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パラサイト  作者: ふりまじん
死体花
37/202

36話 資料


何か、予感めいた直感を『虫が知らせる』というが、私の第六感も池の伝説に虫だ、と叫んでいる。


本当に、突然現れる池があるなら、その池の環境に適応した植物や昆虫もいるに違いない。


人が消えるのは、補食されている可能性がある。


昆虫は、一匹は確かに小さな存在ではあるが、例えばスズメバチに刺されたら、大人でも死に至る事もある。


最近ではマダニや蚊などのウイルスの運び屋、

セアカゴケグモ、ヒアリなどの外来種がいる。


外来種の驚異は、現在いまでこそ認識されているが、大正時代の人々の意識や認識は低かったはずだ。


いや、日本の生物ですら、まだまだ、整理されてなく、下手をすれば、現在は絶滅した新種がいたかもしれない。


「北宮尊徳氏の…資料ですか。」

北川は少し困った顔をして考え込む。

私は、その顔を見ながら落胆を隠す事なく肩を下ろした。


まあ、仕方ない。


尊徳先生の資料など、置いてあるわけはない。

一般的な人気は無くとも、欧米の生物学者には、今でもその名を知る者がいる人物なのだから。


「すいません…つい、興奮してしまいまして。」

私は、慌てて北川に言い訳をする。

「そうですよね…尊徳先生の資料なんて……私のような人間に見せるような、」

「ありますよ?とても個人的なものでよければ。」

「はっ…( ; ゜Д゜)」

い、良いのか、北川さんっ、そんな、個人的なものを日雇い派遣の無名の男にさらしてもっ。


私は、絶句する。そして、期待もするし、ワクワクもする。


「まあ、あまり、資料になるとは思いませんが、地下の物置小屋に、少年時代の作文や日記等がまだ、残っていたと思いますよ。」と、北川はあっさりと言いながら、少し考えて、話を続ける。「郷土資料や伝説なら、むしろ、近くの学校に…」

「いえ、地下の資料を見せてください。」

私は、いつになく前のめりの自分にびびりながら、北川につめよった。

「……。分かりました。とりあえず、この辺りを軽く片付けて長山さんを待ちましょう。」

北川は、そう言って慣れた手つきでカメラの設定を始めた。


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