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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
55/202

51話 爆笑

だ、ダメだ。落ち着け自分。


研究と恋愛は動議ではない!


コーヒーを飲んだ。


温室のモニターには、相変わらず直立不動の蕾が、夜の闇の陰影をまとって不気味さを増していた。


秋吉達は、LEDの100本の蝋燭を3分の1程消していた。


頑張っている秋吉を見ながら、自分がなんでここにいるのか、分からなくなってきた。


私は、秋吉の番組のサポートとして呼ばれたと思って参加した。

虫嫌いになった秋吉のサポートなら、彼の近くに居なければいけないはずだが、

土壇場で、長山に言われるまま、あれよあれよと、資料整理に回されたのだ。 虫探偵の黒歴史まで発掘され、スカラベのミイラ探しを依頼されて。


まあ、このてのフリーな仕事の場合、

現場で指示が変わることはよくあるし、

初めての動画製作現場での事だから仕方がない。


でも、あの管理人は何者なんだろう…。

私は、現実と白昼夢に行き来する北川と言う人物を思う。


ここに来ておかしな焦りを感じ、

同時に、本当に7年前にここで、若葉夫婦が別れ話なんて深刻な話をしただろうか?と、心の私がツッコミをいれてくる。


世界でも珍しくも最大の、臭い花の開花に合わせて!?


ぷっ…。


夕闇のおかしなテンションに、へんな笑いが込み上げてきた。


そうだ。


よくよく考えてみれば、死体花なんて名前の、臭い花が咲くときを狙って、わざわざ別れ話やら殺人やらを考えるわけは無いのだ。


失踪時の発見はローカル局の人間だったし、

花の事があるから、いつ、客が来るかも分からない。


言い合いなんて、してられないし、

若葉夫婦が仲直りして、イチャイチャするのに、あの花の開花のイベントはイメージが違いすぎる。


私は死臭を思わせる臭いの中で、真剣に別れ話をする若葉夫婦を想像して、笑いのツボにはまってしまい笑い転げた。


ああ…馬鹿馬鹿しい。


私は、腹筋が勝手に震えるのを止められず、脇腹を押さえながら、口を閉じて壁に据え付けられている本棚を見た。


明日、長山に私はこの体たらくをどう報告するつもりだった?


アポカリプス?

2012年問題?


50歳を過ぎて、少年時代に見た怪奇ドラマの台詞を真顔で言うつもりだったのか?私はっ?


だ、ダメだ。し、死ぬっ。


私は我慢できずにしゃがみこんで、笑いがおさまるまでそうしていた。


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