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59話 再会
雅苗は、少女時代に父親を失った。
地震とテロが立て続けにおきた95年に。
これが、後の彼女の精神を蝕んで行くのは想像に固くない。
彼女は父親が残したレポートの走り書きに気をとられる。
それは、人を貪る菌食性のトビムシの悪夢であった。
が、これが妄想から現実として彼女に意識される事件がおこる。
1998年の若葉 溶生の薬物疑惑である。
この時、彼女の従兄妹のマンションに遊びに来てきた雅苗は、隣の部屋に住む若葉 溶生が廊下に出てきて悶絶する現場に遭遇する事になる。
混乱した溶生を助けたのは雅苗のようだった。
しかし、未成年の彼女は病院まで付き添ってから、溶生の覚醒を待たずに帰宅する。
彼らが再開するのは2005年。
世紀末を無事すぎた2001年にモロゲロンと名付けられた奇病の為の財団、
モルゲロンズ病研究財団が公式の非営利団体となった翌年の話だ。