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パラサイト  作者: ふりまじん
死体花
47/202

45話 シルク

それは醜く変容する愛する人をそれでも追いかけ愛そうとする男の恋の物語うただ。


秋吉が主役を演じる予定のアニメ『シルク』


これはジャンルはホラーにあたるのだろうか?


主人公の生物学者が臨終間近の妻の姿だけでも残そうと禁断の処置をするのだ。


それは、彼が作り出した虫を寄生させると言うもので、宿主は植物状態にはなるが、長く状態を保つことが可能だ…。


ただ、人間に試すのは初めてなのだが。


完全に死んでしまえば虫は寄生しない。

ギリギリの状態で、主人公が苦悩する…


この場面シーンを歌ったものなのだろう。


物悲しくも情熱的な旋律に溶生の低く甘い声が、かすれるように愛しい妻を求めるのだ。


勤務中ではあるが、つい曲に引き込まれ手が止まる…


溶生の奥さんを求める切なさが、シルクのストーリーを思い起こさせる。


何か憑かれたような悲しみが胸に染みる。



ズズズッ…。




さびの部分に気をとられた私は、地面が軽く揺れた気がして頭の中で池での出来事がフラッシュバックする。

冷たく固まった溶生…

それを愛しむ北川。

ギリシアの魔物…ゴルゴン…


無防備に曲に集中していたから不意打ちに過敏に反応してしまった。


「今、地震ありましたよね?」

私は、微震を感じなくなったことを確認して長山をみた。


「え?そうですか?スマホにはそんな情報は、何も送られてきませんけど。」

長山は一応ネットを検索する。

「ああ、やっぱり何も、速報は出てませんよ。嫌ですよ…、撮影日に地震だなんて。」

長山は私を心配そうに見つめた。


「大丈夫ですか?顔色悪いですよ?もう、部屋で休んでも構いませんよ。」

長山は、優しくそう言ってくれた。


私は身体中に鳥肌をたてながら体のバランスを取り直し、長山に笑い返した。

「大丈夫です。すいません。やれます。」

そう、1日だけの日雇い仕事。しかも、高時給、出張費、飯付きだ。ここは時給分、きっちり働いて、洋子さん達にお土産を買って帰らなければ!

そう考えたら、元気がよみがえる。


しかし、振り返った先にそびえる、死体花の姿をみると戦慄が走る。


まるで、黙示録の天使のように見えたのだ。


滅亡への封印を開く、禍わざわいの天使に。



現在、2019年…


7年前は、2012年。


人類滅亡と騒がれた年だった。



7年前の事件は前兆(オーメン)である。



ネットのオカルト好きの馬鹿げた台詞が、この蕾を前にすると、黙示録の預言のような荘厳な響きがする。

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