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パラサイト  作者: ふりまじん
死体花
43/202

41話 混乱

気がついたら温室にいた。目の前には心配そうな長山の顔がある。


「ながやまさん…ご無事でしたか。」

私は池での出来事を思い返して、胸が震える。

が、長山は、私の顔を見ながら不思議な顔をし、それから、笑いだした。

「ご無事…それは私の台詞ですよ。さっきから呼んでも返事はしないし、汗でぐったりしているし。」

長山は、打ってかわって真顔で私を見た。

「本当に、大丈夫ですね?熱中症が心配だから、10分過ぎたら部屋へ戻って下さいと言ったのに…。」

長山は、優しく私を責める。

「え?いや、私は池に!」

と、そこで私は、大切な事を思い出した。

溶生、溶生が溺れてたのだ。白濁として…体が石のように固く…


死後硬直


嫌なワードが頭をよぎる。私は、座り込んでいた地面から体を起こして立ち上がろうとした。が、うまく行かない。

そんな私の肩を押し、長山がクーラーからペットボトルのスポーツドリンクを私にくれた。


「熱中症ですよ。これを飲んで少し休んでください。なにか、気持ちが混乱されているようですから。

それに、仕事は全て終わらせて下さいましたから。」

「ダメです!池に…溶生さんが池で溺れてたんですっ。」

私は、スポーツドリンクをイッキ飲みする。気合いをいれなくては。

「池に、溶生さんが?」

長山が怖いものを見るように私を見た。

「そうですっ。溶生さんが伝説の泉で沈んでいたんですよ。私は、それをひきあげて……その場に倒れ、」

そこで私は、言葉を一度飲み込んだ。

長山は、私の言葉を信じていないことに、長山が私の人格を疑っている事に気がついたからだ。

それは、私も同じだった。私は泉で倒れたのだ。


「北川さん…北川さんを知りませんか?」

少し、間を置いて長山に聞いた。

長山は私を心配そうに見つめながら言った。

「北川さんなら、随分前に帰られましたよ。」


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