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193話記憶
目が覚めた。
天井に反射する街頭の淡い光を見つめながら、夢見の悪さで倦怠感に襲われる…
長い…長い1日が終わったことを悟った。
あれからどうなったのか、それはわからない。
私は知らない部屋で眠っていた。
病院……では無さそうだが、体がだるくて、思うように動けなかった。
ながい時間眠っていたように声がうまく出せなかった。
私は、起き上がろうとしてベットの手すりをうごかし、失敗して転がり落ちた。
その音に灯りがつき、看護師らしい人がやって来た。
「池上くん、君は3年寝ていたんだ。」
遠くから北城の声がした。
(;゜∀゜)……
私は力なく看護師の向こうにいる北城を見つめた。
意味もなく涙が出てきた。
私もまた、若葉溶生のように、密閉された温室で倒れていたらしかった。
私は北城に促され、朝になるまで眠ることにした。
北城は、なにも言わなかったが、私が寝るまでそばについていた。
聞きたいことはたくさんあった。
何が、真実で、何が妄想だったのかも。
でも、今は…ただ、眠りたい。




