表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
154/202

145話 捨聖

それは気持ちの良い月夜だった。

私は、昆虫を愛した学生時代をありありと思い返していた。


信州には、尊敬すべき生物学者が沢山いるし、虫もいた。

だから、あまり、人の知らないような伝説の類いを覚えていたりもする。


池の平の幻の池…

これについても、知っていた。

随分と古くから、その存在は知られていて、

遠州七不思議として語り継がれている。


それによると、桜ヶ池の竜神が、諏訪湖へと旅をするときに、体を休めるために湧くのが、池の平の幻の池…と言われている。


竜…こう聞けば、普通は、幻のは虫類を想像するところである。


そのイメージで、分からなかった何かを、尊行さんはトンボに見たのだろう。

外国語も使える彼は、英語の…ドラゴンフライの言い回しに、新しい聖霊の姿を見たのかもしれない。


遠くから、体を震わせるような音が聞こえる。

ふと、昼間聞いた若葉溶生の小説『シルク』挿入曲『溶解』を思い出した。


牛蛙の鳴き声が、念仏のように辺りに響く。

雨蛙の鳴き声が、カスタネットの様に牛蛙の声に重なり、若葉溶生の『シルク』の世界を構築して行く。

私は、捨聖(すてひじり)の様に歩きながら踊る。


踊ると言っても、盆踊りの出来損ないのようなものだが。


「来てくださったのね。」

気がつくと、私の隣で、昼間に見た…自称モデルの草柳レイが隣で踊りながら声をかけてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ