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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
163/202

153話お庭番(ガーディアン)

長い一瞬のその先で、変装した北城が私に話しかけてきた。


「私は北川です。池上さん。」



マジですか……( ̄▽ ̄;)



私は、混乱しながら北川の怪しげな顎髭を引っ張った。


もう…こうなると、失礼もへったくれもない。


何が真実で、間違いなのか…私にも知る権利がある。

いや、教えてくれ、頼むから。


と、言った気持ちで引っ張った。


結果は、つけ髭ではなかった。


私は、混乱しながら、北川に無礼を謝った。


「信用していただければ…それに…私も、身分を少しだけ偽っていましたから。」


北川は、穏やかにそう言った。


「………。何を偽ったのですか?」

私は、脅しの混ざったような前のめり声で聞いた。

「身分です。」

「み…身分………。」


馬鹿だとは思うが、一瞬、時代劇の旗本や副将軍が頭をかすめる。


「はい。確かに、この家の雑事、主に屋敷、庭の管理を任されていますが、私は、警備会社の人間…ガーディアンです。」


「お、お庭番…(゜-゜)」

時代劇の事など考えたからか、つい、口をついて出てしまう。


お庭番…時代劇の忍者ではなく、警備をしてると言いたかったのだろう。


「お庭番…(^-^)なかなか、素敵な言い回しですね。まあ…発音だけなら、それほど間違いでもありませんが。

それを言うなら、私は、ガーディアンです。」

ふふふと、北川は笑う。

はははっ…と、私は、放心の笑い浮かべる。


お庭番、お庭の番人…そう考えれば確かにそうだが、日本語で『お庭番』と言えば、8代将軍吉宗の作ったスパイ組織の意味合いになる。


ガーディアンは、守護者の事で、庭師…ガーデナーとかけた洒落だろう。


と、ここで、北川の様子に何となく違和感を感じた。

なんだか、よそよそしく丁寧な感じがする…

まるで、酔ってる人間を扱うような……



私は、ここで、自分のおかれた状況を飲み込んだ。

何かは分からないが、私は、毒物に犯されて判断力が鈍っていると思われているのだ。


吉宗だとか、お庭番とか、怪しいワードを思い出している場合ではない。


落ち着け自分。


月を見上げた。


銀色に輝く月を。


それを見て、自分が正常だと認識した。


軽く息を吐き出して、北川を見た。


「警備…ですか。」

私は、ふと、雅苗が厳重にこの屋敷を警備させていた事を思い出す。

「はい。かなり、特殊なカテゴリーに当たりますが、勿論、本来の意味合いでの『護衛(けいび)』の腕も確かですよ。」

北川が、視線を長山に移して少し緊張する。

そこで、私も、少し頭を巡らせる。


長山……そう、私が付き従っていたのは、確かに、若葉 溶生だった。


いつから、長山にすりかわっていたのだろう?


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