46話 メデューサ
雅苗は何故、子供の頃の図鑑に栞を挟んだりしたのだろうか?
私は、雅苗の栞を取り出した。
誰かに対してのメッセージがあるとしたら、2011と書いているのは、最近、挟んだことを表現したいからだろうか?
聖ヨハネ、夏のクリスマスとも言われる夏至祭りの聖人に関係するプロバンスの騎士団が、聖ヨハネ騎士団である。
通称ホスピタル騎士団とも呼ばれていたようで、医療とも関わりが深い。
巡礼地に向かう人達や、十字軍の遠征で傷ついた人々を癒したりしていたらしい。
検索をしていると、彼らはプロバンスのモンペリエと関わりが強かった事が分かり、この地には現在でも医学で有名なモンペリエ大学の存在を見つける事ができる。
モンペリエ大学の医学部を創設したのは、ヨハネ騎士団ではないが、巡礼地や戦地での医療活動をヨハネ騎士団は担っていたのだから。
そのモンペリエ大学の医学部に入学したと言われているのがノストラダムスである。
ここで、周期ゼミと寄生虫について頭をめぐらせた。
長山は言った、疫学者としてのノストラダムスに雅苗は興味を持っていたと。
雅苗はムシコバチなどの益虫の研究をしていた。
これらを混ぜて考えるなら、蝉の寄生虫について、何か研究をしていた可能性だ。
長山が温室から離れるとき、確かに、そんな話をしていた。
雅苗は、少女時代にオカルトが好きで、池の伝説にも興味があったと。
ゴルゴン……ふと、温室での白昼夢を思い出した。
私は、長山を探して池に行き、そこで硬直した溶生を見つけ、北川さんが、こう言うのを聞いた。
ゴルゴン…そして、私の助けた溶生の体から、何かのサンプルを取っていた。
ゴルゴン…それがギリシア神話であれば、メデューサの三姉妹の事だ。
近年、私は、この三姉妹の一人、メデューサの名前を確かに聞いた。