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22話ＭＣ
池の近くの高台の東屋で、私と秋吉は食事を始めた。
コンビニの弁当のようなものを想像していたが、バックから取り出されたのは網状の箱に入ったサンドウィッチだった。
「うまそうですよね？屋敷の管理人の北川さんが作ったものですよ。」
秋吉はそう言って楽しそうに笑う。
「本当だな。」
私は、綺麗に並べられたサンドウィッチを見つめる。
カツ、ツナ、卵、サラダ、半分にカットされた美しい断面を見ながら、ふと、これは自分の為の昼飯とは違うのではないかと思った。
芸能界についてはテレビでしか知らないが、やはり、役者と派遣では弁当にも落差があるのではないかと、一瞬、疑った。
「私が食べてもいいのかな？」
1cmはありそうな太い豚カツの断面を見ながら思わずぼやく。
「え？どうしたんですか？」
秋吉が心配そうに私を見る。
「いや…お前は、スターだろ？これは、お前のために用意されたものではないのか？」
「すっ…スター。」
と、そう言って
あははっ。と、秋吉は軽快に笑いだした。
(￣□￣;)!!も、もしかして、スターって死語!?
私は、急に年老いた気持ちになりながらおどろく。
「いいえ…、オレ、そんな上等なものじゃないです。今日はただのＭＣだし。」
「え、えむしー(°∇°;)」
「ＭＣ…マスターオブセレモニー…番組の総合案内の事ですよ。」
秋吉はそう言って、少し自虐の入った笑いを浮かべたが、どの辺りが自虐になるのかわからなかった。
いや、むしろ、ＭＣの意味に驚いた。
ＭＣ……それは、メインキャスターって意味だと思ってたよ(-_-;)
いや、司会って言って言わない事が驚きだ。
私は、当たり前にＭＣと言う言葉にノレなかった自分に困惑しながら静かなため池を見つめていた。
