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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
164/202

154話長山

初夏と言うには、禍々しい熱風が長山の方から流れてくる。


月明かりのベールに包まれて長山が我々に近づいてくる。

ズサッ、ズサッ…と、砂利を引きずるような音をならしながら。



その異様な雰囲気に()されながらも、私は、立ちすくむしか無かった。

長山から、夏を思わせる甘い腐臭がした。


それは子供の頃、山で見つけた動物の死体を思い出させた。


長山は、こがれるように我々の方を目指して来たが、1m前に来ると、歩みを止めた。


濡れて色の変わった土を見た私には、北川が噴霧した何かによるものではないかと思わせた。


「透也さん……。なぜ、そちら側にいるのですか?

あんなに、楽しそうに私についてきてくれたのに。」


長山の声が、ゆっくりと、草柳レイの声に変わる。


めまいにおそわれたが、気合いで持ち直した。

いや、気合いと言うより、探求心と言うべきか。


私は、若葉溶生の行方が知りたかった。


「あなたにではない、私は、若葉溶生さんに着いてきた。彼は、今、何処にいるんですかっ。」


こんな時、威嚇するような怒声をあげたりしてない私の台詞は、なんだか、迫力なく、情けなくすら感じる。


脳裏に、午後の泉に沈む若葉溶生の姿を見たのを思い出した。


帆立て貝の様に硬化した溶生………


えっ…(°ー°;)


私は、あの時を思い出し、恐る恐る北川を見た。


無意識に北川から一歩離れる……


そう…あの固くなった溶生を連れていったのは、長山ではなく、

ガーディアンとか、希望に溢れる台詞を言った、北川なのだ。


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