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パラサイト  作者: ふりまじん
死体花
33/202

32話 聖ヨハネ

草むしりをしながら、私は、小さな温室に広がる夢幻の世界を楽しんでいた。

何はともあれ、ここで少年尊徳先生が、生物学の知識を深めたのには違いない。

石をひっくり返せば、ハサミ虫やダンゴムシが顔を出すし、蜜蜂も忙しく働いている。


私は一通り温室を片付けると、思いきって長山にしおりについて意見を聞こうと決心した。


長山は、2010年に雅苗とプロバンスで会っているのだ。

2012年の人類滅亡の番組を収録していた長山に何か、影響を受けている可能性はある。


「すいません。」

私は、思いきって長山に声をかける。

長山は、機材のセッテングの手を止めて私を見る。

「終わりましたか?」

「はい。あと…ひとつ、お伺いしたい事があるのですが。」

と、私はポケットからしおりを取り出した。


長山は、それを見つめ、静かに手にした。

「これ、どこにありました?」

長山は、真剣な顔で私を見る。

「雅苗さんの部屋で見つけました。」

私は素直に答え、長山は眉をよせて私の答えを疑った。

「部屋のどこで見つけましたか?」

「小学生用の本に挟まっていました。」

長山の質問に私はシンプルに答えた。

やはり、何か、長山には気になることがあるのだろう。

「このしおり、大切なものなんですか?」

私は、何かに急かされるような長山の様子に不安になる。


私の様子に長山が少し、冷静さを取り戻す。


「どうでしょうか?でも、何か、伝えたい事があるんだと思います。」

長山は少し言葉を濁していた。

「セントジョーンズワートは薬、聖ヨハネと言えば騎士団が有名ですよね?

設立に尽力したのは、プロバンスのジェラールという人物。

医療活動をしていたので、ホスピタル騎士団とも呼ばれ、モンペリエともゆかりがある。

モンペリエと言えば、大学の医学部がヨーロッパ最古のものとして有名ですよね?

ノストラダムスも在籍していた。」

私は長山を挑発するように言った。

長山は、少し困ったように私を見て、呟くようにこう言った。


「確かに、ノストラダムスは医者です。

そして、雅苗さんは、医師の……疫学者としてのノストラダムスに興味を持っていたようでした。」


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