をみせる。

「ああ…あったなぁ。」

私は、当時、流行っていたドラマを思い出していた。

「ええ、それで、未確認生物について、会談したみたいですよ。」

秋吉の言葉が、前頭葉に響いた。

「それ、もしかして、パムリコ湾じゃないか?」

私の頭に地図が見えた。

そう、ノースカロライナの上に、バージニア州がある。

「え?」

「だから、ノースカロライナ州の海辺だよ。」

私は、興奮で声が荒らぶるのを感じて口を閉じる。

「はい、確かに、そうみたいです。」

秋吉が驚いたような返事をする。


やった、なんか、わかってきた気がする。

雅苗さんの調べていたものが。

「フィエステリア・ピシシーダだ。」

私は、呻くようにそう言った。


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