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68話 ノブス オルド セクローム
北宮雅徳は、しばらく、バージニア州にいたあと、この個人的な論文を書き上げたらしい。
バージニア州ロアノーク島……アメリカの南東部の州である。特別、思い浮かぶ特別な生き物が思い浮かばなかった。
が、オカルト風味の出来事が検索された。
かつて、この島は『失われた植民地』と呼ばれていた。
16世紀、戦争のため、祖国との交流がなくなったこの土地に住んだ開拓者は、土地を捨てたか、死亡をして全員消失していたのだ。
一瞬、眩しくて目を閉じた。
スマホの画面にかじりついたからだろうか?
目を開けて次に見たときに、画面が少しぼやけて、オレンジ色の光の文字が見えた。
そろそろ、私も本格的な老眼か…と、思った次の瞬間、目に入った文字に意味がある事に気がついて見直した。
novus ordo seclorum
と、書いてあった。
「ノブス・オルド・セクローム?」
私は思わず、声に出して読んだ。
なんだろう?英語では無いようだが、なぜが聞き覚えがあった。