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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
57/202

53話 日記

蓋を開けた先にあったのは、魔法のステッキだった。


プラスチックで作られた、少女アニメの玩具らしきものがそこにあったのだ。

あと、ビーズの首飾り、少女の食玩、お気に入りのDVD…


私は、雅苗かなえの心の奥に隠された、少女の秘密を暴いたような、居心地の悪さと、恥ずかしさを感じた。


見なかったことにしようか…。


蓋の背面を持ち直して、もう一度、元に戻そうと考えてから、私は違和感を感じた。


新しすぎるのだ。魔法のステッキのデザインが。


気になり出した私は、蓋の背面を床に置くと、意を決してステッキを取り出した。


花柄の飾りの宝石部分を調べると、それは、スライドの引き出しとしてとれるようになっていた。


中からは、本当の秘密、USBが入っていた。



私は、ホームズには及ばないが、『4つの署名』の依頼者ウィルスンよりは探偵の資質はあるらしい。


そこには日記が入っていた。


それを私は、見つけたUSBの文章に集中する。


人の日記を勝手に見るのは、なんだか申し訳ない気がするが、

逆に、自ら失踪したのなら、これを消去しないのも不自然な感じがした。


この本箱のからくりは、多分、雅苗の家の者なら誰でも知っているものだと思う。

雅苗は子供の頃に親にそれを教わって、秘密の宝物を入れていたのだろう。

だから、二度と帰らない予定なら、この宝箱の中身も処分したはずだ。


私は、7年前の失踪時の、雅苗の心のうちを覗きこむ。

憧れのスターと結婚したものの、冷めた関係になる女性の混乱する気持ちが綴られている。


に、違いなかった……が、ネットの噂なんてのは、所詮、いい加減な言いっぱなしの無責任な文章だと思いしった……。


パソコン画面に映る厚手の表紙に、可愛らしい魔法使いの少女の微笑むその日記帳を開くと、そこに記されていたのは、細かい文字やら、数字の羅列。

なんとなく、化学記号のようなものも端に書かれている。


なんだ、これは……。


雅苗の頭の中の世界がページを開くと私の頭に彼女の描く生物の世界が広がる。


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